〔このサイトは xrea 様御提供の広告(↑)付き無料レンタルサーバー上に構築されています〕
Sorry, Japanese Only
ホーム国会の決算審査参議院の決算審査16年度決算審査16年度決算の議決>内閣に対する警告決議

1 公共調達の随意契約割合の是正


 決議内容 決議の背景 決議時点での当局の姿勢 決議の効果

 決議内容
 参議院決算委員会の平成16年度決算議決における内閣に対する警告決議の第1項目は次のとおり公共調達の随意契約割合の是正についてである。
 平成十六年度に中央省庁が実施した一件五百万円以上の工事の発注や、業務委託等の契約に占める随意契約の件数の割合が約七十パーセントと極めて高率になっており、中でも、国土交通省所管の各建設協会などを始め所管公益法人に発注した契約には、随意契約割合が百パーセント、あるいはそれに近い高率になっている例が少なからず見られ、さらに、これらの公益法人に多数のOBが天下っていることは、契約の公平性、競争性及び透明性の確保に疑念を抱かせ、看過できない。また、IT調達にあっては、民間企業を相手とする随意契約が金額の七割から八割を占めている省庁もある。
 政府は、随意契約の見直しに当たっては、相手方の官民を問わず一般競争入札を原則とし例外的に随意契約を認めている会計法の精神に照らして厳格な運用に努めるとともに、所管公益法人等への業務委託の実施に当たっては、天下りの状況も含め積極的に情報開示を行うなど、国民の不信を招くことのないよう厳正に対処し、公共調達の適正化に努めるべきである。

 決議の背景
 随意契約については、15年度決算審査措置要求決議の第1項目「平成15年度決算検査報告の指摘について」において次のように言及された。
 随意契約の基準を悪用した事件が発生しているが、随意契約については、入札公告等が行われない、特段の理由もなく少額の調達に分割し随意契約とする、随意契約によるものの大きな部分が委託契約で再委託、再々委託が繰り返され効率性が損なわれている等の問題が存在する。本委員会の指摘を受け、政府が随意契約の透明性向上等に向けた方策を取りまとめたことは評価できる。政府は着実に同方策を実施すること等により、随意契約に係る諸問題の解決に取り組むべきである。
 そして、内閣に対する警告決議の第1項目で次のように取り上げられている。
 平成十五年度決算検査報告において、その指摘内容に在外公館における不適正な出納事務、都道府県労働局における庁費等からの不正支出、会計法令の趣旨に反する少額分割による随意契約等の事例が見られたことは、誠に遺憾である。
 政府は、不当事案の根絶はもとより、随意契約を含めた契約の公正性、競争性及び透明性の確保等会計規律の厳正な保持に努めるべきである。
 この決議に対し、18年1月25日の決算委員会で財務大臣が次のように報告している。
 決算検査報告において指摘されました不当事項等の再発防止につきましては、財務省及び各省各庁等において、従来から、文書による要請のほか、会計検査院との会議を始め各種の会議や研修等を通じて、予算の効率的な執行及び指摘事項の周知徹底、再発防止の指導を行い、関係職員の資質の向上を図っているところであります。
 さらに、再発防止のため、厳重な処分を通じ、執行に携わる職員の責任の明確化、綱紀粛正の徹底を図るとともに、内部牽制等を一層充実させ、より一層の予算の適正かつ効率的な執行及び会計事務の適正な処理に努力しているところであります。
 また、随意契約を含めた契約の公正性、競争性及び透明性の確保等につきましては、平成十七年二月に各省各庁に対して、随意契約の公表基準を引き下げること、一括再委託を禁止すること、内部監査において随意契約を重点事項とすること等について通知したところであります。
 今後とも、これらの措置を講ずることにより指摘事項の再発防止に努めるとともに、契約における透明性の向上等を図りつつ、会計規律の一層の厳格化に努めてまいる所存であります。
 16年度決算審査においても、尾立源幸委員が3月3日の委員会で、藤末健三委員と荒井正吾委員が4月5日の委員会で、西島英利委員が4月10日の委員会で、坂本由紀子委員と尾立源幸委員が4月17日の委員会で、藤末健三委員と又市征治委員が4月24日の委員会で、坂本由紀子委員が5月29日の委員会で、それぞれ取り上げている。
 また、この項目は、「1.各府省等が締結している随意契約の状況について」として会計検査院に対する検査要請となっている。
(1)検査の対象
内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、国会、裁判所、会計検査院
(2)検査の内容
 各府省等が締結している随意契約についての次の各事項
 (1) 随意契約を含めた契約全般の状況
 (2) 随意契約の実施状況及び随意契約となった理由の妥当性
 (3) 公益法人に対する随意契約の実施状況及び公益法人による再委託の状況
 (4) 契約の透明性の向上に向けた体制整備の状況
 (5) 随意契約先公益法人における所管府省退職者の再就職者数
 (6) 再委託先への所管府省及び当該公益法人それぞれの退職者の再就職者数
 (7) (5)(6)についてそれぞれの公益法人及び再委託先の従業員に占める再就職者の比率、役員に占める比率


 決議時点での当局の姿勢
 委員会で決議があった後、財務大臣から「ただいまの……、公共調達の随意契約割合の是正について、……の警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。」の発言があった。


 決議の効果
 19年2月21日の決算委員会で財務大臣が次のように説明している。
 所管公益法人等との随意契約につきましては、一般競争入札が原則であるとの原点に立ち返り、国民の目線に立った徹底した見直しを行った結果、金額にして約七割を一般競争入札等の方式に移行することを内容とする随意契約見直し計画を各府省において作成したところであります。また、その他の民間企業を相手とする随意契約につきましても、平成十八年中に同様の見直しを行った結果を踏まえ、平成十九年一月に同計画を改訂したところであります。
 さらに、契約に係る情報公開の充実等につきましては、これまでの取組に加え、平成十八年八月に、各府省に対して随意契約の相手先である所管公益法人等における国の常勤職員であった者の人数の公表、契約に係る問い合わせの総合窓口を設置すること等について通知し、同通知に基づく取組が進められているところであります。
 今後とも、こうした措置を着実に実施することにより、公共調達の適正化に努めてまいる所存であります。
 大臣の説明にある18年8月の通知は、財務省サイトの「予算・決算」のページに唐突な感じ(居心地の悪そうな感じ)で、件名「公共調達の適正化について(平成18年8月25日財計2017号)」が表示され、リンクが張られている。通知の内容も興味深いものになっており、各省各庁の長あてに「このため、今般、入札及び契約に係る取扱い及び情報の公表等について、現在までに取り組んできた措置等も含め、改めて、下記のとおり定めたので、入札及び契約に係る手続きの一層厳格な取扱いを行うとともに、情報公開の充実に努められたい。」と命令口調であり、「下記」では内部監査の留意点まで定めている。通知上、その根拠は明記されていないが、想像するに、会計法第46条第1項(財務大臣は、予算の執行の適正を期するため、各省各庁に対して、収支の実績若しくは見込について報告を徴し、予算の執行状況について実地監査を行い、又は必要に応じ、閣議の決定を経て、予算の執行について必要な指示をなすことができる。)の権限の行使の予告なのではないかと思われる。
 また、19年1月には「公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議」で「所管公益法人等以外との随意契約の適正化について」が取りまとめられており、これについて3月16日の参議院決算委員会で次のような質疑が行われている(答弁している政府参考人は主計局次長)。
○小池正勝君 それでは、また後ほど詳しく聞かしていただきます。
 そこで、今度は政府全体のお話をさせていただこうかと思うんですが、今年の一月二十六日に公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議というのが開かれたというふうにお話を聞きました。
 そこで、各省庁がこの随契問題に真剣に取り組むという申合せを行って、国の随契の割合、国の随契の六割に当たる二兆一千億円をこれからは一般競争にするんだと、これは政府全体ですよ、一般競争にすると、残りの四割の一兆三千億は引き続き随契と、こういうことが決められたというふうにお話を承ったんですが、この四割に当たる一兆三千億円というのはなぜ随契のままなんでしょうか、なぜできないんでしょうか。
○政府参考人(鈴木正規君) お答え申し上げます。
 今お話がございましたように、随意契約につきましては、公共調達適正化に関する関係省庁連絡会議というのを設けまして、各府省において可能な限り一般競争入札等に改めるという考え方の下で検討作業を行ってきたところでございます。
 今御指摘ありましたような、今後も競争的でない随意契約によることがやむを得ないというものがどうしても出てきたわけですけれども、これらの中身については、例えばライセンス国産による武器等防衛装備品の調達や貨幣の鋳造など、法令等によりまして契約先が特定されているもの、あるいは庁舎等の借り上げで、その場所でないと行政目的が達せられないというような理由で供給者が特定されているもの、あと電気、ガス、水道等と、こういうふうな契約については、やはりその契約の性格上引き続き競争的でない随意契約によらざるを得ないということになったということでございます。
○小池正勝君 そこで、昨年の決算委員会でこの随契が問題だということを言われた一つの例として、先ほど環境省さんのホームページのお話もさせてもらいましたが、こういった情報システム、ホームページの保守管理の問題とか、あるいはコピー機のレンタルなんというのも随契でしておったという指摘があって、これ、だれ考えたって随契というのはおかしくないかとだれでも思い付く話なんですが、あるいは調査研究業務なんということも言われたんですけれども、こういったものについてはもう随契はありませんね。
○政府参考人(鈴木正規君) 今申し上げましたように、今お話がありましたようなものについては競争的な契約に移行していくということで、やはり一般競争入札にするためには公告縦覧等の準備も必要ですので一定の時間は必要になる場合もあろうかと思いますけれども、申し上げましたように、各府省においてそういうものはすべて一般競争的な入札方式に移行していくということでございます。
○小池正勝君 冒頭申しましたように、簡素で効率的な政府にするというからには、この随契、独占的にやる随契というのはどうしたって高コスト体質になるし、先ほど申したように、変に癒着の疑惑を招くなんという変な話にもつながっていきかねない話でございますから、是非とも随契、できる限り少なくしてもらいたいと思うんですが、もちろんそうはいっても、どうしても随契でなければならないものが全くゼロになるということは、これは無理なのもよく分かります。その際には、それをなぜそうしたのかという理由をきちっと公開して国民の皆さんに明らかにしなければいけないと思うんですが、それはきちっとされるんでしょうか。
○政府参考人(鈴木正規君) それは、それぞれの随意契約をせざるを得なかった理由を公にするというふうに取り扱うことになっております。
○小池正勝君 そこで、正に政府の試算でもよろしいんですが、今回このような形でできる限り一般競争にするという形にしたときに、正に高コスト体質の、高コストの削減といいますか、経費節減ということからいって、どれぐらいの金額、削減効果があるんでしょうか。
○政府参考人(鈴木正規君) やはり、一般競争入札に移行するということでございますので、落札結果によって結果が出てくるということですので、あらかじめどのぐらいの効果があるということは定量的になかなかお示しするのが難しいわけですけれども、例えば今年の予算におきましては、できるだけそういうふうな移行の部分を反映して、例えばリース契約に移行した部分のものがどのくらいあるかとかいうことは予算の決定の際に少しお示しするなどして、断片的ではございますけれども、そういうふうな情報も開示しておりますし、また契約の落札等につきましては、それぞれのところで落札結果が判明していくというふうに思っております。
○小池正勝君 今回の予算、十九年度の予算で財務省さんの方で試算をはじいているというお話を承ったんですが、その額を教えていただきたいんですが。
○政府参考人(鈴木正規君) 今申し上げましたように、いろいろな入札の結果がございますので、それを網羅的というわけではないんですけれども、今回発表したものは、例えば複数年度を前提にした一般入札を行うことによって情報システムやコピーの賃料の経費が安くなるということがもう予算の策定段階から見込めるものがございます。こうしたものを計算いたしまして、十九年度分として百六億円の縮減が図れるというふうに見込んでおります。
○小池正勝君 百六億円というとこれはもう大変大きな額になるわけですが、そこで大臣にお伺いしたいんですが、今、百六億円、十九年度に限っただけでも百六億円の削減効果があると。正に、大臣よくおっしゃっている、小さく、簡素で効率的な政府と、行財政改革必要だとおっしゃっておられるわけですけれども、正にそのとおりだろうと思うんですが、大変この高コスト体質の削減には随契から一般競争に変えるということは大変効果があると思うんですが、是非これを積極的に進めていってほしいと思うんですけれども、大臣からそのお考え、決意といいますか、お考えをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 先ほど来お話にありますように、随意契約につきましては、昨年の二月以来、各府省において見直し作業を行ってまいりました。本年一月に一通りすべての随意契約についての見直し作業が終了をいたしまして、従来競争を行っていなかった随意契約合計三・四兆のうち、金額にして約六割強に当たります二・一兆円を一般競争入札等の方式に改めていくということにしたわけでございます。  今後、各府省におきましてこの見直しを着実に推進をしていき、引き続き随意契約の適正化、透明化に努めていくことが重要であると考えております。

リンク・フリー