参議院決算委員会の平成16年度決算審査措置要求決議の「8 特別会計積立金の一層の活用方策の検討について」の内容は次のとおりであり、政府に対する措置要求決議である。
特別会計については、会計検査院のレポートが各種あり、14年秋の平成13年度決算検査報告では特別会計全体を俯瞰する「
特別会計の決算分析について」というレポートを出している。
参議院決算委員会では、17年6月の15年度決算審査措置要求決議で「
2 特別会計の事務事業等の見直しについて」として次のように決議している。
現在31ある特別会計は、その歳出総額が17年度当初予算で411兆余円、純計額でも 205兆余円に達しており、その規模は一般会計を大きく上回っているが、透明性の欠如、不要不急の事業の実施、多額の不用、剰余金、積立金の発生、政府出資法人等への支出等に係る問題等、多くの問題点が存在する。
とりわけ特別会計の不用、剰余金の抑制は喫緊の課題であり、政府は、各特別会計の性格に応じ、不用、剰余金を抑制するとともに、一般会計からの繰入れも抑制するなどの措置を講ずべきである。
また、産業投資特別会計においては、NTT株式売却収入を活用した無利子融資制度を原則廃止することとしたが、さらに、償還終了時の同特別会計社会資本整備勘定の廃止等の具体的措置について調査・検討する必要がある。さらに、産業投資特別会計から研究開発法人への出資状況とその有効性・効率性について調査・検討する必要がある。
農業経営基盤強化措置特別会計においては、歳入額に対する歳出額の比率が著しく低く、多額の決算剰余金が生じている。同特別会計における各事業の執行状況と決算剰余金の使途について調査・検討する必要がある。
空港整備特別会計においては、空港建設を始めとする空港整備事業等が行われている。関西国際空港二期事業の2007年限定供用決定の前提となった需要予測及び採算を確保するためには、関西国際空港株式会社の安定的な経営基盤の確立に向けた経営改善努力が不可欠になっている。政府は、同社の経営改善及び収益向上に取り組み、その有効性を検証すべきである。
そして、18年秋を目途とする検査要請の決議も行っている。
16年度決算審査においては、
2月15日の委員会で特別会計の現状と課題について参考人から意見聴取と質疑を行っている。また、
3月3日の決算委では「特別会計の余剰資金の活用」について、
4月17日の決算委では「地震再保険特別会計を設置し国が地震再保険事業を行う必要性」及び「特別会計の積立金の活用」について、
4月24日の決算委では「特別会計剰余金の一般会計への繰入」について、
6月7日の決算委では「特別会計における多額の積立金、剰余金の一般会計への繰入れの必要性」について質疑が行われている。
そして、「
特別会計の見直し」について内閣に対して警告している。
委員会で決議があった後、財務大臣から「ただいまの……特別会計積立金の一層の活用方策の検討について……の審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたしますとともに、」との発言があった。
会計検査院は、決算委員会が17年6月に決議した検査要請に対して18年10月に報告書(<
概要>(PDF・約237KB)、<
全文>(PDF・約5,917KB))を出し、その所見において、次のように述べている。
決算剰余金及び積立金等の内容や残高に留意し、各特別会計やその財源の性格、事業に対する需要の動向等からみて可能な場合は、下記の方策等を講ずることにより、一般会計への繰入れも含めてその有効活用を図るなどの検討を行うこと
(ア) 決算剰余金の一般会計への繰入れ等に必要な規定の整備を図ること
(イ) 積立金等の適正な保有規模について検討すること