厚生年金の標準報酬月額等について、不適正な遡及訂正処理による記録の改ざんが組織的に行われていた疑いのある事例が約六万九千件もあることが明らかになったことは、極めて遺憾である。
政府は、年金記録をめぐる問題が次々と明らかになる現状を重く受け止め、標準報酬月額等の記録の改ざんが行われた被害者の救済に全力を尽くすとともに、社会保険事務所職員による関与の実態の全容解明に努め、関与が明らかになった職員に対しては刑事告発を含む厳正な処分を行うことにより、公的年金制度に対する国民の信頼回復に万全を期すべきである。
○国務大臣(菅直人君) 平成十九年度決算に関する参議院の議決について講じた措置につきまして御説明申し上げます。
〔中略〕
次に、厚生年金記録改ざん問題につきましては、標準報酬月額等の不適正な遡及訂正処理の可能性がある約六万九千件の記録のうち、約二万件の受給者について、平成二十一年度三月末までに戸別訪問をおおむね終了しました。
平成二十年十月までにすべての年金受給者、加入者にねんきん特別便を送付するとともに、加入者については平成二十一年四月から標準報酬等の情報を含むねんきん定期便を順次送付することなどを通じて、本人に記録を確認していただき、被害者救済を進めております。
その際、一定の条件に該当する場合は、年金記録確認第三者委員会に送付することなく社会保険事務所において迅速に記録訂正をすることとしております。
また、厚生労働大臣の下に年金記録の回復に関する委員会を新たに設けたところであり、標準報酬等の不適正な遡及訂正処理の問題についても、当該委員会の議論も踏まえ、より迅速な被害者救済の方策について検討を行っております。
約二万件の戸別訪問において、不適正な遡及訂正処理への職員の関与をうかがわせるような内容の回答があった事案等については順次調査を実施しており、関与が明らかになった職員に対してはこれまでに戒告等の処分を行ったところであります。
今後、更に不適正な遡及訂正処理への職員の関与が明らかになった場合には厳正に対処し、国民の信頼回復に最善を尽くす所存であります。
〔後略〕