特別会計の見直しに関しては、決算委員会は
17年6月7日の委員会で15年度決算審査措置要求決議として「
2 特別会計の事務事業等の見直しについて」及び「
3 特別会計における予算積算と執行の乖離について」を決議し、さらに15年度決算警告決議の議決案に次の項目を盛り込むとともに、会計検査院に対して「特別会計の状況について」を検査要請する旨の決議を行っている。
2 特別会計の歳出規模は純計額でも二百五兆余円と一般会計を大きく上回っており、透明性の欠如、不要不急の事業の実施、多額の不用・剰余金の発生、予算と執行の乖離、政府出資法人等への支出に係る問題等が一部の特別会計において見られることは、看過できない。
政府は、各特別会計の性格に応じ、事務事業等の見直しとともに、一般会計からの繰入れの抑制、不用・剰余が生じている事業の縮減、事業の実態に即した適切な予算計上等、歳出・歳入両面での一層の合理化を行い、透明性の確保に努めるべきである。
そして、16年度決算審査においては、
18年2月15日に「特別会計の現状と課題」について参考人から意見聴取を行っており、その参考人に対して「剰余金や一般会計繰入れの削減の取扱を立法で明確化すべきとの見解についての所見」等の質疑が行われている。また、
3月3日の決算委では「特別会計の余剰資金の活用」について、
4月17日の決算委では「地震再保険特別会計を設置し国が地震再保険事業を行う必要性」及び「特別会計の積立金の活用」について、
4月24日の決算委では「特別会計剰余金の一般会計への繰入」について、
6月7日の決算委では「特別会計における多額の積立金、剰余金の一般会計への繰入れの必要性」について質疑が行われている。
委員会で決議があった後、財務大臣から「ただいまの……、特別会計の見直しについて、……の警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。」の発言があった。
会計検査院は、決算委員会が17年6月に決議した検査要請に対して18年10月に報告書(<
概要>(PDF・約237KB)、<
全文>(PDF・約5,917KB))を出し、その所見を次のように締め括っている。
会計検査院としては、上記の各項を含む特別会計全体の見直しに関する進展を注視するとともに、各特別会計における財政統制の状況について、今後とも多角的な観点から検査を実施していくこととする。
19年2月21日の決算委員会で財務大臣が次のように説明している。
次に、特別会計の見直しにつきましては、特別会計の統廃合、一般会計と異なる取扱いの整理、特別会計に係る情報開示という、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律に定められた内容を実施に移すための法律案を本国会に提出したところであります。
平成十九年度特別会計予算におきましては、事務事業の徹底した見直しを行うとともに、財政健全化に五年間で二十兆円程度の寄与を目標とする同法の趣旨を踏まえ、今回の法律案に基づき、七特別会計の剰余金約一・八兆円を一般会計に繰り入れ、財政健全化に寄与することとしております。
そして、
3月16日の参議院決算委員会で次のような質疑が行われている。
○又市征治君 ……
そこで本題に入りますが、私は、特別会計問題はこれまで五十回に及ぶ質問を申し上げてこの問題点と改革を主張してまいりましたが、したがって、今回の特別会計の法案について一面期待を持って見守っておりましたけれども、ゼロとは言いませんが、抜本的改革というのにはほど遠いのではないか、こういう気がしてならないわけであります。
そこで、まず警告決議の第三項、特別会計について政府の講じた措置の文書は、文面はわずか二百字程度で、特別会計法案を出したということと、五年間で二十兆円、二〇〇七年度は一兆八千億円という数値を書いてあるだけであります。そういう意味で、本院の警告決議第三項に対する政府の回答というのは特別会計法案と二〇〇七年度予算案がすべてだということになるわけですから、まず〇七年度予算における一般会計の活用に絞ってちょっと伺っていきたいと思います。
官房長官、もう質問ありませんから、どうぞ退席していただいて結構です。
昨年度も言いましたけれども、政府の活用額は、外国為替特会からの分が〇七年度は一兆六千億円、〇七年度も一兆六千億円で、これがほとんどを占めて、その他の特会からはこれよりも二けた、三けた小さい額を寄せ集めた格好で一兆八千億と、こういうことになっているわけですね。
しかし、この外為特会からの繰入額は従来の毎年の平均ベース額にすぎないわけであって、そこで財務大臣、改革と言うんならもっと大きな額というものをだれもが期待したと思うんですが、そしてまた、それは財政融資特会からの捻出などを含めて考えれば当然可能だったんじゃありませんか。この点、まずお伺いします。
○国務大臣(尾身幸次君) 十六年度決算に関します参議院の議決におきましては、特別会計に関しまして、特別会計の事務事業の見直しに加え、各種の余剰資金の縮減、一般会計への繰入れ・繰戻し、事業の実態に即した適切な予算計上などについて指摘を受けているところでございます。
こうした参議院の議決を踏まえまして、特別会計の見直しにつきましては、徹底した事業の見直しを踏まえた特別会計の統廃合、一般会計と異なる扱いの整理、特別会計に係る情報開示という行政改革推進法に定められた内容を実施に移すための法律案を国会に提出するとともに、十九年度予算につきましては、事務及び事業の更なる見直しを行うとともに、五年間で二十兆円程度の財政健全化に寄与することを目標とする同法の趣旨を踏まえ、今回の法律案に基づき、今お話がございましたが、七特別会計の剰余金一・八兆円を一般会計に繰り入れ、財政健全化に寄与することとしております。
したがいまして、参議院による十六年度決算に関する決議のうち、特別会計に関する部分に対して政府が講じた措置としては、特別会計に関する法律案と十九年度予算がその全容であると考えております。
○又市征治君 そこで、不満ですから具体的にお伺いをしますが、一つは、外為特会の活用額を増やすことについて再検討されたのか。二つ目に、予算案では外為特会以外は六特会に絞って出してきたわけですが、それ以外の特会についてはどのように検討された結果なのか。三つ目に、財政融資特会からの活用はストックだから、フローである一般会計には繰り入れられないというおかしな理屈これまで述べられておりましたけれども、これは再検討されたのかどうか。
以上三点、簡潔、明快にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 外為特会は、外貨準備を保有し、為替相場の急激な変動の際に為替介入を行うために設けられている特別会計であります。その利益である決算上剰余金については、この特会を運営する上で必要な積立金を積み立てた上で残余を一般会計歳入に対して繰り入れることにしております。
十九年度予算におきましては、外為特会の健全な運営の確保の観点とともに一般会計の厳しい財政状況を勘案して、行革推進法の相当と認められる金額を繰り入れるとの規定に従いまして、外為特会の決算上剰余金から十八年度を上回る一兆六千二百九十億円を一般会計歳入に対して繰り入れることとしたものでありまして、財政健全化に対し、可能な限り貢献することに努めたところでございます。
国の財政の健全化に特別会計の剰余金、積立金を活用するとの観点から、特別会計に関する法律案においては、財政融資資金特別会計の積立金が同特別会計の財務の健全性を確保するために必要な金額を超える場合には、予算で定めるところにより、国債整理基金特別会計に繰り入れることができる規定を創設することとしているところでございます。
他の特別会計の場合は、フローの概念である毎年度の剰余金を繰入れ対象にしたことから、毎年、フローの財源として活用するため一般会計に繰り入れることとしたのに対し、財政融資資金特別会計の場合は、ストックの概念である積立金を繰入れ対象にしたことから、ストックの概念である負債、すなわち国債残高の圧縮に充てることを確実にするために国債償還財源として国債整理基金特別会計に繰り入れることができるとしたところでございます。
なお、十八年度における財政融資資金特別会計の積立金十二兆を国債整理基金特別会計へ繰り入れた措置についても同様な考え方に基づくものであります。
○副大臣(富田茂之君) 七特会以外の特別会計について検討を行ったのかというお尋ねでございますが、本法律案におきましては、決算上の剰余金から、まず、見積りに基づきまして積立金として積み立てる必要のある金額を控除しまして、さらに当該特別会計の翌年度の歳出の財源に充てるため翌年度の歳入に繰り入れる必要のある金額を控除しまして、残余につきまして、各会計の財政状況等も考慮しつつ、予算で定めるところにより一般会計に繰り入れるという剰余金の処理に係る各特別会計共通のルールを定めることといたしました。
十九年度予算におきましては、このルールに基づきまして、すべての特別会計について前年度剰余金や積立金の水準を精査し、また必要な積立金の水準を積立金明細表に定めるとともに、特別会計の歳出に計上される事務及び事業の徹底的な見直しを行った結果、これまで剰余金の一般会計への繰入れを行ったことのない五会計を含めた七会計から合計一・八兆円の財政貢献を確保することといたしたものであります。
○又市征治君 前段、財務大臣、失礼ですけどね、何か外為特会の問題、財政融資特会、これ何回ももう壊れたレコードのごとく同じことを繰り返されているわけですが、しかし、去年はそこを一歩踏み越えて何とか二十兆円というところへ行ったわけですよ。もうちょっと、外為特会なんかいつ発動したことがあるんですか。過去に二回だけですよ。たしか私の記憶では昭和三十四年ごろ、二回ぐらい、ほんのわずか出しただけですよ。後はたまる一方だ。だから、こういうのをもっと今の財政状況に踏まえるならば活用すべきだということを申し上げてきているわけで、そこらのところをもう一歩踏み込むべきだということを申し上げているわけです。