外務省所管の旅券電子申請システムについては、
18年度の予算執行調査で取り上げられ、「問題点」として次の指摘が行われた。
電子申請による発給件数が極めて低調(累計133件)。他方、運営経費は年間平均約8億円。1件当たりのコストは約1,600万円で、通常発給(約3〜4千円)と比べ5,000倍以上。
そして、「要因」として次のことが挙げられている。
利用が低調な理由として、申請に住基カードの取得が必須であるが、その取得者数が未だに僅少(人口比0.54%)なことや、セットアップコストが高い等の一般的要因に加え、申請者にとって10年(5年)に1回しか利用機会がなくメリットが実感しにくいなど、旅券申請の場合の固有要因も存在。
その結果、「改善点・検討の方向性」として次のように総括されている。
政府は一般行政サービスの電子申請システム化を推進しているが、旅券発給に関する状況等を勘案した場合、厳しい財政事情から見て、その継続は合理性を有するとは言い難い状況。本システムの廃止を含めた見直しを早急に検討すべき。
そして、
予算執行調査結果の19年度予算への反映状況では、これを廃止して予算を8億62百万円節減したことが説明されている。
現時点において、本システムの大幅な利用率の向上の目処が立たない中、継続は困難との結論に至り、本システムの運用を18年10月末日をもって停止し、19年度予算に本システムの運用に係る経費を計上しないこととした。
また、16年度の電子申請率が0.94%であることは会計検査院が参議院決算委員会の要請を受けて実施した会計検査の結果の報告書「
各府省等におけるコンピュータシステムに関する会計検査の結果について」に
載っていて、その概要として17年度決算検査報告にも
載っている。
17年度決算審査においては、
3月16日、
5月9日の委員会で取り上げられている。
委員会で決議があった後、内閣府特命担当大臣から「ただいまの電子申請等のIT利用促進について、……の審査措置要求決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後一層努力してまいる所存でございます。」との発言があった。