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衆議院の決算審査

 平成9年3月25日の衆議院決算委員会で「国会における決算審査のあり方等について調査」が行われ、冒頭で決算審査の現状等について次のような説明を聴取している。

○天野専門員 決算委員会調査室長の天野であります。
 それでは、決算委員会における決算審査の現状等につきまして御説明いたします。
 最初に、現在、本院における決算審査はどのように行われているのかについて申し上げます。
 まず、憲法の規定により内閣から決算が提出されますと、原則として、本会議におきまして大蔵大臣が決算の概要について説明し、これに対する質疑が行われた後、決算委員会に付託され、付託後は、大きく分けまして、総括審査、各省庁別審査、締めくくり審査、議決の順序で行われることとなっております。
 このうち、総括審査においては、大蔵大臣から決算の概要説明、会計検査院長から検査報告の概要説明をそれぞれ聴取した後、内閣総理大臣等の出席のもとに総括質疑が行われております。
 各省庁別審査においては、所管大臣から決算の概要説明、会計検査院からその所管に係る検査報告の説明を聴取した後、質疑が行われております。なお、第百二十九回国会から、この所管別審査の方法として分科会審査を採用しております。
 締めくくり審査においては、内閣総理大臣ほか全大臣出席のもとに締めくくり総括質疑が行われ、質疑終了後、討論、採決が行われております。
 この採決に当たりましては、予算の非効率的使用等により所期の目的が十分達せられていないと認め改善を求める指摘事項、会計検査院の指摘した不当事項についての見解、その他の事項については異議がないとの三点を柱とする議決案が委員長から提出され、この議決案のとおり議決すべきか否かについて採決しております。
 なお、このうち改善を求める指摘事項につきましては、次の常会に、内閣から議長あてに、本院の議決について講じた措置として報告されることとなっております。
 次に、決算の審査方針等についてでありますが、決算委員会におきましては、新憲法下の国会における決算審査のあり方等について、戦後数回にわたって参考人等から意見を聴取するなど検討が行われてきておりますが、その後、第三十四回国会においても国会の決算審査のあり方等について参考人から意見を聴取するなど、その取り扱い等について論議されております。
 そして、昭和三十五年七月の決算委員会において、「従来の会計検査院の検査報告中心の審査方法を改め、国会が議決した予算がいかに執行されたかを中心として、決算全般について、予算と対比して審査する。」こととする「決算審査に関する運営方針」及び「決算の審査方針」がそれぞれ決定されております。
 その後、決算の効率的、迅速な審査により、審査の結果を次の予算の編成に反映させ、より適正な財政執行の実現を図るため、第五十八回国会の昭和四十三年三月の決算委員会において、「決算審査に関する改善事項」として「決算の効率的かつ重点的な審査を行なっため、各省庁別決算審査に重点をおく。」ことや「決算の審査は、次年度決算が提出されるまでに終了することを常例とすることとする。」等について決定されております。
 しかしながら、その後の決算審査の実態を顧みますと、国会情勢等諸般の事情により各省庁別審査に相当の期間を要しており、次年度決算の提出までに審査を終了するという改善事項の趣旨が果たされず、決算の提出から本会議における議了までに長期間を要する事態となっておりました。
 ちなみに、改善事項の決定後の昭和四十一年度決算から平成元年度決算までの審査状況を見ますと、国会提出から本会議議了までの審査期間は半数以上が二十カ月以上を要しており、平均二十一カ月となっております。また、その平均審査日数は十八日間という状況であります。
 そこで、このような決算審査のおくれを解消して、効率的かつ重点的な審査を通じ、速やかに国の諸施策を検証し、その結果を予算の編成、執行に迅速に反映させるという本委員会の使命が果たされるよう、決算審査の促進、充実を図るために、各省庁別審査の方法として分科会審査を採用し集中的に審査する等の、新たな「決算審査に関する運営方針」が平成六年三月の決算委員会で決定されております。
 その後、この運営方針に基づきまして、平成二年度及び平成三年度並びに平成四年度及び平成五年度の各決算の審査が行われました。
 現在、本委員会では平成六年度決算の審査が行われておりますが、平成四年度及び五年度決算の審査状況を見ますと、国会提出がそれぞれ平成六年一月三十一日、同七年一月二十日、概要説明が同じく平成六年十月十三日、同七年二月九日に行われ、その後、両年度決算を一括審査することに決し、平成七年四月十三日、村山内閣総理大臣ほか全大臣出席のもとに冒頭総括質疑が行われ、平成八年五月十七日に一般質疑、同月三十、三十一日の両日に四個の分科会による審査が実施されました。その後、六月十三日に、橋本内閣総理大臣出席のもとに締めくくり総括質疑が行われ、同日採決、翌十四日の本会議で議決されております。この間、国会提出から本会議議了までに要した期間は、平成四年度決算については二十八カ月、五年度決算については十六カ月となっており、その審査日数は九日間であります。
 以上述べましたように、決算審査に当たりましては早期議決に大変御努力をいただいているところではありますが、残念ながら、先ほど御説明しました昭和四十三年に当委員会で決定しました「決算の審査は、次年度決算が提出されるまでに終了することを常例とすることとする。」という趣旨が達成されていない現状にあります。
 一方において、国の公債残高が平成七年度末で二百二十五兆円にも達するなど、国の財政状況は極めて厳しい状況にある中で、決算審査の充実、活性化が今日ほど、マスコミ等各方面から注目され、国民から大きな期待を受けている時期はないのではないかと思います。
 このような中で、委員長を初め委員の方々のますますの御活躍によりまして、決算の早期議決、決算審査の充実がより一層図られますよう願いますとともに、私ども調査室としても最大限の努力をさせていただきたいと思っておる次第であります。
 この後、衆議院における決算審査の遅延は大きく改善されている。ちなみに、この説明にある「昭和三十五年七月の決算委員会」とは、昭和35年7月20日に「決算の審査方針及び決算審査の運営方針に関する件」を議題として開かれており、委員長から理事会で決定した事項として「決算の審査方針並びに決算審査に関する運営方針」が示され、これを委員会の決定としている。
○鈴木委員長 これより会議を開きます。
 昭和三十三年度決算の審査に入るに先立ちまして、お諮りいたしたいことがあります。
 御承知の通り、本委員会におきましては、先国会におきまして、国会の決算審査に関する件を取り上げ、国会の決算審査のあり方について根本的検討を加えるため、参考人等より意見を聴取する等、鋭意その検討を党派を越えて行なって参ったのでありますが、去る四月二十七日の理事会におきまして、次のような決算の審査方針並びに決算審査に関する運営方針を、与野党一致をもって決定いたしました。
 すなわち、
    決算の審査方針
  決算審査にあたっては、従来の会計検査院の検査報告中心の審査方法を改め、国会が議決した予算がいかに執行されたかを中心として、決算全般について、予算と対比して審査する。
 一、「歳入歳出は予算の通り執行されたか」に関する問題
  (一) 歳入が予算通り確保されたか。
  (二) 歳出が予算通り執行されたか。
  (三) 剰余金、繰越額、不用額、流用等。
 二、「予算は効率的に執行されたか」「その実績はどうか」に関する問題
  (一) 重要施策の執行実績及びその効果
  (二) 長期計画の執行実績(初年度より現年度まで)及びその効果
  (三) 継続事業の執行実績及びその効果
  (四) 補助金の交付状況とその使用実績
 三、「予算は適正に執行されたか」に関する問題
  (一) 不法事項
  (二) 不当事項
  (三) 是正事項

    決算審査に関する運営方針
 一、総括審査
  (一) 大蔵大臣の決算概要説明
  (二) 会計検査院長の検査報告概要説明
  (三) 総括質疑
 二、各省別(所管別)審査
  (一) 各省大臣の決算概要説明
     (政府関係機関の三公社、七公庫、二銀行に関する説明を含む)
  (二) 会計検査院の検査報告説明
  (三) 右について各省側より弁明あればその説明
  (四) 一般質疑
 三、締めくくり審査
     (必要があれば総括的に締めくくり審査を行なう)
 四、議決
     (討論・採決)
   備考 各省大臣の説明には、計数についての説明のみでなく予算執行の結果表われた主要施策の実績並びにその効率的使用等についても言及する。

 以上でありますが、右の理事会の決定の通り、今後の決算の審査方針並びに運営方針を決定いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木委員長 御異議なければ、さよう決定いたします。

 最近の決算審査の実績は次のとおり。  なお、衆議院には予備的調査の制度があり、決算行政監視委員会が行わせたものもある。

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