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事業仕分けの事後評価的側面


 問題の所在 国会質疑

 問題の所在
 21年秋に民主党政権が行った事業仕分けは政権支持率を一時的に持ち直させる効果があり、政権は22年も4月下旬及び5月下旬に第2弾の事業仕分けを行った。
 21年秋に行った事業仕分けは、22年度予算編成に当たって行われたものであり、いわば、事前に政策評価に他ならないわけであるが、継続事業などについては中間評価、事後評価の性格も有していた。さらに、22年4月と5月に事業仕分けは独法又は公益法人が継続的に行っている事業を対象とするものであり、事後評価の性格を有していた。このため、事後評価の性格を有する他の公活動評価、例えば、行政評価局の活動や会計検査院の活動との性格の違いが問題となる。


 国会質疑
 衆議院の20年度決算に対する審査において、事業仕分けと政策評価等との関係について質疑があったのは22年4月21日の決算行政監視委員会における総括質疑においてであり、総務副大臣、会計検査院長から答弁が行われている。また、22年11月16日の質疑では、行政刷新担当大臣から答弁が行われている。

 (1) 22年4月21日の決算行政監視委員会
 「政策評価の点検活動と事業仕分けはどちらが意味合いとして重いんですか」と問われて、総務副大臣は「非常に連携をしているということでございます。どちらが大事かと言われれば、まさに両輪となってやっているところでございます。」と答弁し、会計検査院の役割と事業仕分けとの整合性を問われて会計検査院長は、会計検査院の検査と政府部内に置かれた行政刷新会議とは、「その立場、目的等が違っている」と答弁している。
○木村(太)〔前略〕
 それから、二十三日から事業仕分けの第二弾がスタートをするということですが、決算の是認を提案している財務大臣は、この事業仕分けというものをどう位置づけ、とらえておられますか。
○菅国務大臣 これもちょっと趣旨をどうとらえていいのかわかりませんが、事業仕分けは、昨年も、行政刷新会議が中心になっていろいろな事業について、まさに効率的にお金が使われているかどうかとか、そういうことの仕分けを行って、それを行政刷新会議、さらには次の予算の編成に当たってのいろいろな参考にしてきたという経緯は、私もかかわりを持っている立場で知っております。
 ですから、そういうことをさらに今回も枝野行政刷新担当大臣のもとで行われるというふうに考えておりまして、財務大臣としてどうかという御質問ですが、そういうふうな認識を持っているということを申し上げておきます。
○木村(太)委員 総務省が実施している政策評価の点検活動というのがありますが、これとこの事業仕分けとの整合性というのはどうなっているのか。政策評価の点検活動と事業仕分けはどちらが意味合いとして重いんですか、総務省。
○渡辺副大臣 これまで、原口大臣が就任してから政策評価にまず最初に出したテーマは、一つには競争入札。入札という名前で結果的には一者応札にしかならないようなシステムに対して、これをあぶり出した。そして、今、二十二年度でやることの中、私も提案しましたけれども、技能検定とか、講習とか検定、一般国民から天下り団体が次から次へとある意味では負担をふやしているようなこういうシステムについて、我々はこの行政評価の中に命じました。
 それによって今わかったことは、これは当然、事業仕分けのチームに対してヒアリングした報告をすべてお渡ししています。ですから、非常に連携をしているということでございます。どちらが大事かと言われれば、まさに両輪となってやっているところでございます。
 我々としては、納税者を大事にしない、まさにあしき旧政権下のシステムを一つでもあぶり出す、そのことを全力を挙げてやっているところでございます。
○木村(太)委員 会計検査院の役割と事業仕分けとの整合性はどうなっているんですか。
○西村会計検査院長 会計検査院は、憲法上、国の決算についての検査機関とされておりまして、内閣から独立した立場で国や国の出資法人等の会計経理を監督する、そしてその適正を期して是正を図っていくということを目的にしております。したがいまして、政府部内に置かれました行政刷新会議とは、その立場、目的等が違っていると思います。
 また、検査院は、個々の会計経理等について、実施状況について検査をいたしまして、この検査においては、正確性とか合規制、経済性、有効性、効率性等の観点から検査を行いますが、その中で問題等があると認めました場合には、指摘をし、また検査報告に掲記をしております。そういう中には、国会あるいは政府等で予算編成等に活用していただくようなものもあるかと思っております。
 以上です。
○木村(太)委員 菅大臣、今、総務省と会計検査院から答弁がありましたが、この政策評価の総務省の仕事、それから会計検査院の仕事、これに事業仕分けというものをゆだねる、そっちの方が効率いいと思いませんか。
○菅国務大臣 先ほど申し上げましたように、行政刷新会議というのは担当は枝野大臣のもとにありまして、総理が議長で、私も行政刷新会議のメンバーでありますから、そういう立場で答えることはもちろんできますけれども、今言われたようなことのトータルのことを検討する担当の責任を私自身が持っているわけではないということをあらかじめ申し上げておきます。
 その上で申し上げれば、今それぞれ総務省なり会計検査院からもお話がありましたように、ある意味で共通した部分もあると思いますけれども、それぞれの特徴を持った立場での検証だと。例えば、政策評価は基本的には各府省がみずから自分たちのやったことについての評価を行うということでありますし、また、会計検査院は内閣から独立した立場で国の会計経理を監督するという立場でありますし、また、事業仕分けは冒頭申し上げたような位置づけでやっておられるわけであります。
 そういう意味では、事業仕分けや政策評価あるいは会計検査院などが、それぞれの特徴を生かしながらさまざまな改革に取り組んでいくということは、私は大変重要なことであろう、このように考えております。
○木村(太)委員 菅大臣に聞きますが、国権の最高機関である我々国会、この国会の決算行政監視委員会の役割も、事業仕分け的な役割をしたらいいのではないかという期待をする気持ちはありますか。
○菅国務大臣 実は私は、かなり以前、野党であったか自社さ政権であったか忘れましたが、国会に、アメリカで言うGAO、ジェネラル・アカウント・オフィスという、会計検査院的な機能をつくるべきではないかということで法案を提出したことがあります。当時、大議論がありまして、国会が行政にいわば勧告とかなんとかで口を挟むのは三権分立に反するのではないかということを、当時の総務庁でありましたか、行政監察局の局長と大議論をやったことがあります。
 私は、今言われたように、国会は国権の最高機関であって、総理大臣を実質的に選ぶ機関でありますから、当然、行政がやったことに対して国会がいろいろと、ある意味で検査をしたり、場合によったら勧告したり、場合によったら、将来、おかしなことをやれば予算はつけないということも可能なわけでありますから、そういうことをやることはあり得ることだと思っています。
 ですから、そういった意味では、この決算行政監視委員会がそうした機能をどこまで持たれるか、これは国会の中で議論されればいいと思いますが、比較的積極的な機能を認めるべきだというのが私の個人的な思いであります。
○木村(太)委員 理事会で、私ども野党の方から吉田与党筆頭理事の方にそういう議論をさせていただいていまして、今、大臣のそういう期待の御答弁もありましたので、委員長、一度議運の委員長ともお話し合いしていただいて、政府が事業仕分けというものをやっているわけですから、国権の最高機関である国会のこの決算行政委員会の果たすべき役割を一度検討するということで、御努力ください。
○今村委員長 ただいまの件につきましては、理事会の協議を含めまして、検討を進めてください。
 質疑の中で出てくる日本版GAOは平成9年の議論であり、その議論の後に、国会法等が改正されて、衆議院では、決算委員会が拡充されて決算行政監視委員会となり、予備的調査の制度もスタートし、参議院では、決算委員会とは別に行政監視委員会が設置された。また、国会が会計検査院に対して検査を要請する制度も作られた。


 (2) 22年11月16日の質疑
 22年11月16日の質疑では、行政刷新担当大臣が「連携を深めていきたい」旨を答弁している。
○平(将)委員 〔前略〕
 それでは、事業仕分けについてお話をしたいと思います。
 事業仕分けとあわせて、この国では、決算については、まずは会計検査院がさまざまな事業をやっています。会計検査院の視点、観点というものがありまして、まずは正確性、正確に決算がされているか、財務諸表がつくられているか。二つ目は合規性、法令に従って適切に処理をされているか。これだけじゃないんですね、会計検査院は。経済性というものもあり、また効率性、もしくは政策の有効性、こういうところまで実は会計検査院が見ることになっています。ですから、事業仕分けとはかなりダブってくるところは多いと思います。その反面、会計検査院は、政府からは少し独立をした組織形態になっていると思います。
 あわせて、総務省の行政評価ですよね。この行政評価も、やはりここ数年、物すごく進化をしていて、かなりチェックをするようになってきていますし、定量的にも定性的にもかなり広範にわたって評価を、総務省もやりますし、各省庁もやるようになっています。これは行政刷新会議の事業仕分けとかなりダブってくるところが多いと思うんです。
 これはやはり、二重に同じことをやっても逆に税金が無駄なので、この辺との連携をどう考えていくかというのも一つの視点だと思いますが、蓮舫大臣の御見解を伺います。
    〔三日月委員長代理退席、委員長着席〕
○蓮舫国務大臣 御指摘、全くそのとおりだと思っております。
 私どもの行政刷新会議による事業仕分けは、オープンな場所で情報を公開して、国民の皆様方に見ていただく形で、税金の使われ方がどのようにあるべきなのか、正すべきところはどこなのかという部分で有益と考えております。
 他方、御指摘の総務省の行政評価におかれましては、ここは政策目標を定めて、その達成度を図ることによって、各府省みずからが政策の効果を把握、分析することを基本としている。
 御指摘の、独立した機関の会計検査院の場合には、まさに挙げられたさまざまな視点において、私どもの政府のお金の使われ方を、改善も含めて指摘をしていただいている。
 また他方で、財務省においても、査定という機能であったり予算執行調査という形で、また一方で、このように国会においても、衆議院、参議院でも御議論をいただいて、本来、税金の使われ方は、二重、三重、四重、多角的な面を持って国民の皆様方に納得のいただく使われ方ができる、そのような組織があるんですけれども、残念ながら、いま一つ機能していないのではないか。
 これは会計検査院のまとめもそうですけれども、なかなか省庁が指摘された事項を守っていない面もあるし、事業仕分けにおいても、今再仕分けを行わせていただいておりますけれども、何度も何度も議論をすることによって、どこが本当に国民の皆様方に納得いただけるお金の使われ方になるのか、これは追い続けていって、本来、理想としては、仕分けも再仕分けもない政府の予算編成というのが最適だと私は思っている。
 そのためにも、連携の仕組みというのは一層議論をしなければいけませんし、今回の事業仕分けの最終日に特別セッションとして、会計検査院、総務大臣、あるいは関係の方たちを呼んで、どうやったらこの連携を深めることができるのか、議論を深めたいと考えています。
○平(将)委員 そのとおりだと思います。多角的にやるというのは大事なんだけれども、連携をするというのも大事です。
 会計検査院なんというのは、ちょっとおれたちは独立していると思っているものだから、何か言われても、はい、聞いておきますという形で、実際それを参考にしても参考にしたとは言わないような体質があるわけであります。しかしながら、税金で運営をされていて、目的はかなり近い。
 総務省の行政評価も、各省庁はその政策について効果を把握し、必要性、有効性、効率性等の観点から評価を行うと。必要性まで判断に入っているわけですから、前から提案しているとおり、事業仕分けをちゃんとやって、その後ちゃんと予算に反映させる仕組みと、さらには、やはりこういうところの連携を定期的にする。
 連絡会議でも何でもいいですから、やはり連携をして、ダブらない、もしくは問題を共有するということが重要だと思いますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 今大臣から、再仕分けの件が出ました。私が文句を言う前にもう先に言いましたけれども、本来、再仕分けというのはおかしいんですよ。事業仕分けをやって評価が出ました、それは行政刷新会議と各省庁の政務三役がしっかりと連携をとって、やらせるのかやらせないのか政治判断をし、その上で、それが結果どうだったのかということを国民の前に明らかにすればいいので、一回仕分けたものをまた引っ張り出してきてどうのこうのというと、パフォーマンスと言われかねない。
 私がなぜこういうことを言うかというと、事業仕分けは、私は賛成ですけれども、反対の人もいるんです。あれはパフォーマンスだと言う人もいるんです。だからこそ、質実剛健でやっていかなきゃいけないので、やはりパフォーマンスじゃないかと言われるようなことはできるだけ避けるべきだと私は思います。
 ですから、きのうも慶応の土居さんに言ったら、いやいや、平さん、そうじゃないんだ、役人のロジックというのは物すごくて、やはりまだまだ政務三役じゃ無理だとは言われませんでしたが、政治家とやるというとまだだめなんだ、だから、一回はやる、ただ、再々仕分けは当然やらないという話をしていました。
 私は、その中で感じたのは、やはり政務三役なり行政刷新会議の政治家が、その仕分けをした省庁に対して、やはりもっと情熱を持って説得しなきゃだめだと思うんですよね。こういう仕分け結果は、こういう理由でこうなったんだ、だからそれをしっかりやれと。どうも役所の人を呼んで聞くと、これはどうしてこうなったのと言ったら、何か上から決まったんです、事業仕分けでばっさりやられちゃいましたみたいな感じになっているんですよ。ここは、やはり政治のガバナンスとして、しっかりと説得をする、役人を説得して動かしていくということが重要だと思いますので、よろしくお願いします。
 〔後略〕


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