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エネ特剰余金


 問題の所在 国会質疑

 問題の所在
 エネルギー特別会計については、会計検査院が平成13年度決算検査報告で「特定検査対象に関する検査状況」として報告した「特別会計の決算分析について」の「3 本院の所見」において、
(オ) エネルギー対策関係の会計は、安定的な財源である特定財源を有し、財源面では一般会計への依存の程度も低く、相対的に自立した財政運営を行っている。また、特定財源に充てられる国税は、国のエネルギー政策等を反映して税率変更がたびたび行われている。一方、会計によっては毎年度多額の剰余金の計上が続き、歳出規模に比して極端に高い水準となっている。(電源開発促進対策特別会計(電源立地勘定)、石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計(石油及びエネルギー需給構造高度化勘定))
とした上で、「[別添] 個別の特別会計の状況」において、「石炭並びに石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計」について、「留意すべき事項等」として次のように報告している。
(イ) 石油等勘定
 特定財源として一般会計から本勘定に繰り入れられる石油税収のうち、費用に照らして繰入れの必要がないと認められた金額は一般会計に留保されており、13年度末現在で留保されている石油税収は2964億円となっている。
 これに対して、本勘定の歳出予算の執行率は、昭和57年度の85%をピークとして平成13年度に58%に低下している。これは、石油公団が行う石油備蓄事業等において、緊急時の備蓄石油の放出に備えて計上している予算が執行を要しなかったことなどが主な要因とされている。このため、上記の留保財源以外にも、毎年度多額の歳計剰余金が発生し、この資金が本会計に滞留する状況が続いている。
 したがって、このような資金の滞留を解消するための措置を検討する必要がある。

 そして、翌年の「平成14年度決算検査報告」では、「特定検査対象に関する検査状況」として「石油及びエネルギー需給構造高度化対策特別会計石油及びエネルギー需給構造高度化勘定の決算状況について」を報告し、次のように所見を述べている。
4 本院の所見
 石油等勘定において毎年度多額の剰余金を生じているのは、石油等対策実施のため、毎年度多額の石油税収入が一般会計から石油等特会に繰り入れられているー方で、前記のような各種の事情から、石油安定供給対策費を中心として相当額の不用額が生じている状況が長期間継続して繰り返されていることによると認められる。
 一方、資源エネルギー庁においては、エネルギー分野における地球温暖化対策の一層の充実・強化が今後の重要課題となっている状況において、石油対策予算の一部削減を行うとともに、新エネルギー・省エネルギー対策予算の拡充・強化を図るなどの予算の重点化に取り組んでいる。また、地球温暖化対策の一層の充実・強化等に伴う負担の公平の観点からの石油税の見直し、更には石油公団改革などに取り組んでいる。
 ついては、石油等対策を取り巻く上記のような状況を踏まえ、剰余金の減少策及び今後多額の剰余金が発生しないための方策について検討することが望まれる。

 さらに、20年10月には「エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定における剰余金について」会計検査院法第36条の規定により意見を表示し、これを19年度決算検査報告で「エネルギー対策特別会計エネルギー需給勘定において、過年度の不用額の発生要因を十分に見極め、歳出予算の見積りを行う際に反映させるなどして剰余金を減少させるよう意見を表示したもの」として報告している。その所見は次のとおり。
3 本院が表示する意見
 経済産業省及び環境省は、不用額の発生に対応した借入財源等の縮減、前年度歳入増等見込額の計上等によりエネルギー勘定の剰余金の縮減を図ってきているものの、なお特定の20目34目細において継続して多額の不用額が発生しているものなどが見受けられる。
 我が国は、原油を始めとするエネルギー資源の需給が中長期的にひっ迫するという状況にあるとともに、地球温暖化対策の充実・強化等への対応も迫られている。また、一方で、財政健全化への積極的な取組も求められている。
 ついては、経済産業省及び環境省において、エネルギー勘定における過年度の不用額の発生要因を十分に見極め、歳出予算の見積りを行う際に反映させるなどして、一般会計からの繰入額が適正な規模になるよう、ひいては剰余金を極力減少させるよう次のとおり意見を表示する。
ア 従前の予算の内容及びその執行状況を十分把握して、不用額の発生要因を見極めること
イ 不用額の発生要因が予算額と執行実績との継続的なかい離、事業を実施するための環境の変化等に起因する場合は、歳出予算の見積りに当たり、それらを十分考慮した適切なものにすること

 翌年の20年度決算検査報告では、その後の状況を次のように報告している。
2 当局の処置状況
 本院は、経済産業省資源エネルギー庁及び環境本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、経済産業省及び環境省は、本院指摘の趣旨に沿い、21年7月までに事務連絡を発するなどして、従前の予算の執行状況等を十分把握して不用額の発生要因を見極めるよう関係各課等に指示を行っていた。
 そして、22年度の歳出予算の見積りに当たって、これらを十分考慮した適切なものになるよう引き続き検討を行っていくこととしている。



 国会質疑
 22年5月17日の衆議院決算行政監視委員会第3分科会での質疑は次のとおり。
○菅川分科員 〔前略〕
 そんな中で、次はエネルギー特別会計についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
 このエネルギー特別会計なんですが、会計検査院が、平成十四年度決算、そして平成十九年度決算について検査を行われております。その両方の検査におきまして、多額の剰余金が生じているというようなことが指摘をされております。
 この剰余金につきまして少し、発生の原因と、これについての対策、特に平成十四年の指摘を受けてからの対策、対応のあり方というものを教えていただきたいと思います。
○直嶋国務大臣 エネルギー特別会計につきましては、御指摘の平成十四年ころはそうでございますが、税収を直接、特会に歳入として入れまして、そしてその特会の中で必要な経費を使っていく、こういうやり方をとっておりました。今議員御指摘のように、その特会に剰余金とか資金が、かなり多額のものが積み上がってくる、こういう構造になっておりました。
 それを、特別会計のさまざまな議論の中で、一つは、税収そのものはまず一般会計に入れさせていただく、そして、一般会計は財務省の所管になりますから、我々の方は今度は特別会計で必要な予算をきちっと見積もって、それに必要なものを特別会計に繰り入れていただく、そういうやり方に変更いたしました。その結果として、いわゆる無駄な資金が特会に積み上がるという基本的な構造は解消できたのではないかと思っております。
 ただ、そうはいいながら、やはり幾らかの形で、例えば平成二十年度はエネルギー需給勘定における剰余金は約二千五百三十億円ございます。内訳を申し上げますと、これは二十一年度への事業を繰り越したものが九百二十六億円、それから歳出が不用になった不用額が五百六十五億円、歳入の増加が三百四億円、そして前年度剰余金受け入れの増加額が七百三十三億円、こういう構造になっております。
 つまり、需給勘定の剰余金のうちのほとんどのものは、年度内に執行が終了しなかったため翌年度に繰り越して執行するもの、つまり支出先が決まっているもの、それから、予算の効率的な執行などにより支出額が減少した場合により発生する不用額、こういうものが大半になっております。
 翌年度繰り越しが発生した主たる原因としまして申し上げますと、非化石エネルギー等の導入促進対策費の補助金について、風力発電設備整備事業の実施に当たり、地元住民との調整に時間を要しまして、事業を年度内に終了できなくなったこと、それから、認証排出削減量等、これはいわゆる国連のクレジットの取得でございますが、この委託費について、相手国との交渉に時間を要したため年度内に事業を終了できなくなったもの、こういったものがございます。
 それから、先ほど申し上げた四つの中での不用額が発生した主なものとしては、国家備蓄石油管理等の事業において、備蓄基地の修繕保全工事の規模、内容の変更がございまして、競争入札の実施によりコストを削減したことにより百一億円が不用となっております。
 それから、国内石油天然ガス基礎調査におきまして、石油価格の高騰の影響により採掘用船舶の手配が難航いたしまして、その結果として六十二億円が不用になった、こういうことでございます。
 できるだけ予算どおり、きちっと事業を遂行するということ、それから、今申し上げたようなさまざまな要因がございますが、そんな中でも予算の的確な執行に努力したいと思いますし、できるだけ効率よく使うということに心がけてまいりたいというふうに思っております。
○菅川分科員 御説明ありがとうございます。
 確かに、地元との調整がなかなかつかないこと、もしくは相手国との話し合いの中で翌年度にずれ込むこと、そういったこともあると思います。
 今、多分、御説明があった中にもあると思うんですが、二十年の決算を見ている中でも、私の見た資料では、エネルギー需給勘定の中に不用額が千七百五十四億あって、電源開発促進勘定で不用額が二百五十九億生じているとなっておりました。
 また、その中でも、事項別で見たときに、エネルギー源多様化等経費という項目があるんですけれども、この経費、当初の歳出予算額が八百九十六億という予算額になっているんですけれども、実際、予算の消化が四百二十六億と、四七%しか予算を消化していないというものがありまして、翌年に繰り越しがそのうち三百七十六億、不用額が九十二億というふうになっております。
 こういったものや、もう一つ、エネルギー需給勘定で言いますと、温暖化対策経費というものが、歳出予算が六百七十六億で、支出済み歳出額が三百十一億と、実際には四六%の支出にとどまっておりまして、翌年の繰り越しが三百三十一億、不用額が三十三億となっております。
 これは、この項目を見る限り、エネルギー源の多様化もしくは温暖化対策というと、今一番重要なところではないかと思っております。いずれもこの重要なところで、どうしてこんなに支出が低くなったのか。もちろん、効率よく経費を削ったということであれば、それにこしたことはありませんけれども、そうではなくて何かしら大きな原因があったのかどうか。また、不用額もかなり大きな金額ではないか、割合的には大きなものではないかと思っておりますので、その点につきまして御説明をいただければと思います。
○近藤大臣政務官 菅川先生にお答えいたします。
 菅川先生は税理士の事務所を開設されていて、その意味では、こうしたお金の問題についても大変きちっと分析をされて、その上での御指摘かな、こう思うわけであります。
 御指摘のとおり、エネルギー源多様化等経費については、歳出予算現額が八百九十六億円に対して、支出の部分が四百二十六億円、すなわち執行率については四七%となっている、余りに低いのではないか、こういう御指摘でございます。
 大臣が先ほど御答弁をさせていただいたとおり、なぜこのようなことが起きるかと申し上げれば、基本的には、翌年度に繰り越して執行する額が三百七十六億円ございます。不用額が九十二億円となっております。こういうことでございます。すなわち、翌年度の繰越額がかなりの部分を占めている、こういうことであります。
 その要因は、繰り返しになって恐縮でございますが、風力発電事業における地元住民との調整に時間を要したこと、また、建築基準法等の改正による建設工事の遅延等により事業を年度内に終了できなかったことによる繰り越しが二百七十九億円。また、住宅用太陽光発電の導入支援補助金について、平成二十年度補正予算で九十億円を計上したものの、世界的に太陽光の発電システムというのが広がっているものですから、その資材が不足したこと等により設置工事が年度内に終了しなかったことによる繰り越し八十三億円等が挙げられているわけでございます。ですから、大宗は翌年度繰り越しで、一つ一つ考えれば理由があるということでございます。
 ただ、御指摘の、不用額が九十二億円だよ、これもどうなっているんだという御指摘かと思います。この点については、やはりきちっと見定めなければいけない、このように思いますし、御指摘を踏まえて効率的な改善をしなければならない、このように考えるところでございます。
 また、次に、温暖化対策経費でございますけれども、歳出予算額六百七十六億円に対して、支出済み歳出額が三百十一億円となり、この割合、すなわち執行率は四六%でございます。この場合の翌年度繰越額が三百三十一億円、全く使わなくなった不用額が三十三億円となっております。
 こちらのケースも、先ほど御説明させていただきましたが、排出量取引の認証委託費について相手国との交渉に時間を要したこと等により、年度内に終了できなかったことによる繰り越しが二百五十八億円と大変大きな割合を占めている、こういうことでございます。ただ、こちらの方も、三十三億円が不用額、こういうことでございます。
 九十億円と三十三億円の不用額があるわけでございますから、こちらの歳出予算の見積もりに適正に反映させるため、発生要因を十分に見きわめ、引き続き改善の努力を行い、執行率の向上に努めてまいりたい、このように考えております。
○菅川分科員 済みません。再度の説明をいただきまして、ありがとうございました。
 もろもろの原因というのがあると思いますけれども、やはりこれだけ繰り越しがあるとなると、当初の予算の見積もりのあり方そのものがどうであったのかということ、また、不用額も九十二億、三十三億という金額になってまいりますと、国民から見ますと、例えば、特別会計だから少し予算の見方が甘かったんじゃないかとか、そういった疑念を持たれることがないようにしていただければと思っております。相手の必要なものもありますので、なかなか難しい点もあろうかと思いますけれども、やはり予算の中身というもの、これをもう少し国民にとってわかりやすい内容にしていくことが必要なのではないかと思っております。
 また、電源開発促進勘定の方でも同じような内容のものがあると思っております。こちらの方は五〇%を切るような支出済み歳出額の割合というものはないのですけれども、ただ、八四%、八二%という電源立地地域原子力防災体制整備等経費とか原子力安全規制整備実施等経費、これはいずれも額はそんなに大きな予算ではないのですけれども、例えば防災体制整備となると、やはり必要な整備ではないかと思われますし、また、原子力安全規制という問題は、これは原子力に関しましては特に安全性というものが叫ばれているところでございますので、こういったところで特に不用額がどちらかというと大きな割合を占めているといったことに関しまして、この原因というものをちょっと教えていただければと思います。
○近藤大臣政務官 お答えいたします。
 御指摘の電源立地地域原子力防災体制整備経費でございますが、不用額は十億円、こうなっております。また、原子力安全規制整備実施等経費については、この場合、不用額が二億円、このようになっております。
 こちらでございますが、執行率が前者の方は八四%ということでございますが、この原因でございますけれども、基本的には競争入札の結果、契約金額が予定額を下回ったものである。したがいまして、予算の効率的な執行という観点からは大きな問題のある不用とは考えておりません。むしろ、競争入札によって当初の見積もりよりも低くおさまった、こういうことだろうと思っております。
 また、安全規制整備実施等経費につきましても、同様に競争入札の結果による契約金額の減でございまして、こちらの方も特段大きな問題になる不用とは考えておりません。
 ただ、いずれにいたしましても、こちらの方は大きな問題はございませんが、先生御指摘のように、やはり大きな不用額というのは国民の皆様から見ていかがかというのはそのとおりでございまして、こうした競争入札による効率化というのは正しいことであろうかと思いますが、御指摘のように、特別会計だから甘いのではないかという御指摘を受けないように効率的な執行に努めていかなければならない、このように考えております。
○菅川分科員 以上で質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。


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