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平成17年の会計検査院法改正

 会計検査院法が平成17年に改正された。参議院決算委員長の提案になる改正案は参議院も衆議院も全会一致で可決された。この改正について、参議院法制局サイトは「最近の主な成立参法」ページで次のように紹介している。

会計検査院法の一部を改正する法律(平成17年11月7日法律112号)
〔背景〕
 近年、国会における決算審査の充実に向けた取組が進められてきており、こうした中、会計検査院の行う会計検査そのものについても、その機能の一層の強化及び活用を図るための立法措置を講じる必要があるとの議論が高まっていたこと。

〔内容〕
 会計検査院が国の役務の請負人等の契約に関する会計についての検査及び意見を表示し又は処置を要求した事項等についての国会等への随時の報告を行うことができることとするとともに、実地の検査等に応じる義務を明記するもの。

以下の項目をクリックすると、資料(PDF形式)が参照できます。
法律の条文
法律案要綱

 また、官公庁通信社の週刊会計検査情報17年11月3日号は次のように伝えている。
検査院法が改正 権限・機能の強化へ
会計検査院の権限・機能を強化する検査院法の一部改正が、10月28日の衆議院本会議で可決、成立した。検査対象機関の実地検査に応じる義務や、現在、基本的に年1回となっている国会と内閣への報告を随時行えるようにすることなどを明記した。また情報システムの開発業者や庁舎管理業務の請負業者など、これまで検査権限が及ばなかった役務の請負人や業務の受託先を検査対象にできるようにする権限の拡大も図った。改正法は官報で公布され次第、施行となる。(2面に改正の新旧対照)
今回の改正は、参議院決算委員会の超党派の協力による議員立法で起草された。法案は先の通常国会に上程されていたが、その後の衆院の解散により廃案になっていた。衆院選後の特別国会に再び上程され、成立した格好となる。
改正のうち検査に応じる義務は、円滑な検査の担保が目的。会計検査は実質これまでも義務的に行われているが、条文に明記することで、検査する側と応じる側の立場を明確にした。
国会・内閣への随時報告は、重要な検査案件について、国会で適宜審議できるようにするのが狙い。参院では国会法105条に基づく検査要請の積極活用などを図っているが、そうした動きとあいまって決算審査の充実を図る構えだ。
28日、衆院での可決を受けて開かれた参院決算委の理事らによる記者会見では、「独立機関の検査院をフル活用することが参院の使命」「検査院にしっかり働いてもらうための改正」などのコメントがあった。  

 上記によれば、参議院決算委員会理事らによる法改正である。では具体的にどのような議員が動いていたのかをみるために、18年1月23日に「会計検査院法」と「議員」でグーグルした結果から分かったことは次のとおり。
 検索結果のトップはふじすえ健三議員のサイトである。ここでは、次のように説明している。

議員立法「会計検査院法改正法案」が決算委員会通過
[2005年08月02日] [日記 | 国会] [コメント (0)] [トラックバック (0)]
本日、17:30に参議院決算委員会で
議員立法である「会計検査院法改正法案」が採決されました。
これは、私もメンバーである民主党会計検査院見直しPTや各党の研究会で検討していたもので、
民主党ではPT事務局長の松井孝治さんが、自民党の荒井先生公明党の山下先生などと連携し、
超党派の議員立法として作成したものです。
採決された時に自然と拍手が沸き起こりました!
ポイントは、
「予算の無駄使いを無くす決算機能の充実」のために、
まず会計検査院の以下のような機能を強化することになります。
@情報システムの開発などのサービスも明確に会計検査の対象とすること
A会計検査院の実地検査における資料提供要求権限の強化
B会計検査院の国会、内閣への検査内容の報告機能の強化
今回の法改正は、まず第一歩です。今後、会計検査院をより強化するとともに、
単年度会計の会計法(政府の会計基準)も変えていかなければなりません。
現在の会計法ですとPDCAがうまく廻らなくなっています。
財政赤字が増える中、これからは予算ではなく、ますます決算が重要になります。

 そこで、まず自民党のサイトを見ると次の説明がある。
【平成17年 7月28日】
■ 参院の決算審査充実に向け会計検査院法改正案を了承 内閣部会
 内閣部会は28日、会計検査院法の一部改正案を了承した。議員立法で今国会に提出、成立を目指す。参院での決算審議の結果を翌年度の予算編成に生かそうと、現在わが党の参院議員が中心となり改革に取り組んでいる。今回の改正はこれを一層充実させるため、会計検査院の検査機能を充実させるもの。具体的には同院が検査できる対象にサービス分野の請負と委託を加える。従来、これらは国が直接行うものが一般的だったため検査対象ではなかったが、民間に外注する機会が増加、契約金額も多額になってきたための措置。このほか、政府出資法人(国が2分の1以上出資している法人)の契約も検査対象にすることなどが盛り込まれている。

 先ほどのふじすえ議員が言及している自民党荒井正吾議員のサイトを見ると、次のような記載がある
会計検査院法の改正 2005年7月8日
会計検査院法という法律があります。会計検査院は、国の会計を検査する組織ですが、その権限を規定した法律の改正は、過去あまり行われてきませんでした。今国会では、参議院の決算重視の観点から、決算委員会では、いろいろ新基軸を打ち出し実行しました。その一環として会計検査院法の改正を議員立法で行うこととなり、参議院決算委員会の理事として、立法作業に汗をかいています
参議院自民党の執行部会は、参議院自民党の意思決定機関ですが、この日、同部会で改正法案が了承されました。法改正に向けて、一歩前進ということで、喜んでいます。
 与党が動かなければ法改正はできないわけで、少なくとも実務ベースでは、同議員の貢献が大きかったことが窺える。同議員は次のようにも述べており、起案、調整、根回し、説明に尽力したようである。
会計検査院法の改正 2005年12月06日
今特別国会で成立した法律の中のひとつに会計検査院法の改正があります。会計検査院は、その性格から、内閣と国会から独立した組織とされているため、法案の提出権がなく、内閣に立法を請願するか、国会が議員立法を行うかしか、同院の組織と権限を規定している検査院法の改正の方法はありませんでした。内閣は、国の会計分野の検察庁の性格も持った同院の権限を強化することは、同院の設立以来皆無でした。参議院決算委員会の理事として、同改正法の起案、調整、根回し、自民党内や衆議院での説明などに尽力できたことは、議員として大変幸せでした。今回の改正は、会計検査院の検査対象を時代の変化に合わせて少し拡大すること、会計検査の受任義務を明示すること、会計検査院の報告を随時国会に提出できるようにすることなどです。会計検査は、行政活動の監視を、事前チェック型から事後チェック型へと転換しようとするなかで、ますます重要なものとなってきています。会計検査院のこれからの奮闘に大いに期待しているところです。
 ふじすえ議員が名前を挙げている公明党の山下栄一議員のサイトは次のように説明している。
参議院改革について 2005年06月07日
……
U.会計検査院法の改正
 山下質問がきっかけとなって、現在、各党の決算委員会のメンバーを中心に会計検査院法改正の議論が進んでいます。
 平成16年12月、参議院決算委員会において、山下栄一は都道府県警察における捜査費の不正流用問題について取り上げました。その中で、会計検査院に対する検査妨害とも言える事態があったことを重く受け止め、会計検査院法の限界を問題提起いたしました。
 公明党は他党にさきがけ、平成17年1月、党内に会計検査院改革プロジェクトチーム(座長:山下栄一)【写真】を立ち上げ、会計検査院法改正作業に着手致しました。
 この指摘が端緒となって、各党の機運が高まり、会計検査院の権限を強化する視点、国会と会計検査院の連携を強化する視点からの法律改正が検討されています。
 現在、政党間での調整が進められ、早ければ年内にも法律改正へ向けて手続きが取られる見通しです。
 公明党の機関紙公明新聞のサイトでも会計検査院法改正について山下議員が解説している。
 民主党では松井孝治議員が中心となっていたことは、民主党の野田佳彦議員のサイトでも次のように言及されている。
2005年11月13日  「会計検査院の検査報告を受けて」  No.615
 …… 今月7日に施行された改正会計検査院法では、検査対象をコンピューターシステム開発などの委託業者まで拡大して、いわゆる「IT調達の闇」まで検査のメスを入れられるようにすると共に、官公庁に資料提出などを義務づけるなど、会計検査院の権限を強化しました。また、これまでは年に一度しか国会に報告することができませんでしたが、これからは不適切な出費や不正を見つけ次第公表し、国会に詳しい資料を提出することができるようになりました。この法改正は、わが党の松井孝治参議院議員などが熱心に取り組み、超党派の議員立法で実現したものです。その背景には、決算を重視して税金の無駄遣いに目を光らせようという参議院の姿勢があります。いずれにしても、内閣から独立した存在である会計検査院の力も生かしながら、税金は一円たりとも無駄遣いを許さないよう国会で厳しく追及していきたいと思います。
平成17年 11月13日   野田よしひこ
 松井孝治議員のサイトには、会計検査院法改正について次のような記述がある
さて、本日は地味な話ですが、議員立法二件のご報告です。
  一つ目。
  私も事実上の発議者の一人である、   税金の無駄遣いをチェックする会計検査院の機能を強化する
  「会計検査院法改正案」がようやく参議院で可決いたしました。
  すでに委員会や理事会で議論を重ねてまいりましたので、
  会期末ということもあり、
  鴻池決算委員長提案の形で決算委員会で決定し、
  一昨日の参議院本会議において全会一致で可決いたしました。
  内容は、
  1. 従来、会計検査院は政府機関の検査はできても、
   政府と委託契約を結んだり、
   政府にサービスを提供する民間企業の
   検査を行う権限がなかったのですが、
   現実にはコンピューターのシステム開発や
   ODAのコンサルティング契約など、
   そうした領域で極めて問題のある、
   税金などの無駄遣いが行われていることが判明したため、
   そうした業務を政府から請け負う民間企業にも
   検査のメスを入れることにしたこと。
  2.会計検査を受ける機関に
   検査を誠実に受ける義務規定がなく、
   いくら会計検査院が資料要求などしても、
   資料の提出を引き伸ばしたり、
   不誠実な回答しかしないような事例が多く、
   中には、
   「会計検査院の検査対応マニュアル」を作成し、
   サボタージュを奨励するような悪質なケースもありました。
   今回の改正では、
   検査に対して誠実に応ずる義務、
   「受検義務」を明確にすることにいたしました。
  3.会計検査院は、
   国会法に基づき国会から明確な要請がない限り、
   法律上年次報告以外の報告はなかったため、
   各種の不祥事が明らかになっても、
   必ずしもタイムリーな国会報告や
   調査内容の公表が行えていなかった部分がありました。
   今回の法改正においては、
   年中、いつでも問題事例があれば
   会計検査院は国会などに検査内容を報告できる、
   逐次調査を明確に位置づけました。
   与党内ではいろんな議論もあったようですが、
   委員長や与党の決算委員会理事、
   参議院改革協議会の幹部の皆さんが説得をしていただき、
   とにかくも可決できたことには感無量です。
  ◆解散になれば、
   残念ながら廃案になってしまいますが、
   何としても年内にはこの法案を成立させ、
   次のサイクルでは、
   会計検査院がこうした権限を活用し、
   より厳格な検査を行い、
   国会として、税金の無駄遣いをさらに大幅に減らすという
   「結果」を出さなければなりません。
 結果的には、解散で廃案になったが、年内に成立している。
 上記によれば、参議院改革協議会が成立に大きな力を発揮したようだ。

追記:ここに「国会における決算審査の充実に向けて −会計検査違法の改正」と題された「法案の解説と国会審議」がある。

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