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日本の財政管理>内部統制>会計検査院と各省各庁の内部統制
会計検査院と各省各庁の内部統制
内部統制と外部監査機関は積極的な関係を持つことは二重責任の原則から望ましくない。日本の財政管理においても会計検査院は、近年、内部監査に関して報告書を出しているが、そこでも内部監査に対して指導する立場であるというニュアンスはない。例えば、14年11月の報告「国の機関が内部監査として実施する会計監査の状況について」の「所見」は次のように遠慮がちに述べている。
国の機関における会計監査は、会計経理と予算執行に対する内部統制の手段であり、国の会計経理、事務・事業の執行等を適切に評価し、また、不適切な事態の是正とその再発防止に努めることにより国の事業目的の達成に寄与することが要請されている。
会計監査機構は、前項までにみたように、その権限及び業務について一定の独立性を確保し、又は監査計画、監査マニュアル等の作成等による監査内容の標準化、監査結果の有効活用等により監査の実効性の向上を図り、もって会計監査が本来備えるべき機能を十分に発揮することができるよう会計監査の実施体制について一層の整備を図ることが望まれる。
国の機関の会計監査と本院の会計検査とは、その権限等に相違があるものの、国の会計経理と予算執行の適正化を図るという基本的な目的とこれを達成するための監査・検査の観点で共通している。この共通の目的の達成のため、本院としては、今後とも会計監査機構との連携を図りつつ、国の機関における有効な会計監査体制の整備とその運用の状況について、引き続き注視していくこととする。
また、国に関するものではないが、18年11月の報告「政府出資法人における内部監査等の状況について」の「所見」では次のように述べている。
したがって、各法人においては、次の点に留意し、他法人における監査状況等も参考としつつ、監査体制等の充実に努めることが望まれる。
……
本院では、検査対象機関の内部監査の重要性にかんがみ、内部監査等の統一的な分析や検討を行うとともに、内部監査担当者との連絡会を開催するなど、政府出資法人を含む検査対象機関の内部監査等の実効性の向上に資するための取組を行っているところである。本院としては、今回の検査の状況も踏まえ、今後とも政府出資法人における内部監査等について、その体制整備や運用状況等について引き続き注視していくとともに、各法人の検査に当たっても内部統制の有効性に留意して実施していくこととする。
一方、会計検査院は、そのサイトによれば、各省庁や政府関係機関、独立行政法人、都道府県等地方公共団体の内部監査職員を対象とする講習会を開催したり、内部監査担当者連絡会を開催したりしている。
また、近年、会計検査院の検査に対応して検査対象機関が独自に是正を図り、その結果を公表する動きがある。
- 文部科学省が17年8月29日に発表した「国立大学法人の平成16年度財務諸表について」では、その「国立大学法人の平成16事業年度財務諸表の概要(説明本文)」の「3. 平成16事業年度財務諸表」に「(5) 資本金額の修正」の項を置き次のように説明している。
平成16年11月から平成17年7月にかけて実施された会計検査院の実地検査において、法人設立当初の出資対象資産の範囲及び資産の評価額に誤りがあるとの指摘を受けたことを契機に、各国立大学法人において正しい財務諸表を作成するために出資対象資産について精査したところ、誤りが判明したため、当初の資本金額に比べ差し引き176億円を修正増としております。これは、主に国立大学法人移行の直前の平成15年度末に建設・修繕した建物等について旧国立大学の内部部署間における連絡が十分に行われていなかったこと、減価償却の適用の誤りなどにより発生したものです。
なお、平成16事業年度における財務諸表は、この誤りを修正した後のものです。
- 財務省が17年10月28日に航空機を使った出張旅費について、3月の会計検査院の検査で指摘を受けて全国的に過去5年分の調査を行った結果を発表し、各紙で報道された。この件については、18年7月7日に国土交通省が16年度分の調査の結果及び是正状況並びに既往5年分の全省調査を年内に行うことを公表、7月20日に法務省が5年分の結果と是正状況を公表、9月20日に総務省が5年分の結果と是正状況を公表、19年2月28日に海上保安庁が5年分の調査結果と是正状況を公表、3月28日には国土交通省が5年分の調査結果と是正状況を公表していることが報じられている。
- 農林水産省が19年4月13日に、平成17年度の会計実地検査において、対象農用地の選定、傾斜度の測定等が適切に行われていないなど制度の適切な実施が確保されていない旨の指摘を受けたことを踏まえ、すべての都道府県及び市町村を対象に制度が適切に実施されているか実態調査を実施させ、検査において指摘された事案も含め是正が必要と判明した事案について是正計画を策定させることとして、その状況を公表している。
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