「歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件」について質疑を行い、１８年度の予備費について財務大臣から説明を聴取した後に、財務大臣から決算の概要説明、会計検査院長から検査報告の概要説明を聴取。その後、次のような資料要求。

○枝野委員長　この際、資料要求に関する件についてお諮りいたします。
　平成十八年度決算の審査に当たり、決算の検査報告に掲記されました会計検査院の指摘事項に対する関係責任者の処分状況調べについて、財務省当局に対してその提出を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○枝野委員長　御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。

　さらに、次のように予備的調査に関する報告。

○枝野委員長　この際、御報告いたします。
　去る十一月一日、議長より本委員会に送付されました、議員松野頼久君外百十一名からの中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査の要請につきましては、理事間の協議により、衆議院規則第五十六条の三第三項によって、去る十一月二十一日、調査局長に対し、予備的調査を命じましたので、御報告いたします。

　主な質疑内容は次のとおり。

• 社会保険事務所において組織ぐるみのヤミ専従が行われていたことについての社会保険庁の調査はどうなっているか。また、当事者が調査する体制の見直し、関係者の刑事告発について、厚生労働大臣の決意を伺いたい。
• ７カ国財務大臣・中央銀行総裁会議（G7）での議論を踏まえ、我が国が最優先で取り組むべき政策課題についての財務大臣の所見を伺いたい。
• 平成18 年度決算検査報告で指摘を受けた、都道府県労働局における超過勤務手当の不適正支給について、厚生労働省は不正金額の返還や関係者の処分等にどのように取り組んでいるのか。
• 収益率が年平均3.5％と諸外国に比べて低いわが国の年金積立金運用の改善に向けた厚生労働大臣の決意を伺いたい。
• 道路特定財源の使途としてのまちづくり交付金が「大森海苔のふるさと館」建設事業費に支出されているが、このようなまちづくり交付金に道路特定財源を充てることに自動車ユーザーの理解は得られるのか。
• 近年、使途が拡大している道路特定財源は一般財源化するべきであると考えるが、国土交通大臣の見解はどうか。
• へき地等における深刻な医師不足の原因を厚生労働大臣はどのように考えているか、へき地医療等の診療経験を病院等の管理者の要件とすることも有効であると考えるが、厚生労働大臣の医師不足解消対策についての見解はどうか。
• 名古屋港イタリア村の建物の一部が木造になっていたことが問題となっているが、港の振興、雇用の確保等のためにも施設の存続を図れないか。
• 名古屋港管理組合も開業以前から市の建築条例に違反して木造であったことを知っていたのではないか。国土交通省において、管理組合や関係者に対し、条例違反となった経緯について、詳細な事実確認をする必要があるのではないか。

　皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府（本府、警察庁、金融庁）、外務省及び環境省所管並びに他の分科会所管以外の国の会計について審査

• 内閣府（警察庁）所管について
  • ２００６年６月から、駐車違反の取締りが民間委託されたが、その成果や効果、また、見直すべき点について、警察庁としてはどのように考えているのか伺いたい。
  • 取締件数を稼ぐための取締りが多いという指摘があるが、市民生活の実態を踏まえて制度を見直す必要があるのではないのか。
  • 妊婦のシートベルト着用に関し、道路交通法ではどのように規定されているか、また、そのように規定されている理由について警察庁の見解を伺いたい。
  • 妊婦のシートベルト着用を推進するための道路交通法施行令の改正、適正なシートベルト着用法の周知、妊婦の運転の危険性の啓発等による妊婦や胎児の保護に対する国家公安委員長の決意を伺いたい。
• 内閣府（本府）所管について
  • 富山県入善町の高波災害については、災害救助法が適用されているが、被災者生活再建支援法が適用されなかった。両法律の適用に関する解釈が違うのはなぜか。
  • 被災者生活再建支援法の被害認定基準指針は早急に見直 すべきではないか。
• 環境省所管について
  • 東京大気汚染訴訟における和解内容に関し、公害健康被害補償法上の予防事業の費用に充てるため、国は東京都に対し、独立行政法人環境再生保全機構の公害健康被害予防基金からの取崩し金６０億円をもって拠出することとしているが、一般財源から拠出するべきではないか。
  • 東京都内在住のぜん息患者と隣接県在住の患者との間における補償等の公平性確保の観点から、今後、国は被害者支援等の公平な仕組みを検討すべきではないか。
  • 東京都中央卸売市場豊洲新市場予定地が、土壌汚染対策法の施行日（平成15 年２月15 日）以前に廃止された有害物質使用特定施設に係る工場の跡地であるため、同法の規制等が適用されないことに対し、環境大臣はどう考えているか。
  • 農林水産省は東京都から豊洲新市場の開設認可申請が出された場合において、その認可に係る判断材料に、発生が想定される東京湾北部地震による湾岸地区等の液状化現象で豊洲新市場予定地からベンゼン等有害物質が噴出する等の事態が起きる可能性についても加えるべきではないか。
• 外務省所管について
  • 国連安全保障理事会改革の現状及び今後の見通しについて伺いたい。
  • 我が国の支援でＯＤＡ事業が行われていることを現地の人々に周知させる必要があるのではないか。
  • 我が国の在外大使館は他の先進国と比較すると少ないと考えるが、今後の増館計画について伺いたい。
  • ミャンマー軍による長井健司氏射殺事件に関し、中国ルートを活用して解決を図るべきと考えるが、現在の検討状況について伺いたい。
  • ミャンマー民主化問題を洞爺湖サミットで取り上げる予定はあるのか。
• 金融庁所管について
  • 債務超過に陥ったとして平成15 年に一時国有化された足利銀行の債務状況は、現在どのように改善されているか。
  • 金融庁は本年3 月に足利銀行の譲渡先として「野村グループ」を選定したが、その際には厳正かつ公正な判断がなされたと言えるのか。

　主な質疑内容は

• 文部科学省所管について
  • 鎌倉市の北条時政邸跡に宅地開発の話が出ているが、歴史的文化財として保護すべきではないか。その判断基準及び保護できない場合の対応について、文部科学大臣の見解を伺いたい。
  • 国語教育充実のため、小学校低学年から、正仮名遣いを教え、夏目漱石などの文学作品に触れさせる必要があると考えるが、文部科学大臣の見解を伺いたい。
  • 学校教育において、国旗の掲揚及び国歌の斉唱をさせることが教員の思想・信条の自由を侵すことになるのか、また、現在の国旗及び国歌の教育が十分なものと考えているのか。
  • 平成20 年度から実施される「子ども農山漁村交流プロジェクト」事業に、武蔵野市での実践（セカンドスクール）を踏まえてどのように取組んでいくのか、また、自然体験活動を行うことの意義について、文部科学大臣の見解を伺いたい。
  • 同事業の実施により、農山漁村や地域の活性化にどのようにつなげていく方針なのか、農林水産省と総務省の見解を伺いたい。
• 防衛省所管について
  • 横須賀タクシー運転手殺害事件に対する受け止め方と再発防止に向けた防衛大臣の所見を伺いたい。
  • 日米地位協定の運用改善について日米両政府による協議が行われたが、改善策の内容とその効果について外務省はどのように考えているか。
  • 四国における自衛隊の配置は他の地域と比べ少ないが、国の防衛政策の中で四国の防衛体制をどのように考えるのか。
  • 自衛官の募集環境が厳しくなる中、自衛隊を魅力ある職業にしていく必要があると思われるが、防衛省はどのような認識を持っているか。
  • 海上自衛隊イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故について原因究明と再発防止に関する防衛大臣の考えについて伺いたい。
  • 海上自衛隊のイージスシステムに係る機密流出事案において、外国への情報流出はなかったと考えてよいか。
• 総務省所管について
  • 郵政民営化後の各社の経営状況、今後の目標及び課題について伺いたい。また、分社化により料金後納の手続きが煩雑になった等の諸問題が生じているが、その原因についてどのような認識を持っているか。
  • 分社化の弊害が言われているが、各グループ会社の一体的な運用に向けた総務大臣の所見を伺いたい。
  • 自治体経営病院の厳しい経営状況及び医師の確保等が困難な状況を踏まえて総務省はどのように対応するのか。
  • 市町村合併の更なる促進に向けた具体的取組みについて総務大臣の所見を伺いたい。
  • 郵政民営化によりどのようなメリット及びデメリットが生じているか、また、どのような形でネットワークを維持していくのか。
  • 郵政民営化後の簡易郵便局の一時閉鎖状況に対して総務大臣はどのように認識しているか。
  • 郵政民営化後の各社の経営状況、決算の公表時期及び経営方針等について日本郵政株式会社の見解を伺いたい。
  • 国民の利便に支障が生じないよう万全を期する旨の附帯決議を踏まえた民営化への対応について総務大臣はどう考えるか。
• 財務省所管について
  • 揮発油税等の暫定税率の期限切れによりガソリンスタンドが値下げ競争に巻き込まれている状況に対して政府はどのように認識しているか。
  • 平成９年の酒税法改正時におけるみなし返品に関する取扱いと同様の措置を講ずることにより、混乱を回避することが可能であったのではないか。
  • 暫定税率の適用期限延長を含む法案が衆議院で再議決された場合の暫定税率の適用時期及び周知方法について伺いたい。

　主な質疑内容は

• 厚生労働省所管について
  • 神奈川県における歯科診療報酬の算定について、審査査定が他の都道府県より突出して厳しくなっているが、算定は全国一律の解釈で行うべきであり、指導を徹底する必要があるのではないか。
  • 横浜検疫所では新型インフルエンザの発生に備えた検疫体制の整備が進んでいないと思われるが、国の危機管理の観点から体制を早急に見直す必要があるのではないか。
  • 衆議院における新型インフルエンザ対策はどうなっているのか。
  • 新型インフルエンザ対策について、政府は国民の希望者全員にプレパンデミックワクチンを接種する方向で検討しているのか。また、パンデミックの発生を防ぐには事前にワクチンを接種することが有効な対策であることから、早急にワクチンの備蓄を進める必要があるのではないか。
  • 精神障害者に対する入院医療費などの助成を積極的に行うべきではないか。また、公共交通機関の運賃割引制度の導入は進んでいるのか。
  • 障害者自立支援法の施行に伴い、小規模作業所の地域活動支援センターへの移行が進められているが、政府はどのような支援を行っているのか。
  • 原爆症認定に関する「新しい審査の方針」が策定されたが、更なる幅広い救済や審査の迅速化が必要ではないか。また、原爆被害者の実態等を十分に把握するための調査機関を設置すべきではないか。
• 農林水産省所管について
  • 市町村合併等による村の減少及び今後の農村振興策について、農林水産大臣の見解を伺いたい。
  • 国土保全、水源涵養といった森林の多面的機能を発揮させるための支援についての農林水産大臣の見解を伺いたい。
  • 森林の間伐推進に係る政府の取組状況はどのようになっているのか。また、林業従事者のための林業退職金共済制度の活用について伺いたい。
  • 国産材の利用の推進のためには、住宅分野における利用拡大が必要と考えるが、その推進状況はどうなっているか。

　主な質疑内容は、国土交通省所管について

• 大崎短絡線の計画に関し、ＪＲ東日本が誠意を持って地元と話合いをしておらず、一方で同時に土地収用を進めていることは問題ではないか。
• 羽田空港Ｄ滑走路建設工事に伴い、周辺海域に赤褐色の変色が生じていることについて、施工体制等に関する地元漁協の不安を払拭するために更なる環境対策を実施すべきではないか。
• 建築基準法が改正されたが、基準の過剰な厳格化や必要以上のコスト高を生じないよう、現場の声を聞いて速やかに対処すべきではないか、国土交通大臣の所見を問う。
• 高速道路の料金を一定の地域で半年間半額として、物流コスト低下による経済効果など、地域活性化等の効果を検証してはどうか。
• 九州新幹線長崎ルートについて、昨年12 月の「三者基本合意」において並行在来線の全区間を上下分離方式にしたことで「経営分離ではない」と判断できるのか。
• 城原川ダム事業について、実施計画調査の進捗状況はどうなっているか。また、事業については地元住民の意見・要望を尊重するべきと考えるが、国土交通大臣の考えを伺いたい。
• 建築基準法改正の影響による企業倒産の実情について、国土交通大臣はどのように考えているのか。
• 建築確認申請における構造計算適合性判定（ピアチェック）等について、判定員等に関する現場の指摘を聞いて改善すべきであると考えるが、国土交通省の見解を問う。
• 並行在来線を運営する第三セクターにとって、ＪＲ貨物会社からの支払いを抑制するアボイダブルコストルールは重荷となっており、これを補完する貨物調整金の拡充が必要と考えるが、国土交通大臣の考えはどうか。
• ＩＧＲいわて銀河鉄道は、貨物調整金が不足する代替としてＪＲ東日本から寝台特急の旅客収入の一部を受け取っていたが、近時の寝台特急の廃止による減収に対して、国はどのように対応する方針か。
• 東京圏の鉄道の混雑率について、目標及び達成状況はどのようになっているか。また、混雑率緩和のために事業者に対してどのようなインセンティブがあるか。
• 税金を源泉徴収される会社員に生活改善を実感してもらうために、通勤電車の混雑緩和を図ることは重要と考えるが、国土交通大臣はどのように考えるか。

　審査対象は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府（本府、警察庁、金融庁）、外務省及び環境省所管並びに他の分科 会所管以外の国の会計。主な質疑内容は

• 内閣所管について
  • 公務員に対する過剰な批判により、国家公務員�T種試験の志望者数がピーク時の半分に減少しているが、公務員制度改革担当大臣の見解を伺いたい。
  • 公務員が民間企業で能力を発揮するため、癒着をチェックする体制を作った上で再就職を促進してはどうか。
  • 官僚主導の公務員制度を改革するため、事務次官制度を廃止する必要があるのではないか。
• 環境省所管について
  • 地球温暖化問題の解決等に向けた関係諸国との連携体制の在り方や、環境サミットとも呼ばれている洞爺湖サミットにおいて我が国が果たすべき国際的役割について、環境大臣はどのように考えているか。
  • 琵琶湖におけるブラックバス等の外来魚及びカワウによる漁業被害、水質汚濁等の環境問題に対し、環境省が関係機関と結束して取り組んでいく必要があると考えるが、環境大臣の見解を伺いたい。
• 国会所管について
  • 天皇皇后両陛下と皇太子殿下ご一家のご関係について宮内庁が果たすべき役割はどのようなものと考えるか。
  • 議院運営委員会衆議院事務局等の改革に関する小委員会中間取りまとめに基づいて実施されている改革の実施状況と効果はどのようなものか。
  • 立法補佐機能強化のため策定された「調査局ビジョン」の内容及び公表方法について説明されたい。
  • 九段議員宿舎から赤坂議員宿舎への転居の状況はどのようになっているか。また、転居を更に促進する方策を考えているのか。
  • 衆議院事務局等の国会の各組織における業務の実態等はどのようなものか。
• 内閣府（金融庁）所管について
  • 商品先物取引所は、市場においてどのような役割を果たしているか。
  • 我が国の漁業及び中小企業等が資源の価格高騰で影響を受けていると考えるが、投機マネーの規制が必要ではないか。
• 内閣府（警察庁）所管について
  • 平成17 年12 月に宇治市で塾講師が生徒を刺殺した事件の後、(社)全国学習塾協会が児童・生徒の安全のための指針を作成するなど対応しているが、学習塾に通う子どもの安全確保策の状況について伺いたい。
  • 児童虐待の通告を受けた後、48 時間以内に子どもの安全を確認する取組みなど、児童虐待への早期対応の制度は整備されてきたが、児童相談所の対応体制はできているのか。
  • 生後４か月までの赤ちゃんのいる全戸を訪問するという「こんにちは赤ちゃん事業」の普及のためにどのような取組みをしているのか。
• 内閣府（本府）所管について
  • 平成20 年12 月に新しい公益法人制度が施行されるが、同制度と特定非営利活動法人制度を一体化するべきではないか。
  • 非営利法人への寄付金の悪用を防止するため、特定口座を使った寄付の仕組みをつくるべきであると考えるが、金融担当大臣の見解はどうか。

　主な質疑内容は

• 文部科学省所管について
  • 地域社会において、教育の担い手となる人材の育成が必要であるが、文部科学大臣の所感を伺いたい。また、どのような財政的な支援を考えているか。
  • 学校運営協議会等を設置するコミュニティスクールは地域再生の切り札としても推進すべきと考えるが、現状と予算はどうなっているか。また、全国展開への意気込みについて文部科学大臣の所見を伺いたい。
  • 史跡指定の申請を予定している宇治川護岸遺跡（太閤堤）と、恭仁宮跡の史跡公園としての整備事業に対し、国としての支援について伺いたい。
  • 後期高齢者医療制度への移行により、多くの市町村において後期高齢者に対する人間ドック及び脳ドックの受診費用の補助が打ち切られていることについて厚生労働省の見解を伺いたい。
  • 学校において臨時的任用教員である常勤講師（１年契約）が非常に多いが、その現状及び制度の意義と法的根拠について伺いたい。
  • 常勤講師は、正規教員と同様に勤務し、その大部分が数年後に正規教員として採用されている現状からみて、最初から正規教員として採用できるよう、国としても都道府県教育委員会を指導すべきと考えるが、文部科学大臣の見解を伺いたい。
  • 文部科学省の「24 時間いじめ相談ダイヤル」は、利用実績が少なく今後の見直しが必要ではないか。また、「チャイルドライン」等の民間の電話相談活動に対する財政支援について文部科学大臣の所見を伺いたい。
  • 学習指導要領の改訂の際に、国会議員からどのような意見があったのか公開するなど透明性を向上させることが必要と考えるが、文部科学大臣はどのように考えるか。
  • 文部科学大臣は「ゆとり教育」とはどのようなものであると考えるか。
  • 東京福祉大学の学長が逮捕されているが、同大学の設置認可に当たって文部科学省はどのような調査をしていたのか。
  • 給食費の未納問題に対して、文部科学大臣はどのような認識を持っているか。
  • 高等学校卒業程度認定試験の採点ミス問題の最終的な責任は文部科学省にあると思うが、文部科学大臣の認識と現在の対応状況を伺いたい。
  • 被害者全員に対し損害額の実態調査を行うべきではないか。また、誤った成績証明書が交付された受験者に対しても賠償する必要があるのではないか。
  • 障害児教育の中で自閉症という障害はどのように位置付けられているか、また、教員養成課程における自閉症についての教育の内容について伺いたい。
  • 我が国の大学医学部に児童精神医学講座を設ける必要があると考えるが、文部科学省はどのように認識しているか。
• 総務省所管について
  • ＪＲ中央線の塩山・高尾間はトンネルが多く、携帯電話の利用が困難であるが、電波不感地帯の解消についてどのような方策が講じられているのか。
  • トンネルや地下街など移動中の電波不感地帯の解消に向けて、総務省としても国土交通省、民間事業者及び地方自治体との協力を図るべきと思うが、総務大臣の認識を伺いたい。
  • 新しい公益法人制度改革において、公益法人の在り方はどのような部分が変わったのか。また、公益事業に係る比率が50％以上という公益法人の認定基準の考え方について伺いたい。
  • 公立病院の建替えに対する国としての支援措置を伺いたい。また、病床利用率が低水準であることを理由に交付税措置を減少させないようにすべきではないか。

　主な質疑内容は

• 農林水産省所管について
  • 我が国の食料自給率の低下及び昨今の世界的な食糧不足に係る農林水産副大臣の見解を伺いたい。また、食料自給率の向上のためには、地産地消の推進が必要と考えるが、食に関する「ご当地検定」の取組を支援する必要があるのではないか。
  • 漁港の整備に当たっては、既存ストックの有効活用等、地域の実情に応じた取組が必要ではないか。
  • 農業の担い手対策として、新規学卒者や他産業従事者等の就農支援策をどのように実施していくのか。
  • 耕作放棄地の全国実態調査を実施するに当たり、市町村や農業委員会の負担を軽減する必要があるのではないか。
  • 全国の林業公社の経営状況について政府としてどのように評価しているのか、また、経営状況の厳しい滋賀県造林公社等に対し、政府としてどのような経営支援策を講ずることとしているのか伺いたい。
  • 明石海峡船舶衝突事故による被害回復状況及び政府の支援について伺いたい。また、関係省庁の連絡会議を早期に開催し支援体制を確立する必要があるのではないか。
  • 第25 回全国菓子大博覧会の開催を契機に、我が国の食文化や食の安全に係る農林水産省のメッセージを発信する必要があるのではないか。
• 厚生労働省所管について
  • 歴史ある鍼灸治療の利用促進、特に長寿（後期高齢者）医療制度において鍼灸治療を受け易くする措置を講じる必要があると思われるが、厚生労働副大臣の所見を伺いたい。
  • アメリカの「栄養補助食品健康教育法」に即して、我が国においてもサプリメントを薬品と食品の間に位置付ける法制化を行い、効能表示に係る規制を緩和する必要があるのではないか。
  • 歯科医師数の削減が進められているが、歯学部の入学定員の削減が進められないまま歯科医師国家試験の合格基準の引き上げが進められていることは問題ではないか。
  • レセプトのオンライン化が平成23 年に義務化されるが、国は歯科医療機関の費用負担について補助すべきではないか。あるいは、オンライン化を自由選択制にすべきではないか。
  • 厚生年金保険の平成７〜14 年度の特別保険料については、納付保険料が納付者の受給権に反映されていない。当該期間に徴収した特別保険料を遡及的に納付者の受給権に反映させるか、又は納付者に還付すべきではないか。
• 経済産業省所管について
  • 地域の基盤を担う商業の活性化のための後継者育成策、いわゆる生鮮３品（精肉、鮮魚、青果）のモデル店舗づくりへの支援策、金融面での支援策等について伺いたい。
  • 次世代エネルギーパークの整備は新エネルギー技術等の理解促進等のために有効であり、諸外国とも連携して推進すべきではないか。
  • 現在、法人税の欠損金の繰戻しによる還付の適用が停止されている状況の中で、中小企業の納税意欲を向上させるために、政府系金融機関を活用するなどの措置を検討すべきではないか。
  • 中国等において我が国の都道府県名や地域産品名の商標出願・登録が盛んに行われており、農林水産品の輸出促進等の障害になる懸念がある。国が中心となって、より迅速かつ積極的に対応していくべきではないか。
  • ガソリン価格の引下げとガソリン消費量の増大との関係につき、価格弾力性だけではなく、地域の自動車保有台数や世帯の自動車依存度を勘案した調査分析を行うことが必要ではないか。また、ハイブリッド車の普及支援の必要性についての政府の見解を伺いたい。
  • 今国会に提出されている「特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案」により、善良な訪問販売業者についても排除されるおそれがあるのではないか。

　主な質疑内容は

• 国土交通省所管について
  • 国土交通省の改革本部の最終報告における道路関連公益法人改革の基準を各省の公益法人全体に当てはめ、期限を切って改革すべきではないか。
  • (社)国際建設技術協会の委託契約について、諸経費の積算に設計業務等の積算基準を適用しているが、積算基準を見直すべきではないか。
  • (財)道路保全技術センターの再委託先について公表すべきではないか。また、公費により委託した調査研究の報告書は原則公開すべきではないか。
  • 海賊によるタンカー襲撃事件や他国船舶が資源探査をしているような場合にも取り締まれるよう法整備すべきではないか。また、海洋基本計画の策定を受け、東シナ海の天然ガス試掘を進めるべきではないか。
  • 暫定税率の失効により、まちづくり等道路以外の地方自治体の運営・事業に、どのような影響が出ているのか。
  • さいたま市内の鉄道駅のバリアフリー化や鴻沼川の改修状況、また、ＪＲ高崎線・宇都宮線の延伸計画の進捗状況はどうなっているのか。
  • 地方空港の利用促進について、地方任せではなく、国として対応するべきと考えるが、国土交通大臣はどのように考えているか。
  • 中標津〜新千歳路線の廃止について国土交通大臣はどのように考えているか、また、中標津〜羽田路線の増便について航空会社を協議のテーブルにのせるようできないか。
  • 不動産鑑定評価法に基づく不動産鑑定士の措置要求事案において、被措置要求者が行った鑑定評価を国土交通省が不当と認めなかった理由を明らかにすべきではないか。
  • 道路特定財源が地方の道路に優先的に配分されるよう配慮する必要があるのではないか。
  • 構造計算書偽装問題の経緯と建築確認制度の改善の状況について伺いたい。
• 法務省所管について
  • 入院等のため勾留執行停止決定を受けた被告人の逃亡事案が続いているが、裁判所は、逃亡防止の手立てが担保されていることを確認して勾留執行停止決定を行う必要性があるのではないか。
  • 冤罪によって刑事施設に収容された者に係る身分帳については、その記録の消去などをするべきと考えるが、長期にわたって保存する理由について伺いたい。
  • 新司法試験の合格率が７、８割になるとの期待を裏切る現状となっているが、法科大学院の定員と合格者数の関係についてどのように対応するのか。
  • 無実の者が犯人に仕立てられ、勤務先から解雇されることがあるが、その救済策はあるのか。また、一審、二審で有罪とされた者が裁判確定前に解雇されることに正当性はあるのか。
  • 「医療の安全の確保に向けた医療事故による死亡の原因究明・再発防止等の在り方に関する試案」では「医療安全調査委員会」が想定されているが、捜査機関は、同委員会の専門的な調査を尊重した対応を行っていくのか。
  • 最高裁判所で無罪が確定した元被告人についてのロサンゼルス捜査当局の動き及びこれに対する我が国の捜査協力について、法務大臣はどのように考えるか。
  • 42年間拘禁されている袴田死刑囚について、心身状態を確認して死刑執行停止命令を発するべきではないか。また、同事件の経緯にかんがみ、取調べの全面可視化を図るべきではないか。
  • 道路特定財源における暫定税率の失効により、湾岸船橋インターチェンジ事業への影響はどうなっているか。また、首都高速道路の料金体系の見直し状況はどうなっているか。

　四つの分科会の各主査から、それぞれ分科会における審査経過の報告を聴取し、国の財政等の概況について重点事項審査を行い、全般的審査を行った。重点事項審査の主な質疑内容は次のとおり。

• 医師不足対策として、大学医学部の定員を増員する必要があるのではないか。
• 歯学部から医学部への編入について、文部科学副大臣の見解を伺いたい。
• 医師国家試験の実施回数を年２回へ増加させる必要があるのではないか。
• 東南海・南海地震に係る防災対策について、東海地震並みの国の財政支援が必要ではないか。
• 小中学校の耐震化工事の推進及び地方自治体に対する財政支援が必要ではないか。
• 自主防災組織の強化に向けての取組みを伺いたい。
• 防衛省の前事務次官は退職金を返納する意向を示していたものの、まだ返納されていないことから、大臣として返納を求めるべきではないか。
• 北海道開発局の官製談合が報じられているが、国土交通省の各地方整備局について同様の事態がないか調査すべきではないか。
• 地方有料道路の不採算の実態が報道されているが、事業許可を行った国の責任はどうか。
• 新型インフルエンザの予防及びまん延防止策に要する費用については、予備費を使用するのではなく、毎年度の当初予算において十分に確保するべきではないか。
• 意欲ある農家の支援、飼料米の普及のため、多収穫米の耕作を奨励するべきであると思うが、農林水産大臣の所見を伺いたい。
• 国の予算・決算を国民にわかり易くするため、予算だけでなく決算における各目明細の提出、全ての特別会計の予算・決算書への財務諸表の添付等が必要であると考えるが、財務省の見解を伺いたい。

　全般的審査の主な質疑項目は次のとおり。

• 中小零細企業者に対し、廃業する際の融資制度の創設について金融庁はどのように考えているか。
• 債務者区分による金融検査の在り方を見直すことについての金融庁の所感について伺いたい。
• 金融検査マニュアル別冊（中小企業融資編）を周知徹底するための取組みを行う必要があるのではないか。
• 国家公務員退職手当の返納に関する制度整備に向けた総務大臣の決意を伺いたい。
• 野鳥から鳥インフルエンザウイルスが検出された場合にも政府が統一した対処指針を示すべきではないか。また、新型インフルエンザに関する政府としての対応策を伺いたい。
• 選挙の際に、有力政治家が特定の候補者を応援する目的で虚偽事実に基づいた演説や利益誘導に当たる発言を有権者の前で行うことは公職選挙法に違反するのではないか。
• 岩国飛行場の軍民共用化について、国土交通大臣と防衛大臣は総理からどのような指示を受けているか。
• 空母艦載機移転賛成派の市長の当選を受けて岩国市新庁舎建替工事に対する補助金の交付を再開するような、「アメとムチ」の政策を今後も継続するのか。
• 実質公債費比率でみて国の財政が夕張市より厳しいとの資料が財務省から出ているが、財務大臣及び国土交通大臣は無駄の排除にどのように取り組んでいくのか。
• 国設置管理空港の駐車場の管理運営を独占していた(財)空港環境整備協会の現在の事業占有率及び国土交通省からの天下り役職員の状況はどうなっているか。
• 医師の数は不足していると厚生労働大臣は考えるか。また、社会保障費を毎年2200 億円抑制するとの方針を見直すことについて厚生労働省及び財務省はどのように考えているか。

　予備費について次のような質疑を行い、採決を行った結果、各件はいずれも承諾を与えるべきものと決した。

• 2011 年度のプライマリーバランス黒字化を堅持すること、また、５年で社会保障費の増加を１兆1,000 億円圧縮するという目標の変更の有無について財務大臣の所見を伺いたい。
• 福田総理が示した「消費者・生活者主役の政治」の観点から、財政制度等審議会に消費者代表を参加させることについて財務大臣の見解を伺いたい。
• 18 年度予備費から国際的テロ防止のための自衛隊の協力支援活動に要する費用として100 億円弱が支出されているが、当該支出を本予算で計上できなかった理由は何か。
• 電波利用料収入を職員のレクリエーション費用等に使用していた問題に関して、適切な支出の基準を定めることについて総務大臣の所見を伺いたい。
• 電波利用料を財源とする研究開発等の各契約について総務省ではどのように使用経費の確認をしているのか。また、委託契約の場合に委託先からの再委託分も確認しているのか。
• 本州四国連絡高速道路の通行料金の値下げについて、検討スケジュール及び実施予定時期はどのようになっているのか。
• 本四架橋（本州四国連絡橋）の整備効果について個別の効果事例を伺いたい。
• 新型インフルエンザに対するプレパンデミックワクチンの研究状況、実際にワクチンを接種する際の優先順位について、厚生労働大臣政務官の所見を伺いたい。

　歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について次のような質疑を行った。

• フィリピン政府が日本政府に対し、輸入したミニマムアクセス米の提供要請をしてきているが、援助なのか商業ベースなのかどのような取扱いを行うのか。
• 米国のバイオ燃料政策がトウモロコシなどの穀物の価格を高騰させる要因となっているが、食糧供給と競合しないよう米国に働きかけるべきではないか。
• ＷＴＯ農業交渉において輸出規制と輸入制限の場合の罰則についての不均衡を是正すること、また、国内生産が基本であるという食料安全保障の概念を盛込む必要性についての農林水産大臣の所見を伺いたい。
• 我が国の著作権保護期間には連合国に対する戦時加算制度が存在している。同制度の廃止について文化庁の見解を伺いたい。
• 国家公務員の贈与等報告書の管理・活用が不十分ではないか、また、倫理監督官が実効的な監督を行えるようなデータベース化等の必要があるのではないか。
• 国土交通省におけるタクシー券の使用については、半券等個々の領収書の保存期間を明確にするなど、管理を徹底すべきではないか。また、勤務時間内に仕事を終えられるよう努力すべきではないか。
• 文部科学省の文教施設企画部の前部長が収賄容疑で逮捕されたが、同企画部と各国立大学の施設部等とは、補助金の申請側と査定側の立場にありながら人事交流が頻繁になされており、不適切ではないか。
• 収賄事件の背景となった社団法人文教施設協会の正会員企業のうち何社に何人文教施設企画部及び各国立大学施設部の元職員が再就職しているのか、また、それらの企業が文教施設関係の工事に占める受注率は何割に上っているのか。
• 元文教施設企画部長の収賄事件に関連して、省内調査の結果、他の職員についてどのような事実が明らかになっているのか。

　中央省庁の補助金等交付状況、事業発注状況に関する予備的調査について、５月16 日に調査局長から報告書（第２次）が提出された旨の報告があった。

　締めくくり審査を行い、内閣総理大臣等に対して次のような質疑を行い、質疑が終局した。

• 地球温暖化に対する基本姿勢について、北海道洞爺湖サミットに向けた内閣総理大臣の所見を伺いたい。
• 郵政民営化の見直し時期を前に、郵政事業の改革について郵政民営化担当国務大臣の所見を伺う。また、地方の現場及び利用者の声にどう応えるかについて西川日本郵政取締役兼代表執行役社長の所見を伺いたい。
• 道路事業への信頼回復のためには、無駄の排除と関係公益法人の見直しが必要であるが、進捗状況はどのようになっているか。
• 財務省職員が公費で利用したタクシーの運転手から金券を受け取るなどしていた事態について、政府はどう対処するつもりか。
• 財政健全化達成についての内閣総理大臣と財務大臣の決意を伺いたい。また、道路については事業の必要性を従来以上に厳正に審査し、真に必要な事業計画を策定していく必要があると考えるが、総理の所見を伺いたい。
• 長寿（後期高齢者）医療制度については、低所得者の負担に配慮し、今月3 日に合意された与党の保険料軽減策の内容を早急に実施すべきと考えるが、総理の決意を伺いたい。
• 原爆症認定訴訟で国が敗訴した仙台高裁と大阪高裁の判決に対する上告の断念について内閣総理大臣に言明いただきたい。また、全国の原爆症認定訴訟の原告全員を認定し救済すべきではないか。
• ダブリン会議でクラスター爆弾を事実上全面禁止する条約案が合意されたが、自衛隊の保有するものを全面廃棄するとともに、米国に対しても使用禁止と同条約への参加を働きかけることについて、総理の所見を問う。
• 「劣化ウランを含む装備及び弾薬の使用の影響」に関する昨年末の国連総会決議に従って日本政府が提出した見解について、劣化ウラン兵器の使用禁止を主張するようなものとすべきではなかったのか。
• 各省庁の職員が公費によるタクシー利用の際に金品等を運転手から授受していた問題について、各省庁の調査結果と内閣総理大臣の感想を伺いたい。
• いわゆる「消えた年金」問題について、全ての紙台帳記録とコンピューター記録との照合を社会保険庁が廃止される平成22 年１月までに完了すべきではないか。また、統合済のコンピューター記録についても更にサンプル調査を行うべきではないか。
• 公務員の天下り先法人に対する国の巨額な支出について総理の所見を伺う。また、退職公務員の二回目以降の再就職（いわゆる「わたり」）の各省庁によるあっせんを直ちに廃止することについて総理の所見を伺いたい。

　委員長から、１８年度決算に関する議決案が提出され、１８年度決算、平成１８年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成１８年度国有財産無償貸付状況総計算書について討論が行われ、１８年度決算について採決を行った結果、賛成多数（賛成：自民、公明、鈴木宗男君、玉沢徳一郎君；反対：民主）をもって議決案のとおり議決すべきものと決し、平成１８年度国有財産増減及び現在額総計算書及び平成１８年度国有財産無償貸付状況総計算書について採決を行った結果、賛成多数（賛成：自民、公明、鈴木宗男君、玉沢徳一郎君；反対：民主）をもって是認すべきものと決した。
　議決案の指摘事項に対し、国務大臣１０名から発言があった。

　次の委員長報告について、いずれも起立多数で委員長報告のとおり決定された。

○枝野幸男君　ただいま議題となりました平成十八年度決算外二件につきまして、決算行政監視委員会の審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
　まず、決算等の概要について申し上げます。
　一般会計決算額は、歳入八十四兆四千億円余、歳出八十一兆四千億円余であり、特別会計決算総額は、歳入五百一兆五千億円余、歳出四百五十兆五千億円余であります。国税収納金整理資金は、収納済額六十三兆六千億円余、一般会計の歳入への組み入れ額等六十二兆八千億円余であり、政府関係機関決算総額は、収入四兆五千億円余、支出三兆七千億円余であります。
　次に、国有財産増減及び現在額総計算書の年度末現在額は、百六兆七千億円余であり、国有財産無償貸付状況総計算書の年度末現在額は、一兆円余であります。
　本委員会におきましては、第百六十八回国会において額賀財務大臣から概要説明を聴取し、今国会において、総括質疑、分科会審査、重点事項審査、全般的審査を行い、去る六日締めくくり総括質疑を行った後、私、委員長から平成十八年度決算に関する議決案を提出いたしました。
　以下、議決案の内容を申し上げます。
　　本院は、平成十八年度決算について、予算執行の実績とその効果、会計検査院の検査報告などに重点を置いて審議を行ってきたが、さらに改善を要するものが認められるのは遺憾である。
　一　予算の執行状況などからみて、所期の目的が十分達成されるよう、なお一層の努力を要する事項などが見受けられる。
　　　次の事項がその主なものであるが、政府は、これらについて特に留意して適切な措置を執り、その結果を次の常会に本院に報告すべきである。
　　１　国の財政は、公債残高が年々増加の一途を辿り、非常に厳しい状況にある。二〇一一年度には国と地方の基礎的財政収支を確実に黒字化する財政健全化の目標に向け、あらゆる分野における歳出改革に全力で取り組むなど、歳出歳入一体改革を着実に進めていくべきである。また、ＯＤＡについては、納税者への説明責任を果たすため、個々の事業の必要性の検証を徹底するとともに、事業に対する事前評価を含めた情報開示を一層推進するべきである。
　　２　我が国における本格的な人口減少社会を迎えるに当たって、国民の希望する結婚や出産、子育てを実現できる環境を早急に整備することが喫緊の課題となっている。このため、保育所の受入れ児童数の拡大、多様な保育サービスの拡大、放課後児童対策の拡充を図るなどの少子化対策を積極的に推進するべきである。また、将来の社会を担う若者の雇用・生活の安定を図るため、フリーター常用雇用化の一層の推進を図るとともに、ニートの職業的自立の支援を行う地域若者サポートステーションの拡充強化等に努めるべきである。
　　３　耐震偽装対策として建築基準法が改正される中で、住宅着工件数が落ち込み、経済に影響を与えるなどの混乱が生じた。政府は、建築確認手続が円滑に行われるよう改正建築基準法の運用の改善に努めるべきである。また、低額所得者、被災者、高齢者、障害者等の住宅確保要配慮者の居住の安定を図るため、いわゆる住宅セーフティネット法に則り、公的賃貸住宅の供給の促進、民間賃貸住宅への円滑な入居の促進等の施策を、着実に推進するべきである。
　　４　道路特定財源の使途について、不適切な関連支出などの問題が生じていることは遺憾である。政府は、無駄を排除し、支出の適正化・効率化を図るとともに、交通需要を適切に把握し、国民にとって真に必要な道路計画の策定を進めるべきである。また、道路関係公益法人に対する支出の削減や業務・組織形態の見直しなどを進めるとともに、道路特定財源を来年度から確実に一般財源化すべきである。
　　５　食品表示の偽装や輸入食品の安全性の問題等、食の安全・安心を脅かす事態が頻発していることから、食に対する信頼を取り戻す有効な対策を講ずるべきである。また、食料自給率向上のため、農林水産業に従事する意欲と能力のある担い手の育成を進め、生産の場である農山漁村の活性化を図るべきである。
　　６　国民に信頼され、豊かさを実感できる社会保障制度の確立に向け、公的年金制度の長期的安定の確保について徹底した検討を行い、今後の国の役割及び国民負担の将来像を早期に提示すべきである。また、年金記録問題への対応については、国民の信頼回復を一刻も早く図るため、ねんきん特別便等の通知を確実に行うとともに、記録確認の周知、相談体制の充実に万全を期すべきである。
　　７　地域医療や救急医療等における医師不足等の諸問題は深刻な状況となっており、引き続き国民に対する医療提供体制の整備強化に全力で取り組むべきである。また、高齢者の医療サービス提供体制を充実させるとともに、介護を担う優れた人材の確保を図るため介護従事者等の処遇改善策を講ずるべきである。なお、後期高齢者医療制度については、施行状況を検証した上で根本的な対策について徹底的な議論を行うべきである。さらに、新型インフルエンザについては、その発生が国際的にも予断を許さない状況になっていることから、ワクチン等の医薬品の研究開発を促進するとともに、抗インフルエンザ薬及びプレパンデミックワクチンの必要な量の備蓄に努めるべきである。
　　８　地球温暖化対策等の環境問題に関しては、政府として、京都議定書の温室効果ガス六％削減約束の確実な達成に努めるとともに、更なる排出量の削減のため、森林吸収源対策の推進、バイオマス等の再生可能なエネルギーの導入促進等を図るほか、全ての主要排出国が参加する実効性のある新たな枠組み作り、排出削減と経済成長の両立を目指す途上国への支援等、地球環境問題に対する国際社会全体の取組にリーダーシップを発揮すべきである。
　　９　公務員制度の総合的な改革を推進するため、基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、公務員制度改革を総合的に推進する機関を設置し、速やかに取り組むべきである。さらに、行政と関係の深い公益法人について、契約の在り方、役員報酬等の集中点検を実施するとともに、退職管理の適正化を進め、いわゆる天下り問題の根絶を図るべきである。また、イージス艦機密情報の持ち出しやイージス艦と漁船との衝突事故、前事務次官の収賄事件、防衛調達に関する水増し事案など自衛隊に関する不祥事が続発しているのは遺憾である。政府は、厳格な情報管理体制の確立や再発防止を図るとともに、公務員による不正行為や行政執行の怠慢に対する厳正な処分の徹底等を行うべきである。
　二　会計検査院が検査報告で指摘した不当事項については、本院もこれを不当と認める。
　　　政府は、これらの指摘事項について、それぞれ是正の措置を講じるとともに、綱紀を粛正して、今後再びこのような不当事項が発生することのないよう万全を期すべきである。
　三　決算のうち、前記以外の事項については異議がない。
　　政府は、今後予算の作成及び執行に当たっては、本院の決算審議の経過と結果を十分考慮して、行財政改革を強力に推進し、財政運営の健全化、行政の活性化・効率化を図るとともに、政策評価等の実施を通じた効果的かつ効率的な行政を推進し、もって国民の信託にこたえるべきである。
　以上が、議決案の内容であります。
　次いで、討論の後、採決を行った結果、平成十八年度決算は多数をもって議決案のとおり議決すべきものと決し、国有財産増減及び現在額総計算書並びに国有財産無償貸付状況総計算書は、いずれも多数をもって是認すべきものと議決いたしました。
　以上、御報告申し上げます。（拍手）