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第166回国会 決算委員会 第10号
平成十九年五月二十八日(月曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十一日
    辞任         補欠選任   
     伊藤 基隆君     高橋 千秋君
     松下 新平君     松井 孝治君
     大門実紀史君     小林美恵子君
 五月二十二日
    辞任         補欠選任   
     二之湯 智君     岸  信夫君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任   
     高橋 千秋君     大久保 勉君
     津田弥太郎君     尾立 源幸君
     松井 孝治君     松下 新平君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任   
     西銘順志郎君     岡田 直樹君
     森元 恒雄君     神取  忍君
     矢野 哲朗君     末松 信介君
     吉田 博美君     松村 祥史君
     犬塚 直史君     水岡 俊一君
     福山 哲郎君     峰崎 直樹君
     加藤 修一君     鰐淵 洋子君
     小林美恵子君     紙  智子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         泉  信也君
    理 事
                小池 正勝君
                中島 眞人君
                吉田 博美君
                直嶋 正行君
                柳澤 光美君
                弘友 和夫君
    委 員
                岩井 國臣君
                岡田 直樹君
                岡田  広君
                神取  忍君
                岸  信夫君
                小泉 昭男君
                末松 信介君
                西島 英利君
                藤井 基之君
                松村 祥史君
                山谷えり子君
                朝日 俊弘君
                犬塚 直史君
                尾立 源幸君
                大久保 勉君
                神本美恵子君
                藤末 健三君
                藤本 祐司君
                松下 新平君
                水岡 俊一君
                峰崎 直樹君
                加藤 修一君
                山下 栄一君
                鰐淵 洋子君
                紙  智子君
                又市 征治君
   国務大臣
       総務大臣     菅  義偉君
       財務大臣     尾身 幸次君
       文部科学大臣   伊吹 文明君
       厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
       経済産業大臣   甘利  明君
       国土交通大臣   冬柴 鐵三君
       防衛大臣     久間 章生君
       国務大臣     渡辺 喜美君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  下村 博文君
   副大臣
       財務副大臣    富田 茂之君
   大臣政務官
       外務大臣政務官  浜田 昌良君
       農林水産大臣政
       務官       福井  照君
        ─────
       会計検査院長   大塚 宗春君
        ─────
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐山 正敏君
   政府参考人
       内閣審議官
       兼行政改革推進
       本部事務局審議
       官        鈴木 正徳君
       内閣府規制改革
       推進室長     田中 孝文君
       警察庁刑事局長  縄田  修君
       総務省行政管理
       局長       石田 直裕君
       総務省行政評価
       局長       熊谷  敏君
       総務省自治行政
       局長       藤井 昭夫君
       総務省自治行政
       局公務員部長   上田 紘士君
       総務省自治財政
       局長       岡本  保君
       総務省自治税務
       局長       河野  栄君
       外務省国際協力
       局長       別所 浩郎君
       財務省主計局次
       長        鈴木 正規君
       文部科学大臣官
       房長       玉井日出夫君
       文部科学省高等
       教育局長     清水  潔君
       文部科学省高等
       教育局私学部長  磯田 文雄君
       文部科学省科学
       技術・学術政策
       局長       森口 泰孝君
       文部科学省研究
       振興局長     徳永  保君
       文部科学省スポ
       ーツ・青少年局
       長        樋口 修資君
       文化庁次長    高塩  至君
       厚生労働大臣官
       房技術総括審議
       官        西山 正徳君
       厚生労働省医政
       局長       松谷有希雄君
       厚生労働省職業
       安定局長     高橋  満君
       厚生労働省保険
       局長       水田 邦雄君
       社会保険庁長官  村瀬 清司君
       社会保険庁運営
       部長       青柳 親房君
       林野庁長官    辻  健治君
       国土交通大臣官
       房長       竹歳  誠君
       国土交通省河川
       局長       門松  武君
       防衛省人事教育
       局長       増田 好平君
   説明員
       会計検査院事務
       総局次長     石野 秀世君
       会計検査院事務
       総局第一局長   諸澤 治郎君
       会計検査院事務
       総局第二局長   千坂 正志君
       会計検査院事務
       総局第三局長   高山 丈二君
       会計検査院事務
       総局第四局長   鵜飼  誠君
       会計検査院事務
       総局第五局長   増田 峯明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各
 省各庁所管使用調書(その1)(第百六十四回
 国会内閣提出、第百六十六回国会衆議院送付)
○平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づ
 く経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調
 書(その1)(第百六十四回国会内閣提出、第
 百六十六回国会衆議院送付)
○平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各
 省各庁所管使用調書(その2)(第百六十四回
 国会内閣提出、第百六十六回国会衆議院送付)
○平成十七年度特別会計予備費使用総調書及び各
 省各庁所管使用調書(第百六十四回国会内閣提
 出、第百六十六回国会衆議院送付)
○平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づ
 く経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調
 書(その2)(第百六十四回国会内閣提出、第
 百六十六回国会衆議院送付)
○平成十七年度一般会計歳入歳出決算、平成十七
 年度特別会計歳入歳出決算、平成十七年度国税
 収納金整理資金受払計算書、平成十七年度政府
 関係機関決算書(第百六十五回国会内閣提出)
 (継続案件)
○平成十七年度国有財産増減及び現在額総計算書
 (第百六十五回国会内閣提出)(継続案件)
○平成十七年度国有財産無償貸付状況総計算書(
 第百六十五回国会内閣提出)(継続案件)
    ─────────────
○委員長(泉信也君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日までに、大門実紀史君、伊藤基隆君、二之湯智君、津田弥太郎君及び福山哲郎君が委員を辞任され、その補欠として岸信夫君、尾立源幸君、大久保勉君、峰崎直樹君及び紙智子君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) 平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、平成十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上五件を一括して議題といたします。
 まず、財務大臣から説明を聴取いたします。尾身財務大臣。
○国務大臣(尾身幸次君) ただいま議題となりました平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)外一件及び平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十七年度一般会計予備費予算額三千億円のうち、平成十七年四月十九日から同年十二月十三日までの間において使用を決定した額は九百九十六億円余であり、その内訳は、災害対策費として、港湾等災害復旧事業に必要な経費等の二件、その他の経費として、衆議院議員総選挙及び最高裁判所裁判官国民審査に必要な経費等の十三件であります。
 次に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成十七年六月十七日から同年十一月二十九日までの間において経費の増額を決定した金額は七百七十五億円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における道路事業の調整等に必要な経費の増額等五特別会計の十五件であります。
 次に、平成十七年度一般会計予備費予算額三千億円のうち、平成十八年三月十七日から同年三月二十二日までの間において使用を決定した額は百十一億円余であり、その内訳は、豪雪に伴う道路事業に必要な経費等の二件であります。
 次に、平成十七年度各特別会計予備費予算総額一兆六千五百二十一億円余のうち、平成十八年三月二十二日から同年三月三十一日までの間において使用を決定した金額は二十億円余であり、その内訳は、道路整備特別会計における豪雪に伴う道路事業に必要な経費等二特別会計の二件であります。
 次に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条の規定により、平成十八年三月二十二日から同年三月三十一日までの間において経費の増額を決定した金額は七百六十七億円余であり、その内訳は、労働保険特別会計徴収勘定における労働保険料の他勘定への繰入れに必要な経費の増額等三特別会計の三件であります。
 以上が、予備費使用総調書等についての概要であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(泉信也君) 以上で説明の聴取は終わりました。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) これより平成十七年度決算外二件及びただいま説明を聴取いたしました予備費関係五件を一括して議題とし、質疑を行います。
 なお、本日の平成十七年度決算外二件の質疑は締めくくり総括的質疑でございます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○西島英利君 自由民主党の西島でございます。
 本日は、個人情報保護法というのが成立いたしましてかなりの時間たつわけでございますが、それとの関連での質問をさせていただきたいと思います。
 先日、某大学の関係者から一つの情報が送られてまいりました。それは、大手の企業が今事業展開をされています医療情報プラットホームという、こういうことに関する実は情報でございました。
 そこで、この医療情報プラットホームの情報を厚生労働省が把握されているかどうか、まずは御質問させていただきたいと思います。
○政府参考人(松谷有希雄君) 御指摘の医療情報プラットホーム事業というものにつきましては詳細を把握しておりませんけれども、医療情報を扱うということとなりますれば、当然のことですけれども、個人情報保護法をきちんと遵守してやる必要がある業種ではないかと思います。
○西島英利君 詳細を把握していらっしゃらないということですか。少しは把握していらっしゃるんでしょう。把握しておられる部分だけで結構でございますから、お教えいただきたいと思います。
○政府参考人(松谷有希雄君) 詳細を把握しておりませんけれども、概要、パンフレット等を入手をいたしますと、スーパードルフィンと称する何かデータベースを持っていらっしゃって、医療機関における情報の収集、蓄積を実現をして、EBMであるとか薬剤疫学への活用など、主に研究目的に資するサービスの提供を目指すと、そのような事業を行っているというようなことのようでございます。
○西島英利君 これ、私も詳細は把握していないんですが、その情報によりますと、この医療情報プラットホームというのは、全国の大学病院、特に国立大学附属病院から患者さんの情報、カルテ情報、レセプト情報を収集して、そしてその収集した情報を研究用、研究所の指定した検索キーによりデータを抽出して、そのローデータとして検索が行われるようなシステムをつくっていますということなんですね。さらには、これを、こういうデータを製薬会社等にデータを販売しと、こうなっているんです。販売し、その財源でこの医療情報プラットホームを運用します、またデータを提供していただいた方には手数料を払うと。つまり、大学病院から患者さんの情報を得て、そしてそれに対してちゃんと謝礼を払うと。しかし、そのデータは製薬会社等に販売をして、そして、それで運用資金を確保すると、こういうことなんですね。それで、これがまさしくビジネスとしてもう既にスタートしていると。
 個人情報保護法ができたときには、目的外利用の禁止、つまり、患者さんたちから得た患者さん個人の情報、これについてはあくまでも診断、治療のために使う情報であって、それ以外には使ってならないということになっているわけですね。ただ、それでは要するにこれからの治療とか診断技術を高めていくためには非常に支障が出るということでございましたので、この法律の中に、これ私も深く関与したわけでございますから、この法律の中に除外規定として、公衆衛生の向上、これに資する場合にはこれは除外としていいということを書き込んでいただいたわけでございます。
 しかし、これはビジネスとしてのそういう範囲は想定してないわけでございますね。ですから、非常に大変な実は事業が、要するに患者さんにも了解をされないまま行われていると。しかも、それがビジネスとして、さらにはデータを提供してくれた大学病院の医師に対して手数料まで払うと。これは私は、個人情報保護法に明らかに違反するんじゃないかなというふうに思うわけでございますが、こういうことについて厚生労働省はどのような対策をつくってこられたのか。
 と申しますのは、これは当時の個人情報保護法が成立したに当たって附帯決議が付いていますね。その附帯決議に関しましては、医療それから金融等々については、余りにもやはり問題があるということで、個別法で対応できるように検討すべきだという実は附帯決議が付いていたはずでございますが、まだこの個別法が全く厚生労働省の方からも提案をされてきていないということで、今までどのような対応をなさってきたのか、お教えいただきたいと思います。
○政府参考人(松谷有希雄君) 御指摘の事業につきましては、先ほど申し上げましたように詳細は把握しておりませんけれども、一般論といたしまして、特定の個人を識別できる個人情報を本人の同意なく第三者に提供するということは、個人情報保護法によりまして、法令に基づく場合など一定の場合を除き、禁止をされているわけでございます。
 一定の場合の中に委員御指摘のとおり公衆衛生の向上というのも入ってございますが、これがそれに当たるかどうかというところは判然といたしませんし、多分直ちにはここに該当するというものではないのではないかと思っております。したがいまして、医療情報プラットホーム事業が個人情報を取り扱っている場合には、病院等が個人情報を第三者に提供するというためには当該情報が特定の個人を識別できないように匿名化をされているということが必要であろうと考えております。
 委員御指摘のとおり、個人情報保護法の附帯決議にございました、医療分野での個人情報保護に関する個別法の策定が触れられてございますけれども、その中で医師など医療関係者の国家資格者では刑法等に罰則で担保された守秘義務が規定されておるところでございまして、他の業種以上に個人情報保護に関する法制度は整備されている状況であるということなどから、必ずしも特別な法律を策定せずとも個人情報保護法及びガイドライン等で対応していくことは可能というふうに判断をいたしまして、現在、ガイドライン等で運用しているところでございます。
○西島英利君 ちょっと私、非常に疑問なんですが、医師とか看護師には守秘義務が付いていると、当然これは法的に罰則も付いているわけでございますね。しかし、こういう情報を扱う方々に関しては守秘義務もないし何の罰則もないわけですね。特にこれが、この情報が製薬会社に行ったとしたら、その製薬会社でこの情報を扱う人には何の罰則も守秘義務も付いていないはずですよね。いかがでございますか。
○政府参考人(松谷有希雄君) 製薬会社に勤務されている方、医師等の有資格者でない場合には、個別法、特別のものはないと承知してございますが、いずれの場合であっても個人情報保護法の適用はされるということは言うまでもないことだと思っております。
 なお、個人情報保護法では、医療機関等から病院等が個人情報を第三者に提供するためには当該情報が特定の個人を識別できないよう匿名化されている必要がございますので、その段階で匿名化はされていなければならないということであろうかと思います。
○西島英利君 このIT関連を研究されている方々の常識は、幾ら匿名化しても個人を特定できるというのが常識なんですね。
 しかも、このプラットホーム、医療情報プラットホームのどのようなデータを取っておられるのかといいますと、検索キーというのがございますが、この検索キーを見ますと、エリア、これ施設名なんですね、ですからどこどこの大学病院という、これが特定できるわけです。年齢、性別、ここでどんどんどんどんもう要はその特定が始まるわけですね。さらには、受診年度、主疾病名、それから併用、要するに合併症ですね、併用疾病名、入院外来区分、転帰理由、そして投与薬薬効名、投与薬剤名、診療行為情報としての手術内容、処置内容と。ここまでデータを整理すれば個人が特定できるんですよ。ですから、そのようなデータが行ってしまうと、この附帯決議を付けていただいたときには、まさしくこういうような実は大騒動が当時は起きたんですね。
 そこで、文部科学省にお聞きしたいのは、当時この個人情報保護法が成立する前でございましたけれども、直前でございますが、広島県の熊野町で遺伝子の研究が行われていたわけでございますが、その後の経過も含めてお話しいただければと思います。
○政府参考人(徳永保君) お答え申し上げます。
 御指摘のございましたその実態調査は、平成十二年から十六年にかけまして、私どもの科学研究費補助金による補助を受けて大学等の研究者グループが実施をしたがん関連遺伝子発現の個体差と宿主・環境要因に関する研究、そういう広い研究の一環として平成十五年度に広島県熊野町におきまして実施する予定とされており、その研究でございますが、具体的には、調査票による生活習慣などの調査と、血清試料等を用いた遺伝子解析により生活習慣や遺伝子の特徴が発がんに及ぼす影響を理解し、それを予防等に役立てるということを目的としたものでございます。
 しかしながら、当時、その調査協力員者となる地域住民に対しましてこの実態調査の目的を十分に説明していなかったこと、あるいは調査票の個人情報の保護に関して十分な配慮がなされなかったこと、そのことから、そういった御指摘を受けまして、その実態調査が取りやめとなりました。また、この実態調査を取りやめることで研究計画全体の変更を行ったものでございます。
○西島英利君 つまり、これは文部科学省の研究費によって、かなり高額な研究費だったんですが、要するに生活習慣病の予防ということも含めた実は研究だったんです。
 この研究に関しまして、当時、私ども日本医師会、私は当時日本医師会におりまして情報を担当していましたので、そこにメールが入ってきたんですね。そして、つまり、そこの町民の方々に関してその個人の様々な健康に関する情報を詳細に聞くような調査票がありまして、そして、その調査票に基づいて、後で採血をしてその人の遺伝子情報を特定する、そして、ここでその人の健康情報を得たものとリンクさせた上で、実はそれを将来の診断技術とかそれから治療技術とか予防に使うという研究だったわけでございます。
 しかし、これは、この熊野町という町内のお世話役さんが一人一人に当たって、これに協力してくれとお願いしていかれたんですね。そして、これに対して、とてもそれには協力できないとかなり反発をされた町民の方々がいらっしゃったんですが、何しろ小さい町でございますから、要するに、反対をするとその後いろいろと問題が出てくるのではないかということで、こういうことを日本医師会は許しているのかという実はメールが入ったわけでございます。
 そして、いろいろと調べていきますと、非常にでたらめな内容の実は調査研究でございました。例えば、結婚したことがあるかどうか、さらには妊娠したことがあるかどうか、つまり、こういう本当に個人のプライバシーにかかわる問題まで実はその中に書き込まれていたわけですね、調査内容として。それに対して、私どもは日本医師会として当時の文部科学大臣に抗議文を送りまして、今おっしゃったようなこの事業が中止に陥ったということでございます。そのときに、私は、いろんな研究者の方々から大変な実は脅しとも思えるような電話が掛かってまいりました、いろんな方々から。つまり、何で反対するのか、いいことじゃないかということなんですよ。
 今回、先ほど私は、厚生労働省がこういう個人情報保護、こういう個人の健康情報との関連において何か対処されましたかというお話を先ほど質問しました。ガイドラインが確かにできたんです。でも、ガイドラインでははっきり言って何の拘束力もないんですね、罰則はありませんから。しかも、先ほどのおっしゃったように医師とか看護師などは守秘義務は付いていますが、しかし、この研究に携わっている方々はいろんな方々が携わっているんですよ。そして、この情報が独り歩きしている。本当にこれでいいんだろうかと。特に、この遺伝子情報というのは、御存じのように、何も生活習慣病の情報だけじゃないんですね。その一家系、個人だけじゃない、一家系の様々な、病気になりやすいという情報が全部そこで得られるという大変な実は内容でございます。
 だから、そういう意味で、この附帯決議を付けていただいたときに、これは私がお願いに行ったんですが、遺伝子治療等先端的医療技術の確立のため国民の協力が不可欠な分野についての研究・開発・利用を含むというこの医療、こういう等々についてはやはり個別法を早急に検討し云々ということが書いてありまして、当時の大臣はたしか細田先生だったと思うんですけれども、要するにその附帯決議を尊重しますということまで言われて、それ以降、要するにガイドラインとしてしか対応されてないという実は現状があるわけでございます。
 さらには、今、レセプトのオンライン請求、それから電子カルテの情報等々について、先日、これは後ほどちょっと御質問いたしますけれども、報道によれば、今回の規制改革・民間開放推進会議、その後はたしか会議の名前が変わったと思うんですけれども、そこが更にレセプトのオンライン請求を推進しろと、さらには医療情報を民間にまで開放して、そしてその情報を使って云々ということが書かれているわけですね。この内容については、セキュリティー、つまり、個人の情報、個人の健康情報が漏れてはならないというようなルールづくり等々についてはほとんど触れてないわけですよ。つまり、要は、これをやればビジネスになるわけでございますから、まさしくそう、ビジネスレベルで今物事が着々と進んでいる。
 これが行政の私は悪いところだと思うんですが、何か大きな事件が起きないとなかなかそれに取り組もうとしない。ところが、今まさしく厚生労働省がもう一つのことをお考えになっています。それは健康カードでございます。この健康カードを導入しようというふうに厚生労働省がお考えになっているわけでございます。
 健康ITカード、これには様々な情報が実は入っているんですね、個人のデータベース化をするというわけですから。そして、それを、いろんなところからアクセスがあってそれが取り出せるようにするというんですね。さらには、患者さんが自分のレセプト情報が見たいといえばこの健康ITカードを使って取り出すことができる。そこまでやっていこうということなんです。
 ところが、まだまだ記憶に新しいと思いますけれども、社保庁であった年金情報のぞき見等々について、確かにこれは守秘義務が付いていたとおっしゃるんですけれども、じゃどういうここで処分が行われてきたのか。大した処分は行われてないわけですよ。でも、これは年金の情報だからまだ何とかなります。ところが、個人の健康情報ということになりますとそういうものじゃ済まない。先ほど申し上げましたように、これからは遺伝子情報というのはどんどんどんどん進んでいくわけでございますから、そうすると一人に謝ればいいという話ではなくなってくる。そういうことを考えたときに、やはりきちんとルールは整備していかなければならないのではないかと。
 さらには、来年からスタートします特定健診、それから保健指導、これもやはり患者さんから情報をいただいて、そして指導していく。ところが、これに株式会社が今参入を予定しているわけです。もう既に保健師さんたちをたくさん集めて、そしてこの特定健診の事業に参入しようと。ここでもし参入すれば、実はもう大変な情報が得られるわけですね。それは確かに、医政局長に言わせますと守秘義務がちゃんと契約上は付いているとおっしゃるかもしれませんが、しかし、これはあくまでも罰則等々はないわけでございまして、そういう意味ではしっかりとした罰則を伴うやっぱり法整備ということが私は必要になってきているのではないかなと、これは早急にこういう検討をしなければいけないんではないかなというふうに思っております。
 さらに、このガイドラインを作るときに何でガイドラインになったのかといいますと、検討会が当然行われました。そこでガイドラインでいいんじゃないかという話になったということなんですが、その検討会のメンバー見ていますと、学者さんたちがずらっとおられるわけですよ。これが法で罰則等々が付きますと学者さんたちのやっぱり研究というものが非常にやりづらくなってくる、ですからガイドラインでいいんじゃないかという私は話になったのじゃないかなというふうに思うんですが。
 もうそういう状況ではなくなって、もう一度申し上げますが、来年からは特定健診が始まります。そして保健指導。保健指導ということは、その情報は必ず第三者に渡っていくという話でございます。そして、健康ITカード、これも今しっかりと検討されているわけでございますから、そういう意味でのやっぱり法整備を含めた検討を速やかにしていかなければいけないのではないかと思いますが、大臣、いかがでございますでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 医療の、あるいは健康のと申しましょうか、そういう対応策を更に向上させる、こういうことのためにその情報のIT化によっていろいろ研究のデータを得るという、そういう明らかにプラスの面もある一方、いろいろな情報をいわゆるIT化していくということの中には、今委員の御指摘の個人情報の保護ということに本当に密接に絡んだ事柄が含まれるということでございます。
 私も先般、経済財政諮問会議に医療、介護の効率化あるいは質の向上というようなことで御報告をさせていただいたわけでございます。その報告の中で今先生がお触れになられた健康ITカードというものにも触れる項目がありまして、そうしたことについて当省として考えているところを御報告いたしたわけでございますが、それに対してやっぱりいろいろな御意見もございまして、特に迅速化といったような視点からのいろんな御意見もいただいたわけでございますが、私としてそこで指摘をさせていただいたのは、費用を一体どういうふうな格好で負担をするのかということと並んで、より本質的な問題として、その個人情報保護の措置というものがいかに確保できるかということの問題がございますということを指摘をさせていただきました。
 そういうようなことで、私といたしましては、他方で今言ったように医療の質の向上のためにはそういう研究データがもう本当にそろうということが大事でございますが、同時に今言ったような個人情報の保護というものがより深刻な問題としてそこに絡んでいるということも認識をしているところでございます。
 そういうようなことの中で、今現実に健康ITカード化というのも、どの内容を含むか、そこにICチップを含ませて医療情報を全部含ませて、そしていわゆる電子私書箱みたいなところで自分の情報を検索、把握できるというような一番の進んだ形もありますけれども、とてもまだそこまでは行けないということで、取りあえず健康保険証の代わりになるカードを作るというにとどまるところまで非常に段階はいろいろでございまして、今現在何か結論を持っているかというと、そういう段階には至っておらないわけでございます。
 この二つの、先ほど来申し上げている医療の技術の進歩、発展というもののためにいかに情報をしっかり把握するかということと、それは何よりも個々人の抜き差しならない遺伝だとか健康の情報を扱うことで、その情報がちゃんと保護されるのかということとの兼ね合いというものについては、より深く慎重に、それからまた広範に必要な措置を考えていかなければならないと私は考えているところでございます。
○西島英利君 大臣は政治家でもございますから、行政というよりは政治家としての、国民の健康情報を守るという視点でのやはり考え方も私は非常に大事なんじゃないかなと。今日、今大臣からお伺いしました御答弁に関しましてはそれなりには理解はするんですけれども、しかし、もう既にいろんなIT化を拡大すればするほど実はセキュリティーというのはどんどんどんどん難しくなっていくんですね。となりますと、やっぱり法律によってそれをある程度規制を掛けなければこれは難しいんですね。ですから、そういう意味で私は今そういうことを申し上げているわけでございます。
 さらに、先ほどちょっと申し上げましたが、規制改革の方から、医療のIT化ということでレセプトオンライン請求の推進と、なかなかこれが進まないから、これも報道によりますと、進むように何かニンジンぶら下げたらどうかと。つまりそれは、今請求をして要するに支払ってくれるまで大体三か月間ぐらい掛かる、だからこれを、レセプトのオンライン請求した医療機関には二か月ぐらいに短縮して支払うような、そういうことをすればみんな乗ってくるんじゃないかというふうなことなんですが、これ、全く医療のお分かりになっていない方が私はお考えになっている考え方だろうと思うんですね。
 つまり、それはどういうことかといいますと、医療機関は請求して確かに支払われるまで三か月ぐらい掛かるんですが、しかし毎月実は請求しているわけでございますから確実に毎月お金入ってくるわけですよ。だから、三か月を二か月にしたからといって何のメリットもない。それをさもすごいことのようにああいう形でお考えになる。
 そして、この規制改革の推進室のメンバーを見てみますと、メーカーからの出向者がずらっとおられるんですね。そこには医療にかかわっている方々、つまりビジネスとしてかかわっている方々は出向されているんですが、医療のことが本当に分かる人はいらっしゃらない。ですから、ビジネスを中心にした内容しか私はそこに出てこないんだろうというふうに思っています。
 私は決して医療のIT化を駄目だと言っているわけでも何でもございません。私は、日本医師会の常任理事してましたときに、医療のIT化を徹底して進めようということで頑張ってまいりました。ところがそこには、標準化もなされてない、メーカーが違うと互換性もない、そういうふうな状況の中で囲い込みが行われて、高い機械を買わざるを得ないというような状況があったわけです。この環境は余り変わってないんですよ、今も。
 ですから、まずは、メーカー間の競争の原理をまずしていただきたい。それは、ですから、互換性ができるとか標準化をきちんとした上で初めてレセプトオンライン請求の義務化というのは私は打ち出されるんじゃないかなと。順番がちょっと違うだろうというふうに思うんですね。ところが、厚生労働省は省令でもう既に、あと二年後ですか、からこれを義務化するという話になっているわけでございますので、やはりこの辺りの環境整備がきちんと整った段階で初めて義務化というのを私は進めるべきだろうというふうに思っています。
 しないということじゃないんですよ。高い機械を買わされ、しかも状況、条件が変わっていけばまた買い直していかなきゃいけない。じゃ、その負担はどこがするのかと。これは医療機関なんですね。ですから、そういう意味で、やはりこういうことも含めて、やはり法整備等々も是非しっかりとお願いを申し上げたいというふうに思います。
 もう一度大臣、御答弁いただけませんでしょうか。できましたら、政治家としての御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) レセプトのオンライン化につきましては、今委員が言われて御指摘もいただいたとおり、二十三年度にこれを実現をするということを私ども内外に既に表明をいたしているところでございます。
 現に今、特定病院と申しましたでしょうか、大学の大きな病院からこれを始めさせていただいておるという状況で、徐々にその数、規模も増大をしているということでございますが、私、先般韓国に、三保健大臣会合の際に、もちろんそれは鳥インフルエンザ、新型インフルエンザのことが主たるテーマでございましたけれども、せっかく参りましたので、韓国におけるオンライン化というものが随分進んでいるということで話題にもなっておりましたので、その状況について若干の御説明をいただいてまいりましたけれども、いろいろいいこともあるということの話もございましたし、いろいろとまた問題というかそういうものもないわけではないと、こういう情報をいただいてまいりました。
 いずれにいたしましても、委員が御指摘のその環境整備というものが、私はもう委員とは違って専門家ではありませんけれども、どちらが鶏でどちらが卵かという問題もちょっとあるようにも思います。オンライン化を進める中で標準化の情報を得ていくという、それが進めるという話もあるし、今委員が御指摘のように標準化というものがあってオンライン化ということではないかというようなことも、確かに御指摘を受ければそういう面もあるだろうと、こういうようにお聞きをいたしておりましたけれども、いずれ、今後進む段階に応じて、私どもその辺りのことも十分検討をして進めてまいりたいと、このように申し上げる次第でございます。
○西島英利君 ほかのビジネスと違いまして、効率化という視点だけでくくれない問題がございますので、是非前向きの御検討をお願い申し上げたいというふうに思います。
 次に進ませていただきます。
 医師不足対策でございまして、これは政府としても大きな課題になってきているわけでございますが、この医師不足対策で、特にへき地の医師の引揚げ等々がありまして今大変な社会問題になっているわけでございますけれども、これの絡みで新臨床研修制度がこれに大きく影響を与えたのではないかと言われております。さらには、今まで大学が医師派遣機能を持っていまして、そして大学から医師が派遣をされてへき地にも行っていたわけでございますね。ところが、この新臨床研修制度が導入されたことによって、まずその臨床研修病院を、卒業生といいますか、国家試験通った人、でもこれはまだ卒業する前に実は決めていくわけでございますけれども、この方々が大学を選ばずにほかの民間の市中の指定病院を選んできたというような実はデータもあるわけでございます。
 今日、たしか私は資料をお出ししているというふうに思うんですが、この資料を読んでいただきますとお分かりのように、上が一般の臨床研修指定病院の臨床研修医に対する実は給料でございます。年俸でございます。下が大学病院の臨床研修医に対する給料でございます。こんなに差があるんですね。特に私立の医科大学については本当に半分以下の給料しか実は払えないわけですね。国立の大学のこの臨床研修医に対する給与というのは実はこれは国からこの給与は出ますからそれなりに付けているんですが、もう民間と余りにも開きがあるというようなことで、こういう条件の中でやはり卒業して研修を受けようとする人たちはかなり民間の方へ集中しているという状況が起きて、やはりこの医師不足というものにも拍車を掛けているんじゃないかなと。要するに、二年間の臨床研修を終えて、今度は帰ってこないというんですね、大学病院に。
 私は実はちょうど選挙のときに北海道のある地域に行きました。北海道の中でも地方の方でございますけれども、そこに行きましたら、そこにある臨床研修指定病院がございまして、そこの住民の方に聞きますと、ここは評判がいいんだと、研修医になりたいという人が一杯いるんだと言われました。どうしてですかと言いましたら、給料が高いんだよと言われたんです。ですから、そういうことで今回の医師不足にも大きな影響を与えているのではないかなというふうに思っています。
 ですから、是非この大学の医師派遣機能の私は再生強化を図っていくべきだろうというふうに思うんですね。様々なその科がありまして、さらには指導者が十分にいます。その中で、やっぱり医師というのは、臨床研修ではまだ何の役にも立たないんですよ、二年たっても。それ以降に初めて、ちんとした学びをやって初めて医師としての能力が付いてくるわけでございますから、やはり大学の医師派遣の機能の再生を私は図っていくべきじゃないかなと。そのためには、この研修医に対する給与等々も何らかの形でやっぱり補てんをする必要性があるのではないかなというふうに思っています。
 そこで、文部科学省に御質問でございますけれども、文部科学省が大学、特に国立大学等々に関しましては運営交付金等々で出されているわけです。さらには、様々な研究費も出ております。先日の新聞を読みますと、どのような研究を行ったかによって今後研究費を配分するというような報道もなされておりました。しかし、是非ここでお願いしたいのは、やはりその大学がどれだけこの医師派遣について貢献をしているのか、そういうことも一つのこういう配分をするときの条件といいますか、そういうこともお考えいただけないだろうかというふうに思うんですが、文部科学省、いかがでございますでしょうか。
○政府参考人(清水潔君) 大学の医師派遣機能の低下についてのお尋ねでございました。
 御指摘のように、医師派遣実績を財政支援に反映させるということにつきましては、職業安定法等の関係もあり、なかなか難しい側面もありますけれども、私ども、大学が実際的に教育、医師の養成の場として、研究の場として、そして地域の中核的な医療機関として、そういう意味で今後、卒前、卒後あるいは専門研修のそれぞれの段階において大学病院と地域の中核的医療機関とが緊密な連携を保っていく、こういうことが非常に重要な課題となっているというふうに認識しております。
 そういう意味で、正に大学病院が地域の医療機関と一体となりながら地域医療を志す医師の養成、キャリア形成支援をしていく、そういうシステムを構築していく、こういう観点に立って私ども財政支援の在り方については検討させていただければというふうに思っております。
○西島英利君 是非本当に積極的に行っていただいて、これ一番効果的、短期的に効果的なんですね。ですから、中期、長期という考え方ございまして、その地域枠の拡大とか、これはもう中期、長期の話でございますけれども、短期的にはこれ一番効果が私はあるのではないかなというふうに思っています。
 また、厚生労働省が先日、マグネットホスピタルという考え方をお出しになりました。医師が集まりやすい病院、そこを一つの拠点病院にして、そこからそういうへき地等々に医師を派遣したらどうかという考え方なわけでございますが、実は市中のそういう病院はやはり大学から派遣されている医師が多いんですね。大学と結び付きが非常に多いわけでございます。そういう意味で、大学病院の機能というのは、やはりこの医師派遣については非常に大きなものがあるのではないかなというふうに思っています。
 大臣、この件につきまして、例えば私立の大学であればなかなかその費用を捻出することは難しいということも聞いておりますけれども、何かコメントがございましたらいただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 医師不足が起こった、それは、大学の医師派遣あるいは配分の機能が弱くなった、このことが背景にあるのではないかという観点から、それを強化し直すにはどういう方策があり得るかということで、委員の御高見を承りました。文科省からも何だかやや前向きのような、具体性はあるのかちょっとよく分かりませんでしたけれども、答弁がありまして、ただ、例えば運営交付金が厚くなったから、じゃ先生方のお手当の方にまでそれが直結するかという問題はまた別途ありまして、ここは非常に悩ましい問題、これは文科省の考えることかもしれませんが、私はそういったことを一つ考えるということでございます。
 それからもう一つは、やっぱり民間、市中の病院になぜ研修医が行くかということを考える場合に、確かに今先生が御指摘になられたような報酬ということもあるかもしれませんが、私はやっぱりもう一つ、指導医師の指導力というようなこともかなり影響をしているのではないか、そういうようなことも考えるわけでありまして、やっぱり大学病院というのは、昔私どもが、大学の教授がおいでになられる医療というものがもう本当に絶大な権威もあるし、また信頼もされていたと、こういうことがありますので、報酬の面でのことと同時に、また医療の技術あるいは指導力というようなものを磨いて大学に研修医がおのずと集まるというようなことを更に一層努力をしていただくということもまた必要なのではないか、率直に言ってそのように感じております。
 また、民間もそれと同じように指導力ということについて競い合うような形で、双方が国民医療の質の向上のために御努力をお願いできればというふうにも考えるわけでございます。
○西島英利君 ありがとうございました。
○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。
 今日は、まず地方財政の御質問をさせていただこうと存じます。
 景気回復ということが盛んに言われるようになりました。しかし、都市と地方、地方はまだまだ景気回復が十分でないという声が大きい。実は、昨日も、私徳島ですが、徳島で自由民主党の地方活性化戦略会議というのを党本部の政調の方から来ていただいてやりました。出席された皆様方の御意見はもうほとんど、地方の景気が悪い、それから、それに伴って地方の財政が疲弊してやりたいこともやれないという声が圧倒的でございまして、これを何とかせにゃいかぬということでその会は終わったんでありますけれども。
 そこで、まずこの地方財政という点からいって、都市と地方の格差、これがあるという御認識になっているのか。あるとすれば、どの程度あるという御認識になっているのか、これをまずお伺いします。
○政府参考人(河野栄君) お答えいたします。
 地方の財政上の格差の問題でございますけれども、近年景気が回復してまいっておりますけれども、地域間の産業構造あるいは経済力にも差がございますので、その回復の状況にはばらつきがあるところでございます。
 こうした中で、全体といたしましては、景気の回復に伴いまして地方法人二税の税収は急速に回復してまいっております。地方法人二税は、地方税の中でいろんな税目ございます、偏在性の高いものもあれば低いものもございますけれども、法人二税につきましては東京に全国の税収の約四分の一が集中するといった構造になっておりまして、そうした中で、特に東京等の税収が伸びてまいっておりまして、財政面でもそうした地域間の税収の差が広がり、財政力の差が拡大する傾向にあるというふうに認識をいたしております。
○小池正勝君 そこで具体的に、今のお話は、景気が回復してきて、都市の方に法人が多いから格差が広がっていると、こういう御認識をおっしゃっていただいたんですが、そこで、まず具体的に、法人二税の都市と地方の格差は何ぼあって、それから地方消費税の格差は何ぼある、こういうことをお伺いします。
○政府参考人(河野栄君) お答えをいたします。
 格差のとらえ方いろいろあろうかと思いますけれども、都道府県単位で人口一人当たり税収ということで比較をいたしますと、地方法人二税、これは、最大と最小の差、最大は東京でございまして最小は長崎県でございますけれども、六・五倍の差がございます。一方で、地方消費税につきましては、これは最大は同じく東京でございますけれども、最小は沖縄県でございますが、最大最小の格差は二倍というふうになっております。
○小池正勝君 今のお話のように、景気が回復してきた、そうすると、ますます地方財政の、特に税収面の格差が広がってきた、とりわけ法人二税は六・五倍もの格差があると、こういうお話だったんですね。
 そこで、まず基本的な御認識として、こういった差、これは、格差は是正すべきだというお考えになっているんでしょうか。
○政府参考人(河野栄君) お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、近年、景気の回復を背景にいたしまして、特に法人二税の税収は急速に回復をしてまいっております。そうした中で、地域間の税収の差、財政力の差が拡大する傾向があるわけでございまして、こうした税収の偏在の状況につきましては、その是正に早急に取り組んでいく必要があるものというふうに考えております。
○小池正勝君 そこで、よく言われるお話として、地方税の中での地方法人二税のウエートが高いからこの財政格差がどんどんどんどん広がっていくという構造になっているんだと。むしろ、それをやめて、地方消費税の方が、先ほどのお話で法人二税は六・五倍という格差があるけど消費税は二倍という、偏在性が少ないわけでございますから、この地方消費税を主体にして法人のウエートを下げたらどうかということが、これも盛んにいろんな方がおっしゃっているわけですが、これはいかがですか。
○政府参考人(河野栄君) お答えします。
 先ほど申し上げましたとおり、地方税の偏在の是正、これは早急に取り組んでいく必要があると考えておりますけれども、その際には、一部の地方団体に税収が集中するという地方税制上の構造的な問題というふうにとらえて取り組んでいくことが必要であろうかと思っております。
 また、先ほど申し上げましたように、地方税の中には偏在の大きい税目、小さい税目ございます。特に、地方消費税が地域間の偏在が最も小さい基幹税であるわけでございます。今後の方向といたしまして、この偏在の最も小さい、地方の基幹税であります地方消費税の充実、これを基本にしながら、併せて、偏在の大きな地方法人二税の取扱いも含めまして総合的に検討した上で、全体として偏在度の小さい地方税体系を構築していく、こういう方向で取り組んでいく必要があろうと思っております。
 先週末の経済財政諮問会議におきまして、菅大臣から、地方消費税の充実と併せて、法人課税の国、地方の配分の在り方の見直しなどにより税収の偏在の是正に早急に取り組むと、こういった趣旨の提言をいただいておるところでございまして、今後とも、大臣の指示をいただきながら、地方税の偏在の是正に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○小池正勝君 総務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(菅義偉君) 私どもはかねてより主張してきていますのは、やはり地方の仕事が今六です、国の仕事が四です。しかし、税というのはこれ逆になっていますから、少なくとも私どもは、一対一、国と地方、そのことを目標に私どもは今全力でこれは取り組んでいるというのが一つであります。
 そしてもう一点は、今まで私ども総務省というのは国と地方の問題だけの議論でありましたけれども、これだけ景気が回復をしてきて東京に法人二税が集中をしてきている。特に、この四年間を見てみますと、東京は一・四兆円、地方税が増収になっています。地方は、八つの財政力の低い県全部足しても千四百億円の増でありますから、これが十分の一。
 そして、これがどんなことが起きているかといえば、例えば子供の医療費の問題ですけれども、地方は大体は小学校に入るまでが医療費は無料になっていますけれども、東京は中学校を卒業するまで医療費が無料になっている。あるいは、児童手当も小学校六年までですね、これは地方全国というのは。しかし、東京のある地域においては十八歳まで所得制限なしの区が出てくるなど、これ余りにも、私、地方自治全体を所管する大臣として余りにもこの偏在度が大き過ぎる。
 ですから、今まで私ども総務省というのは国と地方の問題だけ、ここは私どもは一対一にすべき、全力で頑張ります。それと同時に、やはり地方の中でも、やはりこの偏在の問題というものを取り組んでいく。このことを、私はこの二つというものはこれは基本だというふうに思っております。
○小池正勝君 大臣から力強い御答弁をいただきまして有り難いと思っております。
 今のお話のように、その税源の偏在、税収の差ということが結局は行政サービスの差になっているというのが今の現状なわけでして、我々地方に住む人間としては何としてもこの偏在の是正をしていただきたいと思っておりまして、是非これはよろしくお願いしたいと思っております。
 そこで、この偏在の是正ということのもう一つのお話としてふるさと納税ということが盛んに最近言われておりまして、総務大臣も非常に積極的に御発言していただいておるわけでございますが。
 まず、このふるさと納税、私もこの偏在の是正に資するものであるし、何よりも、何といっても、単なる偏在是正策と違うのは、市民の意思がそのまま反映される是正策なんですから、こんなにすばらしい是正策はないと私は思っておりまして、権力でやる是正ではない、意思が生かされる是正策ですから、すばらしいと思っているんですが。
 そこでまず、これについての検討状況はどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(河野栄君) ふるさと納税につきましては菅大臣から提唱していただいているところでございます。その実現に向けましていろいろな検討課題がございますので、六月早々に、六月一日を予定いたしておりますけれども、島田晴雄先生を座長といたします研究会を立ち上げまして、もろもろの問題について検討開始をしたいと考えております。そして、来年度の税制改正に間に合うように基本的な考え方を取りまとめていただくべく検討を進めたいというふうに考えております。
○小池正勝君 もろもろの問題というのは何ですか。
○政府参考人(河野栄君) ふるさと納税の制度を設計するに当たりましては、税の理論面もございますし、それから実務面の課題、いろいろあるわけでございます。例えば、住民税の性格といたしまして、これは住所地の地方公共団体による行政サービスに対応して負担するといった性格ございますけれども、こうした税の性格とどういうふうに整理をしていくかとか、あるいは納税先の地方団体を納税者が選択できるような仕組み、これと租税としての住民税の性格、こういったものをどういうふうに整理するか、さらにはふるさとというものをどういうふうに考え整理をしていくか、さらにはふるさと納税の割合といったものをどういうふうに考えていくか、あるいは実務的な仕組みといたしましても納税者の方から見ても分かりやすく使いやすい、そういった制度設計を考えていく必要ございますので、そういったいろいろな観点からしっかり研究会で議論いただき、御検討いただきたいというふうに思っております。
○国務大臣(菅義偉君) 是非このことを私は小池委員にも御理解をいただきたいんですけれども、私は、とにかく基本はまず国と地方の問題、これは一対一にこれはしたい。そして同時に、やはりこの東京に一極集中をしているこの地方税と法人二税を中心に、これはやはり地方間の調整というもの、これかつてなかったんです、このことも私は必要だというふうに思っています。
 そして、そのほかに、このふるさと納税でありますけれども、実は私自身、副大臣、総務大臣させていただく中で、多くの地方公共団体の皆さんから、例えば高校卒業するまで、将来を担う子供たちだ、未来を託す意味で多額の行政コストを掛けて子供たちを育ててきた、しかしいざコスト回収になると都会に出ていってしまう、何らか還元をすることのできる仕組みを考えられないかと、このことをよく言われました。それと、その受益と負担の部分、当然これは出てきますけれども、この考え方も、生涯を通じてバランスで考えることも一つじゃないかなという実は意見もあることも事実であります。
 それと同時に、都会で生活をしている地方から出てきている人は、自分を育ててくれたふるさとだとか、あるいは自分の両親が住んでいる、そうした地域に何らかの形で貢献をしたいという方もたくさんいらっしゃいます。それと同時に、この問題がいろいろ議論される中で、今まで自分がかかわってきた地方を応援したいと、そういう人もたくさんいらっしゃるんですね。
 そうした思いを何らかの形で実現することができないかと、そういうことで今局長から様々な検討課題について話がありましたけれども、そういうことも含めて、六月一日に検討会を立ち上げて、私は、簡単で分かりやすく利用しやすい、そうしたものを何とかこの暮れの税制の中に私ども導入できるようにしっかりとしたものを考えていきたいということであります。
○小池正勝君 今大臣からおっしゃられたように、教育は地方でして、そして大人になったら東京へ行ってしまって住んでしまうと。何とか帰ってきてほしいという気持ちがあるんだけれども行ってしまう、そちらで税収を納めると。しかも、その人たちも、今度はリタイアしたら地元へ帰りたいという人が多いわけですから、そのときに地元が荒廃していたら困るわけであって、やはりきちっとした行政サービスができるように税源も確保していかなければならないんで、今大臣おっしゃられたように、是非お願いしたいと思っているんですが、様々な問題点があって、理論上の問題、今おっしゃられた、例えば行政サービスへの対価なんだから住居地に払うのは当たり前でないかと、こうおっしゃいます。しかし、よく考えてみると、住民税というのは均等割と所得割があるんです。均等割ならその考え方は分かります。しかし、所得割はそうばかりでもないんじゃないでしょうか。
 ですから、私は、その行政サービスへの対価だから理論上駄目だという議論は余りにも表面的な議論だろうと思っています。住民税というのはあくまでも均等割も所得割もあるんだということを是非お考えいただきたいと思っているわけであります。
 今大臣から非常に前向きのすばらしい御答弁いただいたわけですが、是非もう一度、前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 今申し上げましたけれども、それと同時に、私は地域の活性化ということも考えたときに、今地方から若い人たちが都会に出てきています。地方にはお年寄り、高齢者しか残らない。しかし、これは人とお金をやっぱり流れを変えるということは私は物すごく大事だというふうに思います。
 そして、都会で生活をしている人はどんな考えを持っていらっしゃるかといえば、スローライフだとかそういう思想というのはかなり定着をし始めてきていますね。そういう考え方が定着をし始めています。地方で生活をしたい、そういう思いの人もたくさん出てきますから、そういう意味でそうしたことを考えたときに、先ほどふるさとに貢献したいという話と同時に、自分がかかわってきた、そういう地域に対して応援をしたいという方もたくさんいらっしゃるんですね。
 例えば、ある人は夏一か月毎年休み取って沖縄に行くことを楽しみに働いている、しかしその分何とか還元できないかとか、あるいは赴任地でお世話になった思い出の場所がある、そこに年に何回か行っているけど、そういうところに対しても何らかの形で応援できないかとか、様々な意見がありますので、そうした私は、どちらかというと税というのは取られるという皆さんが意識がありますけど、そういう意味では、今度は納めるという、そういうことの考え方もあっていいのかなというふうに思います。
 そして、この住民税が一月一日の住所地主義というのは昭和二十五年ですから、そのときと比べるとこれはライフスタイルも大きく変わりました、週休二日制なんかなかった時代ですから。人の移動も私は多くなったと思っています。
 そうしたものを考えて、やはり難しいからできないということじゃなくて、これだけ大きく時代が変わって、そうした地方に対しての思いの人がたくさんいる、そして地方も非常に難しい状況になってきている。地方の活性化の点からも、何としてもしっかりと問題点を整理をして実現をするようなものを築き上げていきたいと思います。
○小池正勝君 ありがとうございました。すばらしい御答弁をいただきましたので、お忙しい時間、ありがとうございました。もう大臣、これで結構でございます。ありがとうございました。
 この都市と地方の財政格差で、もう大臣さんはお帰りになったんですが、財政局長さんにひとつお伺いしようと思っているんですが。
 今回の改正の中で頑張る地方応援プログラムというのを作っていただきました。これは、一生懸命努力したところについてはその交付税の配分を手厚くするということで、大変すばらしいと思うんですね。ところが、今市町村の間ではこの制度には疑問とか不安の声が出てきています。恐らく財政局の方にも話が入っていると思うんですが。
 この頑張る地方応援プログラムというのは、その頑張りの成果というのを九つほど指定しているんですね、行政改革指標とか農業産出額とか出生率とか。この九つの指標に成果があると算定で配慮しますと、こうなっているわけですね。しかし、この九項目だけなの、頑張るというのはもっともっといろいろあるんでないのということがよく言われます。あるいは、今まで一生懸命行革をやってきた、今になってまた更に指標を作って云々といっても、もう乾いたぞうきん絞れ絞れといったってこれ以上絞れないでないのということも言われています。
 等々、様々な形でこの頑張る地方応援プログラムについては見直したらどうか、特に指標ですね、指標を見直したらどうかという声があるんですが、どうなんでしょうか。
○政府参考人(岡本保君) 頑張る応援プログラムに関します御質問をいただきました。
 今委員御指摘のように、今、千八百の地方団体にそれぞれの地域の魅力を高めるための取組をいただいております。その取組の成果を成果指標という形で出していただき、それを踏まえながら交付税の算定に反映するということで現在取り組んでいるところでございます。
 御指摘のように、この頑張る応援プログラムでは、九つの成果指標を現段階では御提示をさせていただいております。これにつきましては、本来でございますと、今地方の取組はそれぞれ区々でございますので千八百の取組があるわけでございますけれども、交付税の性格からいたしますと、市町村ベースで全国的、客観的な統計指標が取れるということが必要でございますし、また、そういう千八百余り取りますと成果は複雑になるというような問題もございます。そういうことから、言わばその最大公約数的な指標ということで、行革指標を始めといたします九つの成果指標を現在お示しをして御意見等をいただいております。
 そういう意味では、この九つの成果指標の選定に当たりましては、その前段階におきまして有識者や各地方団体の御意見も踏まえたつもりでございますが、現在各地の懇談会で更にいろいろ御意見を伺っております。七月下旬の普通交付税の決定に向けまして、この九つの指標を基本として、条件不利地域の状況を反映する算定方法でありますとか、今委員御指摘いただきました、過去随分頑張っていただいてこれからの頑張りといったものがこれから指標を向上させるのになかなか難しいといったような場合には、例えばその指標の絶対値といったものを算定してはどうかとか、いろいろなそういう御意見等もいただいておりますので、御意見等を踏まえながら現在検討を行っているところでございます。
 今後とも、地方団体の御意見を踏まえて対処することといたしまして、さらにそういう御提案も重々承りながら、七月に向かって作業を進めております。
○小池正勝君 それでは、地方財政の御質問は終わりまして、渇水の御質問をさせていただきます。
 今、今年は小雨ということがあって、かなり全国的にも渇水ということが起こってきているようでございまして、先週は国土交通省の方で渇水対策本部というのができたというふうに新聞に報道されておりまして、全国的にも取水制限というのが起こってきていると、こういうことになっているようであります。
 私、徳島県ですが、徳島県には那賀川という川があります。一級河川でありますけれども、ここは取水制限が六〇%なんていう話になっています。六〇%というのは、まず全国的にもないだろうと思うぐらいな厳しい取水制限なんですが、まず、全国的な渇水の状況、それから今の那賀川の状況、どのように把握しておられますか。
○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
 まず、全国的な渇水の状況でございますが、今年は暖冬で降雪量が少ない上に、その上に春先からの雨がないということで、西日本を中心に渇水の傾向であります。国土交通省直轄管理の河川においては、四国地方を始めといたしまして、中部の宮川、あるいは中国地方の日野川の河川で取水制限が行われている状況にあります。今後の降雨次第では更に厳しい状況になるおそれがありますことから、より詳細に全国の渇水情報を収集、提供するとともに、関係機関との連携強化、円滑な調整を図るために、先生先ほど申されました五月二十四日に国土交通省内に渇水対策本部を設置したところでございます。
 以上が全国の状況でございますが、徳島県の那賀川水系、特に厳しい状況にございます。那賀川水系におきましては、長安口ダム、小見野々ダムの水位低下に伴いまして四月の十七日より取水制限を開始しておりまして、今月の二十四日には制限率が六〇%まで強化されております。現在、この制限率は全国でも最も高い値となっています。先週末、二十五日の金曜日、恵みの雨がございましたが、抜本的な渇水改善にはなってございません。同じく二十四日には、徳島県内に都市用水を供給いたしております吉野川の水系の方でも、早明浦ダムにおいて第一次の取水制限ということで、徳島の用水では一五%ほどの制限がなされております。
 このように、徳島県内におきます渇水の被害が厳しいわけでございますが、水不足によりまして、一部の企業が生産調整を実施しているとか、平野部では田植は終わったけれども水田の水の確保に苦慮したり、また山間地では田植が行えないという田んぼが見られるなど、影響が出ていると聞いております。
○小池正勝君 今、河川局長さんがお話しになられたように、全国最悪の今取水制限の状況、六〇%という状況になっておりまして、これは地元新聞ですが、取水制限を強いられている利水企業の多くに深刻な影響が出ている、水の循環利用回数を増やしたり休日操業に踏み切ったりと影響回避に懸命だが、生産の一部停止や減産に追い込まれる事業所が出始めたと。これは企業面への影響であります。
 農家の方は、先ほど河川局長がおっしゃられたように、取水制限の長期化により、水田八百ヘクタールのうち約一割弱が水不足のため田植を見合わせている、田植は終えたが、水がかれてひびが割れた田んぼもあるということで、もう非常に深刻な状況になってきているわけであります。しかも、この渇水というのが那賀川にとってはほぼ毎年のように起こっているという状況にあるわけでございます。
 そこで、たちまちこの六〇%という状況に対してどのような対応をするかということの御質問をさせていただきたいんでありますが、まず、先ほど来お話が出ておりました長安口ダムというのは県が造った県管理のダムであったわけですけれども、しかし本年度、国土交通省さんのお力によって直轄管理に本年度からしていただきまして、これは大変地元民も感謝しておるし、そして大改造をしていただけるということで、これは大変感謝しておるわけでございますが。
 まず、この長安口ダムというのは、もう古いダムでございますから土砂が大変たまっておりまして、容量がそもそも確保できないという問題が今現に起きておりまして、まずこれを何とかしなければいけないんではないかというのがたちまちのお話になっているわけであります。
 そこで、それへの対応としても、今回、国土交通省さんの方で素早く対応をしていただいて一万立米の土砂は除去していただけるという話になったわけでございますが、しかしいかんせん、一万立米という数字では余りにも少ない土砂量でございまして、これはもっと増やして対応していただくということはできないものだろうかと、この御質問をさせていただきます。
○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
 先生御質問のとおりでございまして、長安口ダムにおきましては、緊急的に当面一万立米の堆砂除去対策を行うつもりでございますが、それだけに終わらさずに、下流への影響等も勘案しつつ更に拡大して対応してまいりたいというふうに思っています。
 長安ダムにおきましては、先ほど御答弁申し上げたとおり、二十四日に取水制限を六〇%と強化いたしまして、利水容量の方も底をついちゃったという状況になっておりまして、緊急的に長安口ダムの下流に位置します県管理の川口ダムからも、発電管理者の協力を得まして必要な水量を放流したところでございます。
○小池正勝君 今、局長さんから更に土砂を取っていただけると、大変有り難い御答弁をいただきました。
 今、水がない、しかしこれから梅雨になりますから、梅雨のときに容量を確保できるように空けておかなければ、せっかく梅雨になってもたまらないわけでございますから、緊急に是非一万立米と言わずに取っていただければ有り難いし、今前向きな御答弁をいただきまして有り難いと思っています。
 さらに、その抜本対応のお話なんでありますが、今回、直轄管理をしていただいて総事業費で約四百八十億円ほどの事業をやっていただけるという話を伺っておりますが、これも大変有り難いことなんでありますが、発電ダムであるわけですけれども、発電容量を不特定容量として買い取るというお話になっているようですが、これで下流への流況の安定ということで、我々下流の県民、安心できるようになるんでしょうか。
○政府参考人(門松武君) お答えいたします。
 先ほどもお答え申し上げましたが、長安口ダムを県営から直轄化いたしました。さらに、長安ダムの下流に位置します県営の川口ダムも同じく治水それから発電を目的としたダムでございますので、その容量の振替を、今先生おっしゃっていただきました渇水に強いダム運用をするために容量配分を見直しまして、両ダムで渇水に強い運用をしてまいりたいと思っております。
 このことによります効果でございますが、現在、三年から四年に一回程度渇水になっております、ダムからの補給が限界に達するわけでございますが、この事業、今申し上げました事業が完成いたしますと、大体七年に一回程度まで向上するというふうに考えております。
小池正勝君 ありがとうございました。
 県民みんながこの渇水問題、大変困っておりますので、是非、今前向きな御答弁をいただいて大変有り難いと思っていまして、一日も早くお願いしたいと思っております。
 続きまして、totoの質問をさせていただこうかと思っております。
 これは五月十三日の読売新聞ですが、購入者が殺到してシステム障害を起こし、一部の販売網で締め切り時間までに購入できなくなるトラブルがあったという報道があって、二日後の五月十五日にもまた同じように、販売を再開したら、再び購入注文が相次いでシステムに負荷がかかったためシステムパンク寸前と、二回も事故が起こったということが報じられております。
 実は、このtotoにつきましては、三月の当決算委員会でも私取り上げさしてもらいました。そのときは、売上げが目標に及ばなくて困っているんだという指摘がありまして、これは警告決議になっているんですね。目標どおりやってもらわなければ困るという警告決議になっているわけですけれども、そのときの局長さんの御答弁は、三月のときに御答弁は、十九年度、いよいよ私どもといたしましてはこの売上げの一つのラストチャンスだということで、私どもとしても頑張っていきたいと、こうおっしゃっている。ラストチャンスがシステム障害でしょうか。どうなっているんですか。
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
 今先生から御指摘をいただきましたサッカーくじBIGにおきまして、十億円を超える繰越金が発生いたしましたために五月十二日の土曜日に購入希望者が一時的に集中をいたしまして、販売集中による接続障害が発生したところでございます。このため、独立行政法人の日本スポーツ振興センターにおきまして販売システムの点検と改善を行うために、五月十二日の土曜日午後から十三日日曜日一杯にかけまして販売を停止をいたしたところでございます。さらに、センターにおきまして十四日月曜日午前八時から販売を再開したところでございますが、先生御指摘のとおり、販売集中による接続障害が再び発生をいたしまして、同日夕刻に販売を停止したところでございます。
 センターにおきましては、販売のための処理能力の増強を行った上で十六日の水曜日午前八時から特約店とインターネットでの販売に限って販売を再開したところでございまして、現在システムは安定的に稼働しているところでございますが、コンビニエンスストアでの販売を依然として停止していることもございまして、センターにおいては、一日も早くコンビニエンスストアも含めたすべてのチャンネルでくじ販売が再開できるようシステム改善に取り組んでいるところでございます。
○小池正勝君 局長さん、局長さんは三月にこうおっしゃったんですね。今BIGのお話をおっしゃいましたが、十八年シーズン、ちょうど後半期からBIGという新しいくじを売り出しまして、こうおっしゃっている。これがうまくいくから大丈夫だとおっしゃった。うまくいかないじゃないですか。逆になってしまっているじゃないですか。どうなんですか。
○政府参考人(樋口修資君) お答え申し上げます。
 スポーツ振興くじの実施主体でございます日本スポーツ振興センターにおきましては、三月からの平成十九年シーズンにおきまして、先ほど先生から御指摘ございました、昨年末から売り出しております高額当せん金くじBIGの全シーズンにわたる販売でありますとか、あるいはコンビニエンスストアやインターネット等の販路の充実などの取組によりまして売上げ回復に努めてきているところでございます。
 現在、平成十九年シーズンの販売回数が約三分の一、三月から十二月までがシーズンでございますが、約三か月近く終了した段階でございますが、売上げの回復化傾向が一応顕著に見られるということで、既に、平成十八年シーズン総売上額が百三十二億円でございましたが、この総売上額百三十二億円をこの段階で二十億円上回る百五十二億円の売上額となっておりまして、今シーズンは大幅な売上増が見込まれる状況になっているわけでございます。
 私ども、今システム障害の問題、一部特約店、インターネット販売については再開をいたしましたが、コンビニエンスストア一万五千店における再開を目指して今早急な取組を進めておるところでございますが、今後とも日本スポーツ振興センターが売上げの回復化傾向を強固なものとすべく、より一層の売上げ向上と経費の節減に取り組むように私どもとして指導してまいりたいと思っておるところでございます。
○小池正勝君 もうこれ以上は申しません。一生懸命やってください。答弁も大事ですけれども、一生懸命やってもらうということが一番ですから。よろしくお願いいたします。
 終わります。
柳澤光美君 民主党・新緑風会の柳澤光美でございます。
 今日は、省庁別審査を受けて締めくくり総括的質疑ということでございまして、いろいろ振り返って整理をしてみますとまだまだ確認さしていただきたい項目がたくさんございます。同僚の三議員と分担をして質問さしていただきますが、短い時間の中で私も四省庁の皆さんにお伺いすることになりまして、時間配分に大変今苦慮をいたしておりまして、是非答弁は簡潔に、できましたら大臣に御答弁をいただきたいと思います。
 今日は外務大臣が外遊中ということで、外務省については一番最後にちょっと回させていただいて、先に厚生労働省にお伺いをしたいというふうに思うんですが、年金・健康福祉施設の整理合理化については、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構にゆだねられました。この機構は、平成十八年度から二十二年度までの五年間に廃止、譲渡を行うとされています。
 実は、私、当選して初めての本会議の質問がこの法案でございました。当該施設に投入された保険料が総額でおよそ一兆四千億円。それに対して、同機構に出資された際の時価評価相当額というのはたったの二千六百億円でした。本当に私は驚くとともに、だれも責任を取らない、私たちの年金、医療の保険料がここまで無駄遣いされて、しかも国民に見えないように早く処分をしてしまおうという内容の法案で、私は当時本当に腹が立ったのを昨日のことのように覚えています。
 この問題は、多額の損失を生じていることから、平成十六年度決算審査措置要求決議でも、「施設の売却に当たっては、損失の最小化のため最大限努力すべきである。」とされています。そのことをお伺いしたいというふうに思っているんですが、その前に一点確認をさしていただきたいと思います。
 この年金・健康福祉施設の整理合理化に先立って、実は勤労者福祉施設の売却が平成十七年度で完了しました。当時、千五十円とか一万五百円とか、消費税付きで投売りされた結果、譲渡施設の建設費総額というのは四千四百六億円だったわけですが、譲渡収入額はわずか百二十七億三千万円でした。率にして何と二・九%にしかすぎませんでした。
 譲渡された施設の中には、スパウザ小田原のように、建設費が四百五十五億円に対して、譲渡価格は八億五千万円で処分がされました。記録を見てみますと、当時視察に行った決算委員会のメンバーの多くから厳しい批判が出たということも確認をさしていただいております。ところが、そのスパウザ小田原は現在、ヒルトンが運営しまして、パンフレットやホームページを見ますと、一泊三万円を超えるので、大変盛ってうまくいっているということを聞きますと、本当に官僚のお役人の皆さんのいい加減さというか、私は本当に腹が立って立ってたまりません。
 それはおくとして、スパウザ小田原を含めて、売却された施設は二千七十か所あるんですけれども、その後、売却された後どのような状況になっているのか、本当にフォローをされているのか、あるいは売却の条件と実際の運営にそごが生じている施設がないのか、厚生労働省として確認をしているのか、その実態を簡潔にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(高橋満君) お答え申し上げます。
 お尋ねの勤労者福祉施設でございますが、これら施設を地方公共団体等に売却するに当たりましては、売却の条件として、公用、公共の目的のために使用しなければならない期間として五年間以上の指定用途期間ということを設けているわけでございます。この指定用途期間内におきまして、事情の変更等によりまして用途を変更しようとする場合につきましては、この契約書におきまして、事前に譲渡先でございます地方公共団体等から協議がなされることといたしておるわけでございます。こうした協議の仕組みを通じまして、私ども、売却後の状況をフォローをいたしておるところでございます。
 現在までのところ、この指定用途を変更しようということで雇用・能力開発機構に協議がなされたものといたしまして二十三件の申請がこれまでにございましたが、そのうち十三件については承認をし、残り十件については承認は不可ということにいたしておるところでございます。
 いずれにしましても、その承認に際しましては、内容を審査いたしまして、契約の趣旨にたがえるような内容でありますとそれを不可ということにいたしておるわけでございまして、現時点におきましては運営に特段の問題は生じていないのではないかと考えておる次第でございます。
○柳澤光美君 その辺また詳しく聞かしていただこうと、今回は時間がありませんから。
 この苦い経験が今回の年金・健康福祉施設の譲渡に本当に生かされているのかということが私は大変懸念をしています。また同じ過ちを繰り返される危惧がぬぐい切れないというふうに思います。
 実は、平成十七年度決算の検査報告では、多額の国損が生じていることなどを踏まえ、社会保険庁においても、年金資金等への損失の最小化の観点から、機構における適正な価格の譲渡が実施されるために必要な情報提供等の支援を行うことが必要だというふうにされております。
 この検査院の指摘を踏まえて社会保険庁としてどのような取組をしているのか、簡潔にお答えいただけますか。
○政府参考人(青柳親房君) 年金・健康保険福祉施設整理機構に対する支援につきましてお尋ねがございました。
 これまで私ども、一つには、機構が施設の譲渡に係る現地調査等を行う際に、その経緯等に関する情報など地域の実情に関する情報等を提供するという協力をしてまいりました。また、施設の整理に伴います従業員の求職活動、これはそれぞれの委託法人の職員である方々でありますが、これにつきまして関係団体へ協力依頼等を行うなどの求職支援をしてまいりました。また、施設の出資時におきます不動産、登記簿謄本の引渡業務など、必要な手続の支援などを行ってきたところでございます。
 今後とも、機構が行います業務が円滑に推進されるよう、機構と相談の上、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。
○柳澤光美君 後ほど同僚議員が年金の問題で質問いたしますから、社会保険庁とすれば今てんてこ舞いをされているというふうに思うんですが、これも私たちが納めた保険料ですから、機構に対してチェックをきちんと掛けていただきたいと。なぜかといいますと、この機構のホームページに報告が出ているんですが、十八年度末までの一年半で売却額は三百四十九億五千六百万円、簿価対比で二倍、出資価格で一・四倍と、いずれも大幅なプラスになったというふうに、自慢を私はしているとしか思えない報告があります。
 ただ、この実態というのは、もう少し是非突っ込んで見ていただきたいんですが、最近の地価の上昇が私はかなり寄与もしてきているんではないかなと。もちろんいろいろ努力をされて、一切されていないとは言いません、それなりの努力をされているのも内容を見さしていただければ理解ができないわけではありませんが、大変ある意味では売り急いでいるんではないかなというふうに私は強く懸念をしています。
 目的は、早く処分することではないんですね。私たち国民が納めた貴重な保険料を、たとえ一円でも多く取り戻すということが最大の目的になります。ですから、二千六百億円という譲渡された金額のその奥に、裏に一兆四千億という保険料の無駄遣いがあったんだということを忘れないでいただきたいというふうに私は強く感じます。
 そこで、お願いがあるんですが、十八年度から二十二年までの五年間、できるだけ早くという動きがどうしても強く感じられますんで、最近地価が上昇傾向にありますし、拙速な施設の売却は慎んでいただきたいと。場合によっては、五年間で廃止、譲渡を行うという規定にとらわれることなくて柔軟に対応すべきではないかなと。物件によっては、むしろこれだったらもう少し高く処分ができるというものに関しては、そのくらいの決断が必要だろうというふうに思います。
 是非これに対して、厚生労働省の所管ですから、厚生労働大臣の方からその辺の決意を含めて答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 年金福祉施設等の整理合理化に当たっては時期をよくわきまえろと、こういう柳澤委員からの御指摘でございます。
 確かに最近の不動産市況というのは、ようやく長い間の低迷を脱して、いろんな箇所で地価の上昇というようなことが見られるわけでございますけれども、私ども見るところでは、昔のように転売価格というかキャピタルゲインねらいで価格が上がるということではなくて、事業収入、収益の還元という形で、よりフローの状況とストックの価値とがきちっと結び付いた形が基本になると、こういうように考えておりまして、そういう中で、フローの収益なりあるいはキャッシュフローなりというものの価値をディスカウントすると、現在価値に割り引いてそれを資産価値とするというような、そういう考え方というのが不動産業界あるいは取引の皆さん方に非常に徹底してきているということがあろうかと思うわけでございます。
 もちろん不動産価格というキャピタル・キャピタルの関係というものを全否定するのが正しいとは思いませんが、しかし、基本的にそういう考え方が行き渡り始めているということが、このごろの価格、不動産あるいは地価の上昇にもあるということを、そういう認識を持っております。したがいまして、従来、地価の上昇が見込まれる場合であっても、現に高い事業価値がある物件については計画的な譲渡、売却を進めるべきであると考えているわけでございます。
柳澤光美君 今日は時間がありませんから、ただ、昨年もその売却のところで、高い美術品もそのまま、査定をしないで付けたまま売ってしまったとか、いろいろな議論が出ていました。最近マスコミでは、グリーンピア南紀が外資に非常に安く売られるというような報道も出ています。私もこの後、徹底的にまた追及をさしていただきたいというふうに思いますが、私は、決算委員会としてもこの問題に関心を持ち続けるべきではないかなという問題提起をさせていただきたいと思います。
 次に、済みません、文部科学省にお伺いをしたいと思います。
 昨年、奈良県明日香村の高松塚古墳にある女子群像や白虎などの壁画がカビによって著しく劣化していることが明らかになりました。この壁画の劣化は、防カビ対策を十分にせず壁画のある石室内で作業をしたというずさんな管理のためにカビの大量発生を招いたことが原因であり、また、文化庁の担当者らが過って壁画を傷付けながらそれを公表しなかったという文化庁の隠ぺい体質も相まって、人災であるという大問題になりました。
 文化庁の予算は約一千億を超えておりまして、この問題の処理だけでも私はかなり多額の費用がプラスアルファで掛かっているだろうというふうに思っております。国民の財産である文化財の保護、維持は大変大事なことなんですが、少なくとも現在はほかに担う組織がない以上、文化庁が引き続きその役割を果たさなければいけないというふうに思います。しかし、文化財の保護だからといって特別ということではなくて、こういう財政状況の中ですから、少なくとも無駄遣いはできないだろうというふうに考えております。
 そこでお伺いしますが、この高松塚古墳壁画の損傷、劣化について外部有識者による文化庁の調査委員会が検証を行いまして、昨年六月に報告書を出しています。この中では、縦割りとセクショナリズムと、それから情報公開と説明責任への認識の甘さが指摘されました。この文化庁の意識と体質に問題があったというふうにかなり厳しい指摘をされております。この文化庁の意識と体質は、その後、約一年経過する中できちんと改善が進んでいるのか、また万全の再発防止政策が講じられているのか、文部科学省の責任と反省も踏まえて大臣から御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 先生から御質問がありましたように、調査委員会のいろいろな指摘を私も大臣に就任いたしましてから読んでみました。それで、基本的に、こういう文化財が発見されたときは、やはり当然国民として人間としてその内部を見てみたい、また重要なものについてはいろいろ参考にしたいということがありますから、これを開けた限りは外気が入ってまいりますから、必ずカビその他が生ずるというのは、まあ私のような素人でも分かるわけですね。で、いろいろなマニュアルを作って周到に準備をしながらやったようですけれども、しかし国民的な財産ともいうべきこの文化財を結果的にはカビにさらしたという責任はやはり非常に大きかったと思います。
 その原因として、一つは、やはり文化財を扱う方々の、行政官としての感覚よりもやはり学者、専門家としての感覚が非常に強くあったということ、それから、先生御指摘のように、文化財を扱っている部局と史跡その他を扱っている部局の意識のずれ、感覚が十分でなかった、これらについては調査報告書の中にございます。一番厳しくやはり指摘されているのは、間違いはあってはならないんですが、人間のやることですから間違いは起こり得ないということは断言できません。しかし、間違いがあれば間違いがあったということをやっぱり率直に認めて、みんなでそのことの事後策を講ずる、そして国民に対しておわびをして、そしてその事実関係をきちっと御説明すると、このことが一番私は不十分だったと思います。
 当時の文化庁長官は、今大変御不幸な状態でおられますが、謝罪をされて、そして当時の大臣以下俸給を返上する等の措置を講じておりますので、国民の財産でございますし、これを直す場合も国民の血税を使うわけでございますから、調査報告書で指摘されたことをやはり大臣としてきちっと見守って指導していくという姿勢で私はやっておりますし、その後の状況を見てみますと、作業の進捗状況等をかなり情報公開して国民の御批判にさらしながら作業を進めておりますので、大変、当初、出だしが結果的に失敗したことに対して深い反省の上に、これから二度とこういう失敗のないように緊張感を持ってやらせていただきたいし、また指導していきたいと思っております。
○柳澤光美君 今大臣から御答弁いただいたように、本当に忠実に専門化した所管を守ろうという体制が、部分で動いてしまって全体のバランスが取れていなかったということが一番大きいというふうに思います。そういう意味では、プロだといいながらも、専門家に任せるだけではなくて、経費の使い方も含めてもう少し文科省がきちんとチェック機能を図らなければいけないだろうと。
 先ほどおっしゃられた河合隼雄さんも、反省されると同時に、どちらにしても文化財保護法など関連法案も含めて文化財保護行政を抜本的に見直す必要があるんではないかというような問題提起もされていますが、それに対しては大臣の方で今どんなふうに考えられているか、済みません、時間がございませんので簡潔にお答えいただければと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 現在、文化財審議会の下の企画調査会というものをつくりまして、今先生が御指摘になった縦割り、それから史跡、文化財の保護その他のジャンルの違いを統一的にやっていけるような体制について御審議をいただいております。できるだけ早く結論を得まして、保護手法の調整を行うなど、管理計画をきちっと計画的にやっていける体制を確立したいと思っております。
○柳澤光美君 是非よろしくお願いしたいと。こういう財政状況の中ではどんな分野であっても税金の無駄遣いはできないという視点もきちんと据えて、そうはいっても文化財をきちんと大事にするというバランスも取っていただいて進めていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。
 次に、総務省にお伺いをしたいと思います。
 昨年、行革推進の特別委員会で私も市場化テスト法案の質問に立たさせていただいたんですが、今日は、その中でも議論になりました指定管理者制度についてお伺いをしたいというふうに思います。
 各自治体では、総務省の指導の下で、国も財政大変なんだけれども、地方も二百兆を超える大きな赤字を抱えている。ですから、そんな中で、地方公務員の定員、給与の削減や民間委託の維持等で行政改革が進められております。その一環として、これが一番大きな当時目玉だったわけですけれども、市民会館やプール、美術館などの公の施設の管理運営を民間に開放すると、これが実は指定管理者制度でした。これが平成十五年九月に創設されました。
 この公の施設というのはかなり多岐にわたっておりまして、レクリエーション・スポーツ施設、産業振興施設、基盤施設、文化施設、社会福祉施設と多岐にわたります。その導入状況を総務省が調査をされまして、今年の一月に結果をこのように発表をされております。
 その調査結果を見てみますと、都道府県別、指定都市、それから市区町村というふうに分かれて出ているんですが、例えば都道府県別の指定管理者制度の導入施設数というのは、導入率で五九・二%、公営住宅を除くと四九・七%と半分以下になっています。その上、導入された指定管理者のうち、本来民間に移すと言っている、民間企業はたったの四・五%。それから、NPO法人になっては〇・九%。民間開放といいながら、合計してもわずか五・四%しか開放が進んでいません。指定都市や市区町村も入れて全体で見ても民間団体やNPO法人の参入実績はわずか一〇%程度にとどまっています。結果的に、従来からやっていた管理受託者が引き続き指定管理者になっている施設数というのは八〇%、八割を占めています。
 この指定管理者制度の実効性について、私は、せっかく入れたんだけれども全く進んでいないんではないかというふうに判断をしておりまして、そこでお伺いしたいと思いますが、従来からの管理受託者が引き続き指定管理者となっている割合が極めて高い要因の一つに、選定手続の問題があると私は考えています。総務省の調査でも、公募方法による選定を行ったのは全体のわずか三割程度にとどまっています。
 公募方法によらない選定手続が多くなっている理由、また、このような状況に対する総務省としての認識について、大臣にできればお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(藤井昭夫君) お答えいたします。
 まず、公募によらない理由については、今回の調査結果では具体的には調査していないところですが、いろいろ関係者の御意見等を総合しますと、基本的には、一つは制度自体がまだできて間もないということもあるんですが、問題はやっぱり受皿である民間の事業者等が、特に、都会はまだいいんでしょうけれども、小さな市町村になるとなかなかそういう受皿がないということ。それとあと、一部ではありますけれども、サービスの受け手である住民の側に、そういう民間に任せた場合、行政サービスの質が劣化するんじゃないかという不安、懸念があると。そういうようなことを受けて、やっぱり市町村としては相当慎重にやらざるを得ないという状況になっているのかなと思っております。
 先生御指摘のように、公募によった率でございますが、都道府県とか政令指定市というようなのがやっぱり高くて五割ぐらいになっているわけです。それ以外の市町村は二割ぐらいということで、やっぱりそういうことを踏まえても、なかなか小さな市町村に普及するというには、いろいろ市町村長さん、努力していただいていることは私どもも承知しているんですけれども、まだまだちょっと時間が掛かるのかなと思っております。
 ただ、いずれにしましても、この指定管理者制度というものの趣旨というのは、先生御指摘いただいたところの、言わば公の施設の管理を民間の能力、経営能力、そういったものを活用することによって、厳しい財政状況の中で行政のスリム化を、効率化を図るとともに、新たなより質の高いサービスを実現するということで、引き続き推進していかなきゃいかぬ課題だと思っております。
○柳澤光美君 私調べてみて今の答弁と違うのは、むしろ株式会社とかNPO法人に導入している施設の数というのは都道府県が一番低いんですよ。むしろ市区町村が民間に一二・三、指定都市に七・七、ところが都道府県が四・五と。
 もう今日は、この問題、時間がありませんからこれ以上突っ込むつもりはありませんが、どちらにしても制度導入の目的というのは、コスト削減効果がどうなっているかということだというふうに思うんです。これは、もう少し、総務省として導入の効果等の調査分析というのを行っているのかどうか、簡潔にちょっとお答えいただけますか。
○政府参考人(藤井昭夫君) むしろ私どもとしては、やはりできるだけ民間の事業者にやっていただくことがいいと思っておりますが、いろいろ先ほど申し上げましたように地域の実情がございましてなかなか進まないということで、私どもまたいろいろ関係者の御意見を聞きながら、ネックになっているいろいろな課題があります、こういったものを一つ一つ分析して解決をしていくというようなことで、情報提供を含めて地方団体に対して推進をする、指導をするというふうな形で進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。
○柳澤光美君 是非、もう少し踏み込んだ調査してほしいし、場合によれば、私はやっぱり決算委員会で会計監査等で少し入らないとなかなか進まないんではないかなというふうに思っていまして、ただ、民間委託を推進するには、まず一つは公募を、もっとオープンに公募をするということが一番大事だろうと。ただ、その中でいろんな声もありまして、指定期間をもうちょっと長く見直してもらわないとなかなか公募に応じられない、あるいは事業の評価や整備も必要だと。具体的に言いますと、指定期間が短いと長期間を見据えた事業計画が練りにくい、人材育成が難しくなるというようなこともございます。
 また、問題は、指定期間が終了時の事業評価に対して、ほとんどの自治体が評価基準や実行方法は整備していません。全部先送りになったままです。この指定管理者制度の実効性を向上するためにはいろいろ諸問題も整理をしていかなければならないというふうに思いますし、国の方が今、独立行政法人の下に公益法人があって、ファミリー企業があって、天下りがあってという無駄遣いの構造を元から切ろうとしているんですが、私はそのミニ版が全部地方公共団体にもあるんだろうと。
 それは同時に進めなきゃいけないということも踏まえて、大臣の御所見と御決意がいただければと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 住民の多様なニーズにこたえるためにこうした仕組みを導入して、当然やはり私は効果的な、効率的な運営が行われるべきであるというふうに考えています。その中で、今遅々として進んでいないということを私自身もこれは非常に残念なことだというふうに思います。
 そういう中で、やはり今委員から御指摘がありましたけれども、具体的にはやはり公募が何といっても一番私はいいと思っていますので、こうしたことを、公募を推進できるように私どもも要請をさせていただきたいというふうに思います。
 それと、指定期間三年ということでありますけれども、これについて様々な問題があることも私も承知をいたしております。特に人的配置の問題で、三年じゃというところもおりますけれども、一方、入札の透明性、公平性という観点からして大体三年ぐらいかなということもありますので、そうしたことも十分私ども検討させていただいて、この指定管理者制度というのを導入をしたその原点に立ち返って私ども総務省も、このことについてより多くの公募が行われて、市民の皆さんに効率的にそして公平にそうした制度が行われるように、私どもも更に都道府県、地方公共団体に強く要請をしていきたい、こう考えています。
○柳澤光美君 是非、国だけではなくて地方も併せて財政再建をしていかなければならないというふうに思いますし、是非総務省としての強力なリーダーシップもお願いをしておきたいと思います。
 それでは、外務省に移りたいと思いますが、省庁別審査のときにODAについて時間が足りなくてお伺いし切れませんでしたので、ちょっとお伺いしておきたいと。
 私、我が国が、調べてみると援助国になってもう既に五十年を超えていると。とすれば、外務省として相当のノウハウが蓄積されていていいだろうと。民間企業でいえば、五十年歴史あると過去のノウハウというのはかなり蓄積がされてくると。ところが、毎年ODAに同じような問題が生じて、報道でも、去年の秋からも、集めたらもう集め切れないぐらい大きな無駄遣いが起きている。元々途上国側が陥りやすい問題点というのは、もうあらかじめ全部予測が付くぐらいのサンプルというかノウハウができていていいのではないかなと。それが援助のプロである外務省であり国際協力銀行、JBICであったり、そしてJICAだというふうに思うんですが、それが、会計検査院の検査報告では、ODAを供与する際の事前調査の実施状況が高くなっていますけど、終了後の確認やフォローアップの実績が大変低く、また被供与団体からの最終報告が遅延している例まで挙がっている。これは正に、予算を使うことには熱心なんだけれども、その決算、つまり税金が有効に使われたかどうかという視点が大変おろそかになっている私は典型的な例だというふうに感じておりまして、その中で実は、平成十五年でしたか、草の根・人間の安全保障無償という新しい仕組みが入りまして、一千万を上限に在外公館で援助ができると。ところが、会計検査院が行っているこの草の根・人間の安全保障無償検査報告を見ますと、本当に在外公館の案件管理とフォローアップ体制が不十分なんということが如実に報告書に出ています。
 例えば、ベトナム大使館では、平成十三年から十六年度の実施案件が七十三件、六億六千三百万であるのに対して、草の根無償を担当する在外公館職員は一名で、この職員は草の根無償以外の業務も兼務している。ほかに専任の現地採用職員が二名いるということなんですが、この体制ではすべての案件をフォローアップすることは確かに私、難しいと思います。実際、ベトナム大使館が案件終了時に確認したのは七四・三%にすぎませんし、その後の状況のフォローアップに至っては七・七%にとどまっています。
 会計検査院が検査を行った十の在外公館においても、草の根の担当の在外公館職員は全員兼務で、十三名にすぎません。この案件終了確認というのは六九・一あるんですが、事後のフォローというのは三三・三にとどまって、似たような状況が起きています。
 そこで、お伺いしたいんですが、今現在行っている在外公館の公館数と案件数、金額、それに対して人員体制というのはどのくらいになっているのか、簡潔にちょっとお答えいただけますか。
○政府参考人(別所浩郎君) お答え申し上げます。
 平成十七年度を取りますと、大使館、総領事館を合わせまして百十公館におきまして千六百三十三件、約百四十四億円の草の根無償を実施しております。
 人員の方でございますけれども、草の根無償を含む経済協力業務を担当すると、経済協力担当ということでございますと二百六十人ぐらいでございまして、そのうち約百十人ぐらいが外務省の生え抜きという、そういう状況でございます。その中で、草の根単独というのはなかなかいないというのはおっしゃったとおりでございます。
○柳澤光美君 確かに、人員も足りないだろうと。ただ、本当に現地採用も含めたり、それから、何というんですか、プロパーではなくて委託をするような社員も今増やしているというお話は聞いていますが、もう五十年もたってずっとこの問題が続いているんですから、もう一回抜本的に外務省としてODAの体制を整えていただきたいなというふうに思っております。
 実は一つ、時間がなくなりまして、このODAの問題というのは、ODA特別委員会もありますし、また決算委員会でも、在外公館の草の根をひっくるめた活動というのはこれからも是非検査をしていただきたいと思うんですが、この前の省庁別審査のときに、私、債権放棄の報告の在り方について麻生外務大臣にお伺いをしました。
 途上国の債務救済は、平成十四年までは債務国からの返済後に同額の無償資金を提供する債務救済無償方式でしたから、一般会計予算の審査を通じて国会による財政統制が可能でした。ところが、十五年から国際協力銀行が有する円借款債権などの債権を直接放棄する方式に変更になりました。ですから、巨額の債権、つまり我が国の資産が放棄されるということが国会でなかなか見えない。大臣の方も、官報ではやっているし、広報もしている、JBICも年次報告している、ただ分かりにくいだろうという、今後もう少し検討したいというお話があったんですが、できましたら、ODAの決算それから債権放棄、特に債権をどれだけ放棄したのかというのは、私は一度決算委員会にきちんと報告をいただくという手続が必要なんではないかなというふうに感じておりまして、委員長にお願いがございますが、これは是非理事会で一度御検討をいただければということをお願いをしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(泉信也君) 理事会で協議いたします。
 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(泉信也君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、犬塚直史君が委員を辞任され、その補欠として水岡俊一君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) 休憩前に引き続き、平成十七年度決算外二件及び予備費関係五件を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
藤末健三君 民主党・新緑風会の藤末でございます。
 私は、三点御質問申し上げたいと思っております。
 一つは、今、研究開発重視ということでございまして、大学の研究開発などにつきまして競争的研究資金というのがどんどん増えております。数値でいいますと、この十二年間で約予算が四倍になり、平成十九年度予算では五千億円にもなるという状況でございまして、この競争的研究資金の不正受給の問題につきまして一つ話をさせていただきたいと思います。
 そして、二つ目にございますのは、今国会でも決算委員会で非常に議論をしております独立行政法人の契約の在り方についてお話をしたいと思います。前回の決算委員会におきましては、同僚の藤本委員から農水省等の独法における契約の在り方につきまして議論がありましたが、私の方は、随意契約の契約限度額というものを各省庁のものを調べてきましたので、それについて議論をさせていただきたいと思います。
 そして三つ目に、文部科学省の関係で、国立大学法人そして私立大学、その経営の在り方につきまして議論をさせていただきたいと思います。
 まず一つ目にございますのは、多発する、科学技術関係の補助金、特に競争的研究開発費という、いろいろな大学の方々がプロポーザル、申請書を書いて、その中から優れた研究プロジェクトを選び研究資金を提供するという制度でございますが、まず一番初めにお聞きしたいのは、厚生労働大臣にお聞きしたいんですが、最近、厚生労働省の技官によるこの厚生労働科研費の、科学技術研究費の詐欺事件が発生しております。新聞等で見ますと三件の発生があったということでございますが、この問題の背景、そして反省点は何か、そしてその問題点に対してどのような再発防止を行うかにつきまして教えていただけませんでしょうか、お願いします。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 今回の御指摘の詐欺事件でございますが、これは厚生労働科学研究費補助金の一部につきまして、消耗品を購入した事実がないにもかかわらず購入したように見せ掛けて詐取したものであると、このように聞いておりまして、三月九日に中村被告らが逮捕されて以来、合計三回逮捕、起訴が行われ、三件合計で約六百万円の被害とされているところでございます。
 当該事件につきましては、厚生労働省におきまして事実関係を調査分析する必要があると、このように考えておりますけれども、やはり研究費の管理というものにつきまして、より機関による管理というそういう方式に改善をしていく必要があることなど、適切な再発防止策を検討していきたいと、このように考えております。
○藤末健三君 是非、再発防止策を行っていただきたいと思います。
 ただ、一つございますのは、機関による管理というのはもう大賛成でございますけれど、やはりいろんな資料を読んでみますと、厚生労働省のこの科学技術研究費は支給タイミングが遅いんですよ、大体夏を過ぎてしまうと。審査とかいろいろな手続、公募、審査、いろんな手続をやって、大体お金が来るのが夏を過ぎてしまうので非常に使いにくく、そのためにいろんな予算の枠組みを変えなきゃいけないということの指摘や、もう一つございますのは、この科研費の支給が十の部局に分かれているらしいんですね。その部局がまたばらばらばらばらいろんな発注が来るものだから大変だという話がございますので、この点も是非、大臣、御検討いただきたいと思います。
 そういう中におきまして、厚生労働省の方、対応していただきたいわけでございますが、一方で、昨年におきましては文部科学省の研究費のこの不正な使用というものがございました。中には総合科学技術会議という公的な政府の機関の委員をなされている方が不正使用ということがございましたけれど、このような全体的な科学技術関係の補助金、大学等の研究費についての不正使用の多発要因につきまして、文部科学大臣の御見解をお伺いしてよろしいでしょうか、お願いいたします。
○国務大臣(伊吹文明君) 国民の税金を使っているわけですから、先生が御質問になったようなことは本来あってはならないことは、もうこれは当然のことです。不正と言われるものの中にも、明らかに自分の懐に入れたとか、おかしなことに使ったという不正もありますし、定めどおりの経理をしていなかったという失敗もあります。いろんなものがございます。
 文部科学省が持っております競争的資金における十六年から十八年度までの採択件数は大体十六万件で、そのうち不正と言われるものは三十件なんですね。それから、事業規模としては、九千九百億、約一兆円の中で返還命令が出たのが五億五千万ですから〇・〇五%ということですが、これが正しい数字なのか、表に出たのは氷山の一角なのか、これはもうよく考えておかないと、この数字が低いからといって失敗をいたしますので。
 そこで、どうしてこういうことが起こるのかということを私も大臣になりましてからいろいろ、いろんな人から話も聞いてみましたが、まず研究者の意識ですね、自分たちは立派なことをやっているんだからルールというものは別だと、まあ言葉は悪いですが、研究者ばかというようなことが一つあると思います。
 それからもう一つ、我々の方の反省として言えば、やはり使いでが悪いと。これ年度区分その他をきちっとしておりますので、研究の継続性との間の関係がどうだと。それから、厚労大臣もおっしゃいましたが、研究機関内の資金管理が十分であるかどうなのか、研究者任せであるのか、これは一番目に申し上げたこととも関連してくるわけですが。
 そこで、私が文部科学大臣になりましてから、繰越しについて少し弾力的にしろと、その代わり年度末には必ず銀行の残高証明を取れと。それからもう一つは、各研究機関、大学で自主的に監査をしてもらいたいと。いろいろ失敗が重なるような研究機関、大学については、交付ということについてやはり責任をお持ちにならない場合は見直さざるを得ないというようなことをまとめまして、通知をしたわけです。総合科学会議にも、担当の高市大臣にお願いして、文科省ではそのようなことをやっているので、厚生科学研究費を含めて、政府においても同じような通知を出すことを総合科学会議として確認しようじゃないかということを申し上げて、それは私の提案どおり了承はされたということでございます。
○藤末健三君 大臣のこの御努力、本当に多とします。
 私は、実は三年前まで国立大学の教官やっておりまして、現場で見てまいりました、いろんな問題を。大臣が御指摘いただきましたように、繰越しの問題、あと監査の問題、是非やっていただきたいと思います。
 特に私がお願いしたいのは、研究費の区分が細かいんですよ。例えば、旅費というのと海外旅費というのがあるんですね。そうすると何が起きるかというと、海外旅費を国内旅費に回せないんですよ。そして余っちゃう。そうすると何が起きるかというと、何とかやりくりして、旅行代理店にお願いして、海外旅費を国内旅費に使うとか。
 あと、もう一つございますのは、いろんな研究費があって、大きな研究装置を買うときに、一つの項目じゃ足りないときがあるんですよ。そうすると、無理やりいろんな研究費を集めて一つの装置を買わなきゃいけない。そうすると実際と予算の配分が変わってしまうということでございますんで、もっと予算の柔軟性をより一層高めていただきたいと思います、私は。それが一番大きいんじゃないかと。
 それともう一つございますのは、今、私はこの決算委員会でも御指摘申し上げましたけれど、大学のこのコンピューターシステム、情報システムの利用率が著しく低いんですよ。まだ紙でやっています、ほとんど。
 ですから、大臣がおっしゃるように、管理をどこかにきちんとやらせる、やっていただくという話はありますけれど、今の紙でやっている状況じゃ無理だと思います。各研究室が領収書を紙でやって、もうほとんどまた紙で回しているんですよ。時々なくなったりしていました、私がいるときは、紙が。お金が払われないんですね、紙がなくなって。というようなことも起きていましたんで、是非情報化を進めていただきたいと思いますし、その際は、是非、国立大学で共通したものをつくっていただきたいと思います。
 今企業でも、ERPとかいう共通したシステムを使ってどんどん経営の合理化を進めていますんで、今、調べてみますと、各大学が個別にシステムをつくっているんですよ。恐ろしい無駄な投資、八十幾つあるような大学が個別につくっている状況でございますんで、これはまさしく中央官庁がきちんとルールを作り、システムをつくり、そしてシステムをつくるときは業務の在り方自体を見直していただかなければならないと思います。
 実際に、この十年間で約、この競争的研究資金、四倍に増えていまして、担当している部署の方々の数が増えているかというと、増えていないんですね、これはほとんど。ですから、それをカバーするためには、やはり合理化を図っていただきたいと思いますので、是非ともやっていただきたいと思います。
 それと、もう一つございますのは、一つ一つの研究プロジェクトの管理を徹底するということはございますけれど、それと同時に、ある特定の研究者に集中して研究費が集まっているというのがございます。
 例えば、文部科学省から予算をもらい、経済産業省から予算をもらい、また厚生労働省から予算をもらって、積み上げるともうすさまじい研究資金を一人の方が使われているという状態が生じたわけでございますが、このような特定の研究者に研究費が集中するということにつきまして文部科学省としてはどのような対応をお考えでしょうか、お願いいたします。
○国務大臣(伊吹文明君) これは、我が省だけではなく、先生がおっしゃったように、省庁横断的な問題ですよね。一番不正、不正というのにはいろいろな種類があるということを申し上げましたが、今先生がおっしゃったことも一つ不正が起こる大きな理由なんですよ。
 というのは、花形プロジェクトというのはいろんなところに申請されるわけですよね。各省のお金が来ます。そうすると、スタッフの数、時間、研究施設等から見て、必ずしもすべてがこなせない、お金が余っちゃうという現象が起こります。
 そこで、各省共通の研究開発管理システムというものを今開発しているようでございます。この計画では、二十年一月からこのシステムが動き始めますので、そういたしますと、今先生がおっしゃったような、いろいろな省庁が出しているお金が、各々の研究者の申請段階、あるいは審査段階、採択段階、決算段階でこれを情報として入手することができますから、ダブりのないように効率的に国民の税金が使えるように、一部の人やボスのところばかり行かないように、これをしっかりと見ていきたいと思いますので、そのシステムの中で国立大学法人をどう位置付けるかというのは我が省の仕事だと思います。
藤末健三君 この省庁横断データベース、たしか来年一月ぐらいからもう完成して運用されるというふうにお聞きしておりますけれど、是非徹底して利用していただきたいと思いますし、また、可能であれば、将来的には予算と実際にどう使われたかということが一連にしてつながってチェックできるような仕組みまでつくっていただければ私は不正は割と容易にチェックできるんではないかと思いますので、是非、文部科学省におかれましては、この情報システムの利用を考えていただきたいと思います。
 自分自身の経験で申し上げますと、先ほど、単年度を見直す、あと、いろんな枠組みを見直すということを大臣はおっしゃっていますけれど、変に枠組みとか単年度主義でございますんで、お金が余っちゃうと無駄なものを買っちゃうんですよ、これは本当に、私経験しました。政治家になってからよりも大学時代の方がいろんな自由になる金が多いんですよ、今。そういうお金が余っているような状況もございますんで、是非ともそれはきちんと、政治のお金も正すし、研究資金のお金も正すということで、是非文部科学省からきちんとやっていただきたいと思います。
 続きまして、二つ目の項目に移らさせていただきまして、独立行政法人における随意契約限度額の在り方の見直しということでございますが、この話はもう一昨年の会計検査院、そしてこの決算委員会でも独立行政法人の契約の在り方については多くの多くの議論がなされております。
 私も、実際に随意契約の問題や、あと実際に一般公開入札してもその落札率が非常に高いということを御指摘申し上げたわけでございますが、本日、皆様のお手元に資料を作ってまいりました。これは何かと申しますと、随意契約ができる金額が国の、政府の随意契約をできる基準を上回っている独立行政法人をリストアップしたものでございます。
 これを見ていただきますと、非常に、これマークをしておりますけれども、ちょっとひどいんじゃないかというところに。例えば、一般的に国の場合は、政府の場合は、工事とか製造といった場合には二百五十万円を超えるものは一般公開入札、二百五十万円以下が随意契約できるとなっています。あと、財産の購入では百六十万円以下、賃借料では八十万以下、財産の売払いは五十万以下、あと賃貸料は三十万以下、そして役務については百万円以下というふうになっておるんですが、これを見て、マークを付けているところを見ていただければ分かりますように、農水省の傘下の独立行政法人、すべて五百万円以下になっているんですね。例えば、工事だと、国の場合二百五十万以下でございますが、五百万円以下が随意契約できますよとなっている。そして、大事なことは、役務契約、賃貸契約、役務契約は百万円以下でございますけれども、これも五百万円以下、賃貸料については三十万円以下しか随意契約できないものが五百万円以下ということで、ほとんどもう全部随意契約できるんではないかという状況になっています。
 前の決算委員会で同僚の藤本議員からも御指摘させていただきましたけれども、この四角でくるんでいます独立法人農業・食品産業技術総合機構、ここの随意契約はもうほとんど、五百万円以下であれば何でもできるという状況でございますが、一方で随意契約した中身を見てみますとどうなっているかといいますと、ほとんどが、落札率が一〇〇%に近いものが幾つもあるという状況になってございます。
 ちなみに数字を申し上げますと、独立法人農業・食品産業技術総合機構は、一般公開入札が三百十九件ございました。そのうち四十七件が落札率が一〇〇%ということ、落札率が一〇〇%です。また、独立行政法人水産総合研究センターは、百四十八件の一般公開入札の中で落札率が一〇〇%のもの、満額のものが三三%ということでございます。これだけでも非常に驚きの数字でございますが、その裏を見ますと、何と、普通、国であればもう百万とか三十万円以下のものしか随意契約できないものが、五百万円までは随意契約できますよとなっている。そして、五百万円を超すものを一般公開入札していると思いきや、何と一〇〇%入札という、常識的にはあり得ないような落札率が起きているわけでございますが。
 今日は、農水省の方に話をしてもなかなからちが明かないと思いましたので、是非総務大臣にお聞きしたいと思います。
 総務大臣、このような現状をいかがお考えですか。そして同時に、二年前に会計検査院が指摘しております、このような問題、そしてまたこの決算委員会でも多くの同僚議員が御指摘申し上げているわけでございますが、このような現状についてどのように対応されてきたか、是非見解をお聞かせください、お願いいたします。
○国務大臣(菅義偉君) 今、藤末議員よりいろんな数字、御指摘をいただきました。これはだれが見ても余りにも非常識な数字だというふうに思っております。そして、本来の独立行政法人の在り方と大きく懸け離れているなということを再認識をさせていただきました。そして、今委員から、一昨年の会計検査院の中でもこうしたことが指摘をされている。
 そして、私どもとしては、基本的には各法人だとかあるいは主務大臣において行われるものであるべきとは思いますけれども、これを所管をしている総務省として、独立行政法人の業務運営の効率性及び国民の信頼性の確保、こういう観点から、昨年の三月に、法人の随意契約によることができる基準の策定及び公表を、さらに、当該基準額以上の随意契約を行った場合の理由の公表、こうしたものについて各府省に要請を行い、公表等について求めたところであります。
 さらに、本年の二月に、随意契約に関する実態調査の結果を各法人にフィードバックをして、一般競争入札の範囲の拡大やあるいは契約の見直し、契約に係る情報公開等を通じた業務運営の一層の効率化を図ることを求めるとともに、各府省における年度評価だとかあるいは中期期間終了時の見直しについて、随意契約の実情について把握、公表した上で評価を行ってほしいと、こういうことを強く求めたところであります。
○藤末健三君 私が調べましたら、これは昨年十月時点のデータでございますが、最新のデータを調べますと、何と、文部科学省は対応していただいているんですよ、こちらがいろいろ指摘したことについて。ですから、文部科学省はここに書いてあるよりも、もう既に対応して、ほぼすべて国と同じ基準に変えていただいています。
 私が申し上げたいのは農水省なんですね。農水省は、最新データも調べて持っていますけれども、今現在においてもこの状況なんですよ、五百万なんですよ。
 私は総務大臣に申し上げたいのは、総務大臣が今おっしゃったのは各独立行政法人に対応してくれと要請されているわけですけれども、私は違うと思うんです、これは。担当する主務官庁にきちんと要請をしていただかなければいけないんじゃないかと思うんですが、その点いかがですか。特に農水省です、これは。
○国務大臣(菅義偉君) 私ども、先ほどの私の答弁が理解をいただけなかったものと思います。
 私ども、それぞれの府省庁にもこれ要請をいたしております。特に、今御指摘がありましたけれども、農水省については改めて再度強く要請したいと思います。
○藤末健三君 会計検査院の方はおられますか。
 会計検査院としてこの状況をどう思われるかというのをちょっと是非述べていただけますか。
 簡単に申し上げますと、会計検査院が二年前に指摘されたわけでございますので、その状況をトレースする責任もあると思います。私は、総務大臣もやっていただかなきゃいけないし、同時に会計検査院もやっていただくべきだと思うんですが、その点につきまして、もし会計検査院の方がおられたらお願いします。
○説明員(増田峯明君) お答え申し上げます。
 ただいま先生がおっしゃいましたように、独立行政法人の随意契約の限度額につきましては、私ども、従来からその推移について注目して見ておりますので、これからも引き続き十分監視していきたいというふうに思っております。
○藤末健三君 一昨年前に会計検査院が指摘されたわけですよね。それに対してこの程度しか対応されていないことについてはどうお考えですか。
○説明員(増田峯明君) お答えいたします。
 それぞれの事情があるかと思いますけれども、私どもといたしましても、限度額については、なるべく随意契約で契約できる限度額というのは国の基準に基づくべきものだと考えておりますので、引き続きそのような形で検査をしてまいりたいというふうに思っております。
○藤末健三君 是非、会計検査院も頑張っていただきたいし、また、総務省も責任を持ってやっていただきたいと思います。
 私は、ちょっと資料はもう配らさせていただきませんでしたが、実際に農林水産省に話をお聞きして、どうしてこうなんですかということを一応紙で書いていただいているんですよ。
 そうしますと、本年二月には、各独立行政法人に対して国に準じて随意契約によることができる限度額引下げをするように要請したところですよと。本年二月にもうやっているとおっしゃっているんですよ。しかし、現状において対応できていないんですよね。文部科学省さんは年度の切れ目に変えているんですよ、ちゃんと、二月に総務省から話があった時点で。で、総務省から話があり、農水省は各独立行政法人へ流しましたとおっしゃっているのに変わっていないんですね。ですから、恐らく総務省がやっても変わらないと思うんです、下手すると。そういう状況でどうすればいいかということを、是非ここでちょっとお考えをお聞かせいただけませんでしょうか。
 今までのように独立行政法人に要請し、各省庁に要請しても、農水省のこの独立行政法人は対応しないと思います、もう既にしているわけですから。いかがでございますか。
○国務大臣(菅義偉君) まず、もう一度強く要請すると同時に、こうした状況、藤末委員より今、比較表をいただきました。こうした状況について、私はやはり公表することが必要なのかなというふうに思っておりますので、是非、このような状況にあるということを公表できる仕組みというものを私は考えたい、こう思いますし、さらにまた先般も経済財政諮問会議の席上も、有識者議員の皆さんからも、もう一度整理合理化計画、この独立行政法人の策定をするような要請もありましたので、これについて私どもも、随意契約の見直しと同時に、一般競争入札の実施というものを徹底をしていきたいというふうに思っております。
 いずれにしろ、やはりこうした問題については公表をし、多くの国民の皆さんの目にさらされるということも非常に大きな、私は、今までの類例からもして効果をもたらすことではないかなと思っておりますので、そうしたことも含めて徹底して対応したいと思います。
○藤末健三君 是非、総務省におかれましては、また会計検査院におかれましては、国と同じ基準にするということを強力に進めていただきたいと思います。この独立行政法人が国と違う基準を作るという理由はないですよ、正直申し上げて、理由をお聞きしましたけれども。
 私は決算委員会の皆様に申し上げたいんですけれども、やはり独立行政法人も政府と同じ随意契約基準をやはり我々が要求すべきだと思います、これは、はっきり申し上げて。個別に対応しますといったいろんな理由を付けてどんどんどんどん随意契約の枠を上げてくるんですよ、これは。そして、監督官庁、総務省が勧告しても会計検査院が指摘しても直らないような状況、これは我々が必ず修正させなきゃいけない大きな事項だと思います。これだけは提案させていただきたいと思います。
 続きまして、大学について文部科学大臣とお話をさせていただきたいと思います。
 まず、私は文部大臣に本当にお礼を申し上げたいのは、昨年の決算委員会におきまして、文部科学省の関係の独立行政法人評価委員会という評価委員会がございますが、この評価委員会のメンバーが余りにも大学関係者に偏っているんではないかということを御指摘申し上げましたら、何ともう十一月にはきちんと評価委員会のメンバーを替えていただき産業界の方々に入っていただいたということで、本当にそれはもう感謝を申し上げたいと思います。
 しかしながら、もう一つございますのが独立行政法人以外の国立大学法人という、旧大学が、国立大学が独立行政法人のような形で国立大学法人になったわけでございますけれども、この国立大学法人の評価委員会のメンバーを見ますと、何と十八人おられる委員のうち八人が国立大学の関係者だった方々、そして私立大学の関係者の方々を入れますと十八分の十二でございます、十八人中十二人が大学の関係者。
 私が御指摘申し上げたいのは、残り六人の方々が民間の方でございますけれども、中身を見ますと、新聞社の編集委員の方だったり、あとは民間のシンクタンクの理事長だったり、あとはマスコミ関係の方、公認会計士の方が二人という形でございまして、産業界の方がおられないんですよね、産業界の方々が。これだけ産学連携、産学連携と言っている中で、大学と産業界がもっと連携しなきゃいけないということを言っている中で、なぜ国立大学の評価委員の中に産業界の方がいないのかということ、これを是非改めていただきたいと思います。
 私は、大学の関係者が多いことはしようがないと思います、特殊な世界ですから。しかし、産学連携がこれだけ訴えられている中において、実際に産業界の方が評価の中に入っていないということは、私はゆゆしき事態と考えるわけでございますが、これにつきまして伊吹大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 独立行政法人の評価委員会については先生の御指摘のとおりの措置をいたしたわけですが、国立大学の法人の評価委員会は御承知のように任期が二年なんですね。今年の十一月に二年目の任期が参ります。去年の十一月の御質問があって、我が方の池坊副大臣がお答えしたと思いますので、そのお答えを忠実にやはり受け止めねばなりませんから、十一月の任期満了を待って今おっしゃっているような観点は十分配慮をさせていただきたいと思います。
 同時に、先生も大学人として深い御経験があると思いますが、大学は産業界とも一緒にやる必要がありますが、同時にやはり基礎の、基盤のしっかりした広範な知識を持つ知識人を輩出する場所でもありますから、そういう観点から必要な人も同時にその中へ入ってもらいたいと思っております。
○藤末健三君 是非お願いしたいと思います。やはり産業界の方も、一人もいないというのはやっぱりおかしいと思いますんで、是非、産学連携等の知見がある方を入れていただければと思います。
 それで、続きまして、国立大学法人につきまして、私がこれは二〇〇五年の十月に決算委員会で申し上げた話がございます。
 それは何かと申しますと、国立大学が国立大学法人ということで法人化されまして、それで非常に経営の自由度を高めようという話が出てきたわけでございます。ただ、私が二年前調べたデータによりますと、今ある国立大学、大体四百八名、約四百名の理事の方がおられます。各大学、大体五、六名の理事の方がおられると。その四百名おられる理事の方々のうち文部科学省から行かれている方が何人いるかということを調べましたら、二〇〇五年十月時点では六十四人でした。私は、国立大学法人が経営の独立性を高めるということが目的であるならばこれは減らすべきじゃないかという話を申し上げて、ある程度の議論はさせていただいたんですけど、今、この四月一日のデータを見ますと何と六十五人に増えているんですね、一人。それも、ほとんど同じ大学が同じ数採っているんですよ。ほとんど変化していない。
 私は、もう同じことを繰り返して申し上げますけれど、運営交付金というお金を、税金を分配する文部科学省が、お金の受取先である国立大学法人に理事クラスの人間を送るのはおかしいと思います、私は、世間から見れば。何か関係があるんだろうと勘ぐられると思うんですよ。私は思います、そういうふうに。大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 国民からお預かりをしている大学の運営交付金を担保に人を採れと、あるいはそれを多く欲しいから人を出してくれということは私はあってはならないことだと思いますね。しかし同時に、これは非常に難しいことですが、大学の、先生がおっしゃったように、自主的判断、経営努力、あるいは自由度を拡大しようと思って大学法人にしたわけでしょう。ですから、こうしちゃいかぬ、ああしちゃいかぬということは逆に言えないわけですから、向こうが本当に必要な人を欲しいと言って、これは誠に失礼なことですが、従来からそれは学問の自由と管理の自由がごちゃごちゃになっていたような先生方が多かったからこそこの問題が起こってきたわけですから、管理業務をほとんどやっておられない方ですから、もちろん民間からも人を採っておられると思いますが、欲しいと言ってこられた方を、今度は自由度を増しているところの判断で欲しいと言ってこられた方を、ところをこちらが断るというのも、これまた本来の自由度を増したということからするとおかしいんですね。
 ですから、こちらが採ってくれとか、あるいは固定化しているポストに人を配置するとか、そういうことは先生がおっしゃっているように疑義をもたらしますから、その点は注意してやりたいと思います。
○藤末健三君 大臣に是非お願いしたいのは、各大学がどういうスペック、スペックというか、能力や技能を持った方を要望しているかということをオープンにしてほしいんですよ。こういう人間を応募をされたんで、我々、文部科学省が出していただいて結構ですよ、文部科学省がこう出しましたよとしなければ、恐らく、はたから見れば、文部科学省に人を送ってくださいと来ましたと、だからもう人事の人が行かせようといって勝手に決めて行っているように勘違いされるかもしれない、違うかも、僕は実際そうだと思っていますよ、正直言うと。ですから、きちんとやっぱり透明にしてください。大学がこういう人間を求めましたと、だから文部科学省はこういう人間に行っていただきましたよということをきれいに表に出さなければ、文部科学省の教育の政策というものがやはり透明化がないというふうに指摘を受けるかもしれません。是非これはお願いしたいと思います。
 最後になりますが、私立大学の経営についてもお話をさせていただきたいと思います。
 私立大学、今経営状況は非常に悪化しておりまして、少子化の影響で。例えば、平成十七年度のデータを見ますと、大学の約三割、短大は四一%、高等学校で七六%の学校が、私立学校が入学定員を満たしてないという状況です。大学の三分の一、短大では四一%、高校では七六%という形になっていると。そしてまた、定員が五〇%以下という学校を探しますと、何と十七大学、十六短期大学、百七十六の高校ということで、定員の半分も満たないところも数多いということでございます。また、赤字の学校法人を調べますと、これは平成十六年度の決算でございますけど、大学では二五%、短大では三六%、高校では四五%が学校法人が赤字なんですよ。実際に、これは私も前また決算委員会で話をさせていただいたんですけど、実際に大学がもう閉じてほかの大学と合併するという事件が何校も起きていると。実際、今危ないと言われるやつはネットで探しただけでも五校ぐらいあります、もう既に。
 こういう状況の中で私が一つお願いしたいのは、もっと大学の経営状況を情報公開させるべきじゃないかという話。自分が行った学校が本当に大丈夫なのかどうか、それはやはり生徒の方々の観点から、自分の行った学校が途中でなくなって学校名変わっちゃうというようなことが起きていますから、そういうことがないように、経営情報を公開するということをまずやっていただきたいということをお願いしております。
 実際に、文部科学省の方々には本当に真摯に対応していただきまして、進歩はしているんですけれど、まだ遅いんじゃないかなという状況でございますが、是非ともこの私立大学の学生保護という観点からも情報公開を進めていただきたいと思いますし、また、これは日本私学校振興共済事業団などがレポートを出しておりまして、これは何かと申しますと、学校にレッドカードとかイエローカードを出そうと、サッカーみたいに。ちょっとおかしかったらイエローだよ、本当に悪かったらレッドだよという形で、学校に警告を出して公表していこうということを企画されているんですけど、このようなものについて大臣はどうお考えかということを教えていただけますでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 私立大学といえども教育の一端を担っておられるわけですから、当然、建学の精神と同時に、公共の利益というものとのバランスを取ってやっていただかなければなりません。それはもう先生がおっしゃるとおりです。
 それで、現在でも私立学校法の四十七条というのが御承知のようにあって、請求があれば、保護者、在学生等には情報提供しなければならないという規定があります。しかし、新たに受験をする人、こういう方々は対象になっておりませんから、今おっしゃっているようなことを促して、できるだけ、やはり公共的な役割を担っているんだという立場を理解してやっていただくように、強制はできませんけれども、努力をさしていただきます。
○藤末健三君 是非進めていただきたいと思います。
 私自身は、この私学法四十七条で在校生しか見れないというものをちょっとやっぱり改めていただき、受験をするということが決まった時点でもう見れるように変えていただきたいと思います。
 それと、もう一つございますのは、今、文部科学省でこの情報の公開をどんどん推進していただいています。今、たしか平成十六年でインターネットでいろんな財務情報を公開している学校法人は四分の一ぐらいしかなかったものが、今ではもう半分ぐらいが公開するという状況になっておりまして、非常に進んでいるとは思うんですけれど、実際に幾つかのホームページ見ますと、中身が薄かったり濃かったりばらばらなんですよ。ですから、是非ともきちんとした、こういう情報を公開してはどうですかというガイドラインを作っていただき、ある程度、やっぱり素人が見てもこの学校が本当に健全かどうかということが分かるように進めていただきたいと思います。
 これから学校も非常に経営が苦しくなるということが起きてくると思いますので、是非ともその学生の方々がきちんとした学校を選べるような仕組みを、これはやはり政府の仕事だと思いますので、伊吹大臣の指導の下にやっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わらさしていただきます。ありがとうございました。
○尾立源幸君 民主党・新緑風会の尾立源幸でございます。
 今日は締めくくり総括質問ということでございますので、大きく四つ、網羅的に聞かせていただければと思っております。
 一点は、愛知の立てこもり事件を例に取って警察の対応、二点目は、もう本当にあちこちで毎度のようにニュースになっています談合の問題、そして今最もホットな年金の問題、さらには地方自治体の裏金やこれまた談合の問題、こういった四つの分野でそれぞれの担当の皆様にお聞きをさせていただければと思っております。
 まず一問目でございますが、五月の十七日に発生いたしました愛知の立てこもり事件、お亡くなりになられました林一歩巡査部長のまず御冥福をお祈りを申し上げたいと思いますし、さらに負傷されました木本明史巡査部長、一刻も早く回復を願っております。
 その中でこの質問をさせていただくわけでございますが、今回の事件を、ある意味国民はライブでずっと一日以上見ておったと。私も地元に帰りまして、また移動中にもいろんな方とお会いするにつけ、本当に今の警察の対応で大丈夫か、こういうふうな声をたくさん聞いてまいりましたし、私自身も、今テロだ何だとかいうこの時代にこれで本当に大丈夫なのかと強い疑問を持っておるので、急遽これ付け加えさせていただきました。
 そして、漆間長官自身も、これは新聞報道でございますが、今回の対応については問題点がたくさんあるとして、県警捜査一課特殊班、SITですか、と県警の警備部に所属する特殊急襲部隊SATの連携がうまくいくよう実戦的な訓練を行うように指示したと報道されています。私も訓練は確かに必要だと思いますし、これまでも相当訓練をされてこられているんだと思いますが、今回、報道によりますと、このSITやSAT、さらには大阪府警の特殊班、マットというんですか、MAAT、この方々も駆け付けられております。
 しかしながら、御承知のとおり、それぞれには指揮官がおられるのは御承知のとおりでございますが、現場の陣頭指揮を当たった県警の課長はいろんな部隊がいる中での取りまとめをしながら対応されたわけでございますが、更に混乱に輪を掛けたのが、警察庁の方からも指示が来ていたと、こんなふうな報道もされております。
 一体この指揮命令系統というのはどうなっているのかということをまず警察庁にお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(縄田修君) 御指摘の愛知の事件につきましては、私どもも誠に残念、遺憾な事件でございました。
 指揮系統についてお尋ねでございます。これは、各都道府県におけます具体の捜査指揮につきましては、当該都道府県警察の警察本部長が最高責任者としてその任に当たっておりまして、その指揮監督の下で各職員がそれぞれの職務を遂行しているところでございます。
 本件におきましても、愛知県警察本部長の指揮監督の下に、現地指揮本部におきまして担当幹部であります刑事部長あるいは捜査第一課長が中心となって捜査指揮に当たったものと承知をいたしております。また、応援派遣を受けました大阪府警察の部隊につきましても同様、愛知県警察本部長以下各級幹部の指揮の下で捜査に従事するということで対応したものと承知をいたしています。応援派遣を求められた大阪府警の警察官、これは警察本部長の指揮下に入ると、警察法上もそういう形になってございます。
 したがって、指揮命令系統につきましては適切な運用が私はなされたものだと、こういうふうに思っておりますが、ただ、御指摘のとおり非常に長時間にわたりましてなかなか救出ができない、現場の状況も非常に難しいものがございましたけれども、それにつきましては、なお一層早期に対応できなかったかどうかというふうな点などにつきまして、私どもとしても十分検証してまいりたいと、こういうふうに思っております。
○尾立源幸君 答弁で適切に対応したというふうにおっしゃっておりますけれども、それでは、これから改善していくと、そういう反省の基礎が崩れてしまうんですけれども、もう一度御答弁をお願いします。何か改善すべき点はあったんじゃないんですか。
○政府参考人(縄田修君) 本件事案につきましては、なかなか現場対応難しい事案が、若干御説明を申し上げますと、これは愛知県警察におきまして、警察の部隊が建物に近づいた場合に、正に動けない状態になっております重症警察官に対して更に発砲すると、こういう犯人の明快な言動があるということ、あるいは人質に対しても危害を加えると、こういうふうな言動がある。そういった中で、重症警察官の負傷の状況も見ながら、あるいは現場の状況もなかなか困難なものがございます。
 そういったことも含めながら、正に目の前の警察官、この人命を第一に、一刻も早く救出すべくということで最大限努力したという意味で私はできるだけのことをしたというふうに申し上げておりますが、しかしながら、時間的な経過も見ながら、その指揮の過程あるいは部隊運用の過程で更にもっと早く救出できる機会が当然あったんではないかということで、我々は不断の追求をしていくことが必要であります。
 そういう意味合いでは、各部隊の指揮官も含めまして統括的にどうであったか、それぞれの判断、その時点でどうであったかということにつきまして、これは対外的に公表できる部分というのは必ずしも多くないかもしれませんけれども、内部的に今しっかりと検証をいたしておるところでございますし、その結果を踏まえて一線に指示徹底をさせてまいりたいと、こういうふうに思っております。
○尾立源幸君 しっかり現状認識をしていただきたいと思います。
 同じ警察内部といえども、また縦割りの行政の弊害が出ているのではないかと、また、縦割りどころか横やりまで入っていろいろあるということでございます。是非その辺りは改善をしていただきまして、これからいろんな凶悪犯も増えると思います。私なんか個人的には、初期の段階で狙撃班もいたと、拳銃を持って警察官を負傷させているわけですから、もっと強硬な手段があってもしかるべきだったんではないかと、このように私なんかは思うわけでございます。
 是非、今後の対応、二十九時間も掛かるようなことがないようによろしくお願いをいたします。そしてまた、こういう犠牲者が出ないように対応をしていただきたいと思います。
 そこで、もう一点ございます。
 ヘリコプターがぶんぶん飛んでいました。ライブ中継がありました。そんな中で、報道によりますと、この犯人の家にはテレビがなかったと言われておりますから、今回は直接的には影響は出なかったのではないかと思いますけれども、これは分かりません、私、事実認識をしておりませんので。
 教えてもらいたいんですが、放送協定といいますか、報道管制の在り方はどうなっていたんでしょうか。よろしくお願いします。
○政府参考人(縄田修君) この種事件におきましては、委員御指摘のとおり報道の機関の取材、報道によりまして、犯人を刺激したり、あるいは人質の生命に危険が及ぶおそれが生じることもございます。また、部隊の配置状況等明らかになりますと、これ人質救出の諸般のオペレーションに対しまして障害にもなってまいります。
 そういったことで、これは報道の自由に十分配意しなきゃいかぬのは当然ではございますけれども、さはさりながら、委員御指摘のとおり人命にかかわるような事柄、かかわる場合につきましては、これはケース・バイ・ケースで取材、報道の自粛等、報道機関にお願いすることがあるものと承知いたしておりますし、今回の場合につきましても所要の申入れ等も行いながら調整をして対応したと、こういうふうに聞いております。
○尾立源幸君 調整をした結果がああいうテレビ映像だったんですか。
○政府参考人(縄田修君) 私ども申入れをしながら、報道機関側として自主的にどう対応されるかということに係ります。したがいまして、詳細は差し控えさせていただきたいと存じますけれども、一定の範囲内で愛知県警の方からの要請につきましても御理解もいただいた部分もあると、こういうふうに報告を受けております。
○尾立源幸君 中で犯人がテレビを見ていれば、どこにだれがいる、警察が配置されているというのはすぐ分かっちゃうわけですから、その辺り、自粛の要請だけじゃなくて、きちっとその辺も運用を通じてこういったことが実効がきっちり担保されるような、そういう仕組みをつくっていただきたいと思いますが、御答弁お願いします。
○政府参考人(縄田修君) 一義的にはケース・バイ・ケースで事案ごとに対応することかもしれませんが、ただ広範にこういう事態共通するものもございます。私どもとしては、報道協定という形で、誘拐とか生命、身体にかかわるもの、恐喝事件とか、ああいった場合につきましては各社間との間で協定という制度がございます。そういったことも念頭に置きながら、報道機関ともこういった点につきましても議論を深めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
尾立源幸君 今、テレビだけではなく、インターネットや、場合によっては携帯でもいろいろ見れることになっていますので、是非実効性あるものにしていただきたいと思います。
 それでは次に、官製談合の問題に移らせていただきたいと思います。
 先ほど冒頭で申し上げましたように、もう本当にどこもかしこも談合列島のような様相を呈しておるというのがこの我が国の今の状況じゃないかと思います。
 国土交通大臣、質問を通告しておりませんが、一般論ということで、談合をやると何がいけないのか、簡単に皆さんに分かりやすく、大臣が、何がいけないんだということを一つ、二つ所感をお教えいただけませんか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) まず、談合は絶対行ってはならない。その理由は、公平な、公正な競争を装って、そして話合いの下にある特定の人がこれを受注するということは、国民や制度を欺くことでありまして、あってはならないことであり、我々は、そういうものについて公正に行われなければならない、これはもう当然の話だと思っております。
○尾立源幸君 それに加えて、実態的に大きな社会的な損失が出ます。それは、一点は、当然不要な税金が使われてしまう、無駄な税金が使われてしまうという点。もう一点は、地域の公共事業を例えば保護する、また業界を保護するという名の下にこの談合体質を残すと、正に競争力のない会社がずっとずっとこの日本に存在し続ける、そして突然、この談合が駄目だといったときに、ばたばたと競争力がないから倒れてしまう。これは罪つくりなことなんですよ。どうでしょうか、大臣、御認識は。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 我々は、入札に際しましてはその見積りというものを内部できちっとやっております。これぐらい掛かるんではなかろうか、それについては、その内容につきましても、人件費についても資材費についても公にその見積りの基礎はしているところでございます。
 したがいまして、それを下回る価格で入札をしていただくわけでございまして、もうそれの八五%以下というような、いわゆる出血受注というようなダンピング、そういうものは論外といたしましても、私どもは、その範囲の中で企業が努力をして、どれぐらい低廉な価格でそれを落札するかということを競うものであると私は思っておりますから、談合即公費の無駄遣い、損害がそこに生ずるということと直結はしていないのではないかというふうな感想も持ってはおります。
 しかしながら、体質の弱いそういう人たちが落とすというようなことになれば、これはもう委員が御指摘のとおりそういうものが残る、そういうことは好ましいことではない。私は、経営もかっちりとしている、あるいは技術も平素錬磨しているというような企業がそういうものを受注されるということが望ましい、このように思います。
○尾立源幸君 ちょっと大臣と認識が違うんですが、談合をやる、特に官製談合をやって税金が一般競争入札をした場合よりも無駄に使われない、つまり談合をしても別に税金は無駄遣いになるとは限らないというようなことをおっしゃっておりますけれども、本当にそんな御認識なんですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 談合で見積価格よりも安い値段で落とされる、私はそれは不公正だと思います。公正な立場で、自分としては例えば低廉な資材の購入に努力をするとか、あるいは技術を考慮して我々が望む品質の公共工事をきちっとやるというような人が出れば、その差額は正にあなたがおっしゃるような公費の節約ができたというふうに思いますけれども、直ちにその差額が全部税金の無駄遣いであったというような見方は、そうではないのではないかということを申し上げているわけであります。
○尾立源幸君 私は、一般競争入札になって談合をしていたときよりも高くなったという例は聞いたことがございませんので、もしそういう例があったら教えていただきたいと思います。
 それで、それではもう単刀直入にお聞きいたします。まず、大変不名誉なことでしょうが、今回国土交通省が初めて官製談合防止法を適用されました。そのことに対して、大臣の所見とその後の対応、お聞かせください。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 私どもは、多くの直轄工事の発注を行っている官庁としまして、平素からそのような不公正な入札談合ということがあってはならない、そういうものは排除すべきだということで、常々、業界もあるいは職員についても我々はそのような指導を強めてきたところでありますけれども、非常に残念ながら、このような談合を指摘されるようなことがあったことは誠に遺憾でもありますし、ましてや、あってはならない、言語道断でありまして、官が、発注者側がこれに関与したという疑いを持たれたということは、本当にあってはならない、私はざんきに堪えないし、私は国民に心からおわびを申し上げなきゃならないという気持ちで一杯でありました。
 このような報道が一月たしか六日、七日、しかも官の名前それから写真まで載って報道されまして、私は当時、たしか休日だったと思いますけれども、本当に、八日の日も休日だったと思いますが、九日の日に登庁をするとともに、それまでにも、一番に私の部屋に最高幹部全部集まってくださいということで来ていただきまして、そして、これはまだもちろん公正取引委員会から指摘されたわけではありませんけれども、新聞でこれほど明確に指摘された以上は、私どもは率先して調査を遂げなければならないということで、入札談合対策委員会というものをすぐつくって、そして事務次官を筆頭にいたしまして、そして、それだけではなしに、私も前職弁護士でありますので、外から見てこれは適当だと思われる人にこの委員会に直接入っていただくべきであるということで申し上げました。第三者に入っていただかなければならない。約八十人体制の調査のチームをつくりまして、それから進めたわけであります。
 後にこれは、第三者というのは、高等裁判所長官経験者で弁護士をやっておられる方、あるいは地方検察庁特捜部の検事をやっておられた方の今弁護士をやっておられる方、あるいは公正取引委員会の事務局長を長年やられた方とか、そういう方々に入っていただきまして本格的に調査をさせていただいたところでございます。約六百人の職員を調査をいたしました。
 それから、今後もこれは調査を続けますが、その後、専門的にそのような捜査について知見のある弁護士さんにも五名ほど入っていただきまして、またそういうところで公正取引委員会からいただいた調書等とも照らし合わせて再度聴取する、あるいは業界からも意見を聴くということで、今、事案の背景、動機等も含めて事案の究明に当たっているところでございます。
○尾立源幸君 そのような、八十人とおっしゃいましたか、大きな体制でやっていらっしゃるということですが、最初立ち上げたときにはその第三者の方がオブザーバーということで正規のメンバーに入っていなかったということで、私は最初指摘をさせていただきました。
 それともう一点ですが、このようにこれまで、二〇〇五年十二月、橋梁談合、水門工事、さらには今、緑資源機構等ございますが、官製談合が相次いでおります。
 今回初めて官製談合防止法が国土交通省に適用されたわけでございますが、本当にこの水門だけなのかということが論点としてあるわけでございます。その八十人の体制があるのであれば、国土交通省のほかの発注事業、さらには所管の独立行政法人の発注事業について、工事について徹底調査を私は行うべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 何の端緒もなしに、年間何万件という発注事務をやっているわけでありまして、これは、そういうことは何かの端緒がなければこれはできないんですね。それで、公正取引委員会も、いわゆる内部密告というものについて評価する法改正を行われて、そしてそれが功を奏したといいますか、そういうところから具体的な端緒を得て、そして今回の水門とかいうものが出てきたわけです。
 したがいまして、我々が、新聞報道でそういうようなことがあるということで、ただ漠然と端緒なしにいろんな聞き取り調査をした経験もありますけれども、全く出てこないんですね。全く出てこないんですよ。しかしながら、具体的な端緒が指摘されて、それを今回のように突っ込んで調査をすれば、関係者の方々も業界からも意見を聴くことができるわけでございますし、あるいは公正取引委員会もそれなりの強制力を持って調査された結果を私どもにいただくことができるわけです。
 そういうことがあって初めてそういうものに迫れるわけでありまして、ただむやみやたらにするということは、それはもうやはり行政経費から考えましても、その効果から考えましても、それはほとんど無駄になるであろうということであります。
○尾立源幸君 何の端緒もなくやるのは難しいとおっしゃいました。しかしながら、この四月の二十五日の水門談合の話では、疑惑がきちっと、情報を得ながら、事実上国土交通省が調査をせずに放置していたというところまで出ております。
 結局、端緒がなければできない、疑惑があってもできない、そうしたら何もできないじゃないですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) それはどこの新聞でしょうか。去年でしょう。去年じゃないんですか、それは。
○尾立源幸君 〇七年四月二十五日。
○国務大臣(冬柴鐵三君) そうでしょう。
 我々は調査いたしました。そして、そのようなそこに出ている疑いの中で、過去五年間そのような衝に当たった人たちをすべて呼んで調査をいたしました。しかし、そのような疑惑を認めるという供述はそこから得られませんでした。
 そういうことは踏まえて、今年の一月の、先ほど言いましたけれども六日に、七日に、初めてその人の名前まで出て、具体的にどことどういうことをやっていたというようなことが出まして、それから我々は今の八十人、八十一人体制ですけれども本格的、それから、今の人は何か、専門家は我々はアドバイザリー委員と言っていますけれども、事情聴取するときにも全部入っていただいております。委員として参画をしていただいているわけでありまして、職員と全く同じ立場でやっていただいているということでございます。
 しかしながら、今回は、公正取引委員会からの調査の結果をいただいたり、あるいは我々、業界の相手方の人にも協力を求めて意見を聴くことにより事案が深まったわけでありまして、そういうただ単に疑いがあるという報道だけで調査をしたときに、そういうものはなかなか出てこないということを申し上げているわけであります。
○尾立源幸君 今の一連の大臣の御答弁をお聞きしておりますと、なかなか自浄努力というのは難しいのかなと改めて思った次第でございます。すなわち国会や、これから会計検査院にもお聞きいたしますが、外部の目でどんどんやっていかないとこれは全然直らないなと、こんな私は今感想を持ちました。残念です。
 それでは、今回の緑資源の官製談合で、実は、落札率が余り高いと見え見えの談合だということで、落札率を九三%程度にするよう指示していたという報道がございます。すなわち九三%でも十分落札した業者は利益を出すことができると、こういうことだと思うんですけれども。大塚会計院長、今回この緑資源機構が予定価格を通常よりも高く設定している可能性があったんではないか、こんなふうに私は思うわけです。例えば、本来一〇〇のところを一一〇にして、それで九三にすれば一〇〇になるとか、こういうことも私は実際行われているんではないかなと思って今疑っております。
 そこで院長にお聞きしたいのは、この緑資源機構の設定している予定価格が適正だったかどうか、会計検査院、私は検査すべきだと考えますが、いかがですか。
○会計検査院長(大塚宗春君) 緑資源機構は会計検査院の必要的検査対象ですので、毎年これは検査を行っております。そして、緑資源機構が実施しております林道の開設、森林の造成、農用地の整備等の事業に対しましては、従来より、特に工事の設計、予定価格の積算、契約、施工の状況等を中心に検査をこれまでしてまいりました。
 しかし、今回の報道や国会等の審議を踏まえまして、予定価格の積算、契約が適切に行われているかなどにつきまして更に一層留意して鋭意検査を行ってまいりたいと、こんなふうに考えております。
○尾立源幸君 この辺りは、また予定価格をつくるところが公益法人としてあるんですよね。院長、その辺りにも、単価を決めるところ、ここにも検査に入ることは可能なんですか、そして入られますか。
○会計検査院長(大塚宗春君) 会計検査院が予定価格の検査をする場合に、予定価格の構成をしておりますところの直接費と間接費それぞれにつきまして、それが適切かどうか、いわゆる、例えば材料につきましては、例えば適切な物価資料とかそういうのもきちんと当たりまして、言ってみれば積算の基礎が間違いないかどうかということをきちんと検査をしております。
○尾立源幸君 私は、お聞きしたのは、ちょっとこれ質問通告していなかったかもしれませんが、その積算の基となる予定単価というこの検査もされるんですかということを聞いています。それは財団法人か公益法人がつくっているんですよね。
○会計検査院長(大塚宗春君) 基本的には物価統計資料というものを前提に検査をしておりますが、場合によりましては、かつて指摘したこともありますが、そこに問題があると思ったときには更に検査院として検査をするということも当然行います。
○尾立源幸君 ありがとうございます。
 そもそもの単価がかさ上げされてしまうと全く意味がないことになってしまいますので、是非その点も注意して検査をしていただきたいと思います。
 あと、今回の官製談合の特徴は、何といっても天下りがセットになっていることでございます。国土交通大臣、今回水門談合の場合、水門談合に関与した企業への天下りは全面自粛されましたけれども、そこに触れなかったところへのゼネコン等を含めてはまだまだ天下りをされておりますけれども、この一部の工事だけを取ってそこの天下りを禁止するというんでは、私、これ対症療法にすぎないと思うんですけれども、大臣、今後どのようにされるんですか。
○国務大臣(冬柴鐵三君) 残念ながら、平成五年にはゼネコン汚職というものが大々的にありました。そのときには、日建連加盟六十一社について、これ代表的な企業ですけれども、本省課長相当職以上の再就職は自粛しておりまして、平成五年以来現在までこれ続いております。
 そして、橋梁談合あるいは水門談合というものに伴いまして、これはその都度、かかわった企業に対しては同様、全職員について退職後の期間を問わず再就職しないということを現在も行っているところでございます。
尾立源幸君 私は、国土交通省の業務を受注しているところは全部について天下りは自粛すべきだと、このように思うわけでございます。すべてが悪いというわけじゃない、談合は悪くないというふうに思っておられる大臣に対してそういうことを言ってもなかなかぴんとこないかもしれませんが、私たちはそういうふうに今求めておるところでございます。
 それでは、今度は、社会保険庁の村瀬長官に今日来ていただいておりますので、一番ホットな問題でございますので聞かせていただきたいと思います。
 これは新聞記事になっておりますが、私たちの党でも、宙に浮いている年金記録が五千万人、支給漏れは二十二万人分、記録が消えたのは百万人分と、これほどひどいデータを今取り上げて追及しておるところでございますが、長官、まず五千万件のうち、これ私、驚いたんです、この前社会保険庁の方に来ていただきましたが、この五千万件の総額が幾らなのか、また加入期間別、一年払ったのか五年払ったのか一か月で終わったのか、またそれぞれの一件当たりの保険料が幾らだったのか、このデータがないというふうに聞きましたが、長官、今でもそうなんですか。
○政府参考人(村瀬清司君) 今の御質問にお答え申し上げます。
 まず、社会保険庁では、基礎年金番号並びに年金記録につきましては基本的に個々人ごとに管理をしてございます。先ほどその中身についてどうなのかという御質問だと思うんですが、中身をすべてシステムでどういう形になっているかということについては、トータルで見える仕組みはできてございません。一人ずつについては記録がどうなっていることは確認できると、こういう仕組みでございます。
○尾立源幸君 長官、長官は民間から来られましたよね、まあ具体名は申し上げませんが、鳴り物入りで。自分のこの会社、今社会保険庁という会社のこのシステムにいられて不安じゃないんですか。
○政府参考人(村瀬清司君) まず、現在の社会保険庁の仕事の仕方というところに大いに連動ありますので、ちょっとお話を申し上げたいと思うんですが。
 記録は、六十歳裁定時に過去の記録を確認させていただきまして、それを年金の給付に結び付けると、こういう仕組みになってございます。したがいまして、過去の記録は、例えば厚生年金であれば平均報酬月額、それが何か月あるのかと。また、国民年金であれば定額でございますので、何回お納めいただいているのかと、こういう形の管理をしてございます。
 したがいまして、本件については、裁定時にそれを集積をいたしまして、最終的に何十月数の納付記録があり、それが給付額幾ら結び付くかと、こういう仕組みで作業をしておりますので、個々につきましては現在把握できないというのが実情でございます。
○尾立源幸君 この五千万件というのは、一応、仮にもコンピューターの中にデータとして入っているわけですよね。それが、五千万件あるということだけで、その中身は全然分からないというのが私は全然分からないんですけど。普通ならば、五千万件でトータルで幾らの保険料なのか、またそれぞれ一件一件が、例えば一か月払ったのは一万件、十年払ったのは十万件あるとか、こういう分布とか、それぞれの金額というのが年金番号ごとに分かるはずですけれども。コンピューターってそんなばかなんですか。
○政府参考人(村瀬清司君) 何回も御説明申し上げていますように、個々のデータとしては持っておりますけど、プログラムでそれを吐き出してどういう状況になっているかという確認するプログラムはないということでございます。
 したがいまして、今回、厚生労働大臣の方が新しいパッケージということでお話し申し上げた、その中で年金受給者の方々に対しましては、過去の裁定記録でどういう記録に基づいて給付していただいているか、それと、そのデータと五千万件とを突合いたしまして、例えばAという方の記録があるんであれば、その方々についてどれだけ記録が残っているかと、こういう作業をしようと、こういう形で考えてございます。
○尾立源幸君 わざわざ民間の御出身だというまくら言葉を付けたのは、この感覚が分かってもらえなければ何にもこれ解決しませんよ。何年間この五千万件がほったらかしになっているんですか。もし民間、私が行った場合には、この五千万件の中身何だと、イの一番にこれ気になりますよ。長官、気になりませんでしたか。
○政府参考人(村瀬清司君) 本件につきましては、先ほどから申し上げましたように、残念ながらそういう仕組みになっていないということで、今回、それを踏まえまして対応するという形で御回答させていただいている次第でございます。
○尾立源幸君 この社保庁のコンピューターに何千億ですかね、お金、今までつぎ込んでいますよね。こんなのエクセルにデータ抜き出すようなソフトなんてすぐできるでしょう、こんなの。藤末委員どうですか、こんなの、できますよね。
 社保庁の長官、どうですか、これ、できません。
○政府参考人(村瀬清司君) 一番大事な話は、先ほどからお話し申し上げていますように、大臣からも答弁させていただいておりますけれども、まず、年金の受給者の方々に対して支給漏れがあるのかないのか、これを早急に調べるということだと思います。したがいまして、現在の年金の給付をさせていただいている、どういう期間に基づいて給付をさせていただいているか、これと支給漏れになっている部分について、当該の方々がその五千万の中にどれだけおみえになるかということを突合しなきゃ駄目だろうと思います。それをプログラム開発をしましてやるというのは、前回、衆議院の厚生労働委員会で大臣の方から御答弁をさせていただいた、こういう中身でございます。
○尾立源幸君 委員の皆さんからも声がありますが、これ、やる気の問題なんですよ。やる気になればすぐできますよ。しかも、この五千万件、数が大変だとおっしゃいますけれども、まず、これ説明があったんです。同姓同名たくさんいるし、大変だ、こんなこともおっしゃるんです。そんなことないですよ。一番多い年次で一年当たり大体百万人ぐらいの年金記録があるわけです。これを、氏名、生年月日、住所か何か分かりませんが、それと性別、これで同姓同名の人がそんなたくさんいますかね。
 私、計算してみました。百万人仮にいらっしゃるとして、三百六十五日で割ります、生年月日特定するために。そして、更に男女別で分けると、その一グループは千三百七十人しかたったいないんですよ。この中にどれだけ同姓同名の人がいます。こんなのすぐ考えれば分かるじゃないですか。でも社会保険庁の方、村瀬長官、今日何とおっしゃるか分かりませんが、これでも特定するのがそんな難しいんですか。
○政府参考人(村瀬清司君) 個々の件数ということでいいますと、受給権者の方が三千万人おみえになるわけですね。そうすると、三千万人の方を全部出しまして、どういう形で給付をさせていただいているか、まずこれを調べる必要があるわけです。それと同時に、基礎年金番号に統合されていない五千万の方々から個別に拾い出して調べるという、こういう仕組みでございます。それを、我々としましてはできればシステム対応をして一気に分かる仕組みを作りたいということを考えておりまして、それを先週の金曜日、大臣の方から表明をさせていただいたと、こういう形でございます。
○尾立源幸君 これまでそれを放置しておいたこと、さらに、すぐやろうとすればできるんです。できないできないじゃなくて、やる気の問題ですから、是非これはやっていただきたいと思いますし、また期限も教えていただきたいと思います。
 それともう一点、年金額を訂正した件数が約二十二万件ございます。これは厚生年金や国民年金に支給漏れが見付かって社会保険庁が年金額を訂正したということで、この六年間で二十一万八千四百七十四件です。
 これに対してまたおかしなことをおっしゃっていますね、社会保険庁。どういうことかというと、年金記録の統合に数か月掛かるが、すぐに年金を受けたい人にはその時点で判明している記録に基づき支給し、記録がそろった時点で年金額を引き上げ、差額はさかのぼって支給しているケースが大半とおっしゃっています、大半と。じゃ、大半って、このケースに該当するのは何件なんですか、二十一万件のうち。
○政府参考人(村瀬清司君) まず、裁定時の事務処理との関係をちょっと御理解をいただきたいと思います。
 一つは、六十歳になって初めて裁定請求をしていただきまして、それでもって給付額を確定いただくと、こういう仕組みを取ってございます。そして、初めての年金を厚生年金でお支払いいただく場合は直近の偶数月という、こういう仕組みになってございます。
 そうしますと、まず、偶数月で即年金をもらいたいという形になれば、先に裁定記録をさせていただきまして、それから再裁定をすると、こういう仕組みになっているということで、そういう御回答を申し上げたんだろうと思います。
 じゃ、統計上どうかということになりますと、全部これは業務センターに進達をされていまして、書類としては持っておりますけれども、残念ながら、個々のデータを分析をしているという形にはなってございません。
○尾立源幸君 じゃ、何で長官、これ大半と言うんですか。データ持ってないんだったら大半じゃないです、一部あったとかそういう言い方でしょう。何で大半ということが言えるんですか。
○政府参考人(村瀬清司君) これはサンプル調査をした中で、例えば十一月に六十満年齢でみえる方に対して、例えば十一月、十二月に裁定をしたと、その後再裁定をしたということだということのデータだというふうに考えております。
○尾立源幸君 一番大事な数字を扱っている社会保険庁、しかも長官がこんないい加減な形で仕事をされているのは、私、本当にびっくりします。
 長官は、でも、これはお役だと思ってしっかりやっていただきたいんです。今までのいろんなうみが出てきているんだと思うんですけれども、もう長官になられて何年もたつんですよね。その間は少なくとももう気付いて手を打っておくべきだったと私は思います。いずれにいたしましても、これはまた厚生労働委員会で、参議院に回ってきますので、深く掘っていきたいと思います。
 あと九分しかございませんので、もう一点、これ、政府の甘さについて指摘をしておきたいと思います。これも、村瀬長官、民間から来られているのでよく分かると思いますが、今生保や損保、不払の問題でえらい目に遭っていますね。えらい目というのはこれは言い方が悪いですけれども、金融庁からしっかりやれということで、業務を停止してまでこの不払、未払の調査をしております。何で社会保険庁にだけは政府はこういう厳しいことが言えないんですかね。私はこれ、大変官尊民卑のまた最たるものじゃないかと思います。民間にだけはやれやれと言っておいて自分たちのことには全然ほおかむりと、これはひどいじゃないですか。長官、どう思われます。
○政府参考人(村瀬清司君) 金融庁が各生保、損保にどういう形の調査をするかという詳細、申し訳ないんですけれども、新聞等でしか私存じ上げておりません。
 社会保険庁といたしましては、先ほど委員お話しありましたように、先週の金曜日の委員会におきまして、大臣がすべてにわたって全件調査をするということを申し上げたわけでございまして、正にこれからそれを始めるという形だと御理解をいただけたらというふうに思います。
○尾立源幸君 民間企業は、この件で社長が辞めたり役員が責任を取ったりいろいろやっています、給料の返上等。社会保険庁長官は何か自分で責任取られること考えていますか。
○政府参考人(村瀬清司君) まず、私自身がやらなきゃいかぬことは何かというと、国民の皆さんの信頼を回復することだろうと思います。そのためには、先ほど政府としてパッケージという形で御説明申し上げましたけれども、これを早期に徹底的に実行するんだというふうに考えております。
尾立源幸君 今日の長官の何か態度が非常に社会保険庁の体質にどっぷりつかってしまったんじゃないかというふうに思うぐらい民間から懸け離れてきていますので、そこを是非御認識ください。またこれはお呼びをさせて、質問させていただきたいと思いますので、その成果を披露できるように頑張っていただきたいと思います。
 それでは最後に、自治体の裏金と官製談合について。こちらもひどい話でございます。
 昨年、岐阜県で十七億、長崎で四億、大阪府でも、これは二度目でございますが、七千億の裏金が相次いで発見されております。また、宮崎でも四百万と、こういうことなんですけれども、私はこの裏金捻出される仕組みがいけないのではないかと思っております。そこで、再発防止のためにはしっかりした公会計の整備と監査の実効性を私は高めていかなければならないのではないかと思っております。
 そこで、総務大臣、今自治体における発生主義、複式簿記に基づく公会計の整備状況について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) まず、今地方分権が推進をされる中でこうした不祥事が連続して起きたことに対しまして、誠に遺憾に思っておるところでありまして、もう二度と再びこうしたことが起こらないように、私どもからも厳重に要請をさせていただきました。
 今委員から御指摘ありました複式簿記に基づく公会計の整備状況でありますけれども、発生主義を活用して複式簿記の考え方を導入するという公会計の整備というのは極めて私も大事な問題であるというふうに思っております。
 その整備状況でありますけれども、バランスシートの整備状況で見ますと、都道府県、政令指定都市は全団体で整備されておりますけれども、その他の市区町村の取組は遅れておりまして、十八年度現在で整備済みは、普通会計ベースで六〇・六%、連結ベースで五・六%でもあります。また、昨年八月には、連結ベースも含め国の作成基準に準じた公会計の整備を全地方公共団体に要請しておりまして、特に人口三万人以上の都市は三年以内に整備をするように求めているところであります。
 今後とも、この財務書類を作成する際のマニュアル等についても各地方公共団体に対し情報提供をしたいと考えておりまして、各団体の取組状況をフォローアップして、できる限り早期にこの導入を整備が図られるように取り組んでまいりたい、こう考えております。
○尾立源幸君 ちょっと答弁の中で触れられなかったかもしれませんが、今総務省としては二つの帳簿、会計基準を用意されているんですよね。一つは従来の総務省方式を少し修正したものと、もう一つはどちらかというと企業会計に近い、台帳などをしっかりと作って財政状態を把握しようと、この二つでございますが、私非常に危惧しております。またこれ、二つのばらばらのものができ上がってくると、これ比較できませんよね、違う基準が存在すると。是非しっかりした、国が作っているような、また東京都が使っているような、従来の総務省方式を修正したのではないしっかりした公会計基準を私は作っていただきたいと思っております。大臣の是非その認識を持っていただきたい。急に言ったので、中身がどうか、どう違うのか、お分かりかどうか分かりませんけれども、是非その点は私の方からあらかじめ申し上げておきたいと思います。
 そして、その会計基準ができた後にもう一つ、監査の問題でございます。この監査は現在、監査委員会、外部監査制度がございますけれども、何をどのようにチェックするかについて統一的な基準がないんですね。この点は、大臣、御承知でしょうか。それと、これをどうやって改善していくのか、是非大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) 地方自治法上、この監査委員というのは、それぞれの地方公共団体に関する事務だとかあるいは経営に関する事務執行が適法であるとか、そういう中で組織の運営の合理化などに努めておるところでありますけれども、具体的な基準につきましては、委員から御指摘ありましたように、各地方公共団体において具体の事情を踏まえて策定をされております。その基準にのっとって現実的には監査が行われている。その基準等については、監査の着眼点として、例えば予算の執行状況が法令に基づき計画的、効率的に行われているとか、あるいは違法、不経済な支出はないかなど、こういうものが定められているところであります。
○尾立源幸君 時間、もう終わりでございますので、最後に申し上げたいと思います。
 何についてどのように監査をするのかというような基準がないと監査の意味がないんです。ですから、是非その辺りは、各自治体の特性もあるでしょうけれども、統一的な基準を作っていただかないと、全くこれまた出たとこ勝負みたいな監査になってしまいますので、是非リーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 それで、最後に、これは会計検査院の大塚院長にもお願いをしておきたいんですが、地方自治体でも官製談合がこれまた去年から今年にかけて多く出ております。特に知事や出納長という経営トップの方々が関与した談合も行われておりますので、是非この点はきちっと地方の方にも足を向けていただきまして、補助金等出ていると思いますので検査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
○会計検査院長(大塚宗春君) 会計検査院といたしましては、補助金等を通じましてしっかりと検査をしていきたいと、こんなふうに考えております。
○尾立源幸君 質問を終わります。ありがとうございました。
山下栄一君 私、今回の決算検査報告、特に厚労省の地方労働局問題、四月二十三日、そして五月九日、五月十四日、そして本日と取り上げてまいりましたし、今日も取り上げさしていただきたいと思っております。これは単に厚労省の問題だけではなくて、今日もずっと午前中、午後とお話ありましたけれども、行政そのものの体質ということに直結する問題であるというふうにとらえておりまして、立法府の行政監視機能の役割をきちっと果たさなきゃならないと、こういう思いからでございます。
 今日、財務大臣、また総務大臣、そして官房長官に質問さしていただきたいと思っておりましたですけれども、官房長官が緊急の事態ということで、急遽、下村副長官にお出ましいただきまして、本当にありがとうございます。
 まず最初に財務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、今回、お手元にこれ配っていただいていますね。前回、十四日にも法務省に質問させていただいたときにも配らさせていただいた資料はもう今回配っておりません。この不正経理の時系列にまとめたものと、全体的な七十八億円を超える不適正経理の中で十二億円余は、そのペーパーにも書いてあると思います、一番左の欄でございますが、これは、違法、不正な金額なので国に返さないかぬという、そういうお金が十二億円超えておるわけでございます。
 それで、前回配りました資料、財務大臣もう既に御存じだと思うんですけど、裏金を作るためにおびただしい書類を偽造、公文書偽造しておったということ、その資料はお配りしておりません。一つうそつくために、雇用であれば、経歴書から始まって採用通知書、出勤簿、前渡資金の支払決議書、支給調書、そして雇用事実のない方に対する源泉所得税関係書類、もう全部偽造。整わないと裏資金確保できないということから、雇用から物品購入から旅費から超過勤務手当から、様々な不正行為でございますし、全四十七労働局すべてにわたっていると。繰り返し同じことばかり言っていまして申し訳ありません。
 このために、調査しても、会計検査院の調査は任意調査で強制調査じゃないので、公文書が廃棄されたり、検査妨害に当たるようなこともされておったと。それも最近の話じゃないと。さかのぼること、この検査院の報告では平成七年までさかのぼっておりますが、長期にわたって延々と組織的に不正行為が行われておったと。こういうことが許される、私は許される今この会計法体系になっておるのではないかと。それは、調査せにゃ分からぬじゃないかというふうにおっしゃるかも分からぬけど、だけど、国民はたまったもんじゃない、税金払う方はと、そういうことであろうと思います。
 これは、私は、予算執行に対して重大な責任持っておられる、また国庫の適正な管理、国庫の適正な管理は財務省の任務でございますので、それにかかわるまた金額も相当な金額ですし、大々的な組織的な犯罪行為ですし、そういうことに関心を私は持つべきだと思いますし、厚生労働省に任せておったんじゃ国庫の適正な管理は確保できないのではないかと思う観点から、財務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 予算が国民の税金等によって賄われているということを踏まえますと、その執行が会計法令に基づいて適正に行われることは当然のことでございます。今回のような都道府県労働局における不正経理等は、決して発生してはならない誠に遺憾なことであると受け止めております。
 こうした不正経理等への対処及び未然防止策といたしましては、発生した国損について全額弁償させること、及び関係した職員に対し人事上の厳正なペナルティーを科すことが最も重要な点であるとされておりまして、これは国家公務員法、民法及び予算執行職員等の責任に関する法律、予責法といった枠組みによって担保されているところでございます。
 都道府県労働局の不正経理事案につきましては、所管する厚生労働省におきまして、こうした制度趣旨を十分に踏まえ、国に損害を与えたと判断される不正支出の額に延滞金を付して関係職員等から国庫に返還させるとともに、関係職員二千八百九十人の処分を既に実施したと聞いております。
 今後、こうした事後的な国損の弁償責任や関係職員に対する人事上の制裁を各省が適切に行うことに加えまして、関係する現場の職員に対しまして会計法令を遵守し適正な会計処理を行うといった法令遵守の意識を浸透させることが不正経理等の再発防止の第一歩であると考えております。
 いずれにいたしましても、予算及び決算を預かる財務省といたしましては、今後こうした不正経理が生ずることのないよう、不正経理を防止するための仕組みが十分機能し得るよう関係機関とも連携をするとともに、各府省におきまして、必要に応じ会計法令に係る研修等を通じ職員に会計法令の遵守を徹底させるなど、適切に対応を取ってまいりたいと考えております。
○山下栄一君 これは二回の内閣に対する警告決議を既にやっております。
 再発防止、今おっしゃったことで本当に。私は、これは厚労省の地方労働局、たまたま超例外的に起こったんだと、そういう認識では、これは公務員のあるべき姿ということが、また責任ということが中途半端になってしまうと。今おっしゃいました処分とか、国損生じたのを返すとおっしゃっているのは、二つとも不十分ということは歴然としております。
 税金を取るときは一円たりともきちっと、これはまたきちんとやらなあきません。税金を集めることは財務省の仕事だと思いますけれども、集めるだけかと。きちっと管理する責任もある。使われ方にも監視、それはもう省庁が責任持ってやるべきだと。こんな使われ方されて、国民は税金を何で払わなあかんのかというふうに私は思うと思います。
 金融庁が銀行に金融調査入るときは、書類をでっち上げたり検査妨害すれば、銀行法等によって刑事罰が掛かる仕組みになっております。しかし、会計検査院というこれは憲法機関ですけれども、官が官を調べたら、何でこんなに平気で妨害、公文書廃棄されても、そこそこの責任は問われたのかも分かりませんけれども、済むんですかと。
 そして、今日は書類配っていませんが、いまだに使途不明金が存在しております。もうこれ以上調べられませんと、検査院は、限界ですというのが三千数百万。この前配った資料に書いてあります。そんなこと許されるんですかと。
 一円たりとも不正、違法な支出があってはならないと。これは納税者の、ここまで徹底的に取られるというか、集めるんだったら、使われ方がそんな使途不明金、使途不明金で、これは財務省には報告していませんからね、内閣に報告していますから。提出された報告書はこっちに、立法府に来てちゃんと検査しろというのが会計検査、憲法九十条ですか、そういうルールになっているわけで、だから私、質問させていただいております。
 使途不明金がこれ以上もう分かりませんと。そして使途不明、裏金が約五億数千万円。それで、目的外使用、要するに飲み食いに使いました、懇親会に使いました、懇親会の中には中央省庁の職員も入っている、組合の方も入っているかも分かりません、そういうタクシー代に、夜食に。そんなこと、集められる側はたまったものじゃありませんからね。そういうことが検査院から報告されていて、だけれども対応は厚生労働省でお任せと。
 財務省、私はそれでいいのかなと。国庫の適正な管理というのは財務省設置法で明確に任務であると書いてあります。こんなことで、関心持たない。それは渡して、あとは向こうでちゃんとやっている、処分やったはずやとかね。それはちょっとおかしいのではないかと。
 そして、大臣、日銀をだましていますからね、日本銀行を。これは、今日お配りしているところの国庫金振込請求書、これはもう架空の請求書ですから、日銀にお金を出ささせているんですよ、裏金をつくるために。そして、先ほどもちょっと言いましたけれども、源泉徴収、架空の人を雇っているのを、源泉徴収、源泉所得税を財務省に、財務省だまして払っていますからね。そんなこと、それはもう返した、返すというか同じ国のお金かも分かりませんけれども。
 それは、だけど、財務省、今おっしゃったようなことでいいんでしょうか。私は、ちょっとそれはおかしいのではないかと思うんですけれども。これは、だから、財務省が何か関心を持って何か動いたのか動いていないのか分かりませんけれども。これはやはり国庫の適正な管理の視点から、また健全な財政の確保、これも財務省の任務として財務省設置法に書いておられますけれども、こういうことすらできないのに何が財政の健全化ですかというふうに国民はおっしゃるのではないでしょうか。お考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 国家公務員の不正経理等の行為によりまして国に損害が生じた場合の一般的な制度といたしましては、民法第七百九条や国家賠償法第一条第二項に基づきます損害賠償責任を問うことにしております。それと同時に、法令違反又は職務上の義務違反等の行為に対し、国家公務員法第八十二条第一項に基づき懲戒処分を行うことができることとされております。
 中でも、特に予算執行職員等につきましては、国の会計経理をつかさどる地位にあり、その職務執行の適不適によりまして、国に金銭上の損害を与え、国民に金銭的な負担を掛ける機会が多いと考えられます。こうしたことから、これら職員等が故意又は重過失により国損を生じさせた場合には、予責令に基づき、会計検査院の検定という、訴訟手続を要しない、より簡便かつ迅速な手続によりまして、弁償を命じたり、又は会計検査院が当該職員の任命権者に対し懲戒処分を要求することができることとされております。
 このように、現行の法令におきましても、不正経理等を行ったものに対し賠償責任を科するとともに、人事上の厳正なペナルティーを科すことは十分に可能でございます。実際、今回の事案につきましても、こうした現行の法制度があるゆえに、所管する厚生労働省におきまして、国に損害を与えたと判断される不正支出の額に延滞金を付して予責令の対象とならない関係職員等からも国庫に返還させるとともに、人事上の懲戒処分を実施することとなったものと考えております。
 いずれにいたしましても、財務省といたしましては、この予責令等の不正経理を未然に防止するための仕組みが十分に機能するよう、今後ともしっかりと対応してまいりたいと考えております。
○山下栄一君 十分機能し切れていないというのを私、刑法も国家公務員法も予責法も、法律には書いてあるんです。書いてあるけれども、官が官を調べるときは不十分にしか機能していないというのが私の指摘でございます。だから、不正経理防止のシステムがちゃんと働いているのかと。今、懲戒のことを申し上げました。国損が生じたものについてはちゃんと返すんだと。私は、懲戒処分はきちっとやる、そして不正経理そのもの、不正経理の行為そのものは刑事罰の対象になるんだというふうな観点からの会計法令全体の体系を見直さないと、これは機能し切れないと思う。太政官勧告から始まって、大正時代の会計法令、それが昭和二十二年に引き継がれて会計法ができている。財政法もできた。その後、昭和二十五年に予責法ができた。だけれども、それは基本的に公務員に対する信頼の下に行われているわけで、官製談合の話がありましたけど、官製談合で刑事罰を科したじゃありませんか。だから、不正経理そのものがもう犯罪なんだという、刑法が適用し切れないんやから、公務員には。だから、それはやはり見直すべきだというふうに思います。
 ちょっともう時間がなくなってきましたので。昭和三十年に補助金適正化法という法律ができました。もうちょっと私の方から、ちょっと答えてもらおうと思ったんやけど。
 補助金適正化法は、国会の決議から始まって、予算委員会の決議から、もう補助金の不正がおびただしくあって検査院の指摘を受けて、予算委員会で不正経理に対する防止のための仕組みを考えろと、こういう決議があって、それを受けて大蔵省が、一円たりともこれは不正があってはならないというそういうことをおっしゃって、当時の大蔵大臣が、この法律を作りましたけど、それは補助金をもらう側は罰則、刑事罰というふうになっておりました。だけども、議員立法で渡す側も罰則を付けるべきだというふうになって、補助金適正化法は渡す側というか、今でこの問題やったら厚労省もですけど、刑事罰が科せられる仕組みになっているわけです。
 そうだったら、予算適正化執行法か何か、そういう補助金だけじゃなくて、予算執行がきちっと適用できるように、国民が安心して信頼して税金を取ってちょうだいというふうに言えるような仕組みをつくらないと、使途不明金をほったらかして何で税金取られなきゃいかぬのやと、こうなると思うんです。
 罰則を設けた趣旨は、これ補助金適正化法の趣旨説明の大蔵大臣の言葉です。罰則の適用自体が目的ではなくて、補助金の不正申請や不正使用が反社会的、反公益的な行為であるという認識をはっきりさせる、不正を防止すること、そのために罰則を設けたんだと、刑事罰です、おっしゃっております。是非御検討をお願いしたいと思います。
 総務大臣にお聞きしたいと思います。
 総務大臣は、この前、これは会計の観点からの労働局の検査をしたと。私は、それは業務全体に、経理だけじゃなくて、行政監察をするべきだと、それほどゆゆしき問題だと申し上げまして、非常に一歩突っ込んだ御答弁をいただいたんですけど、この場で明確に今回の問題を契機にお役所の業務の不正経理問題についての行政監察、行政調査ですか、行うことについての総務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(菅義偉君) まず、私ども総務省全体としては、本年八月から全府省等を対象に国の行政機関等の法令遵守、この体制に関して行政評価・監視を実施する予定であります。
 そして、私、前回、山下委員からの質疑の中で委員の指摘される点というのはもっともなことだというふうに私自身も理解をしましたので、役所に帰りまして、委員の御指摘を踏まえて行政評価・監視の中で労働局における法令遵守についてもしっかり調査を行うよう私から指示をさせていただいたところであります。
○山下栄一君 ありがとうございました。総務省の使命をしっかり果たしていただきたいと思います。
 ちょっと関係ない部分ですけれども、独立行政法人の通則法、内部監査にかかわる監事という役職、これ役員として位置付けられております、十九条。ところが、私は直接この監事やっておられる独立行政法人の方から、通則法は不備だと、このように指摘を受けました。それは業務監査だけじゃなくて、会計監査ももちろん監事の方の仕事として入っております。それは、任期が基本的に、いろいろ個別によって各法人若干違う部分もあるけど、大体四月から三月で任期になっていると。三月で任期切れたら、特に会計監査については責任果たせないと。だから、任期はきちっと会計監査人と同じように最後の決算きちっと責任を持ってやってから辞めるというのが当たり前じゃないかと。それほど独立行政法人の監事というのはいい加減な仕事なのかと、このように言われまして、これは施行されて六年目ですか、今年、この監事の仕事、特に今この内部監査自体がほとんど機能していないと。厚生労働省も今回の問題されましたけれども、限界がもう露呈されておるということは国会質問で明らかでございます。
 内部監査を充実させるためにも、これは独立行政法人ですけれども、通則法の見直し、監事の仕事の任期の見直しを是非やっていただきたいと思います。御答弁、済みません。
○国務大臣(菅義偉君) 独立行政法人の監事は、財務内容等の監事のほかに、業務の効率的また効果的な運営を確保するために法人の業務運営全般にかかわる監査を担っており、その任期についても、理事長だとかあるいは理事等の他の役員の任期とともに、法人の業務の性質等に応じて個別法で現在定められております。
 しかし、今委員から御指摘がありました、そうした問題も含めて、基本的にはそれぞれの主務大臣において適切に判断されるべきものと考えておりますけれども、今の御指摘の点も踏まえまして、例えば複数の監事の任期をずらすことなど、現実的にしっかりとした監査が行われるような、そうした体制を取ることのできるようにこれも前向きに検討させていただきたい、こう思います。
○山下栄一君 ありがとうございました。
 下村副長官に御質問させていただきます。
 私は、今回の問題、これ私、厚労大臣にもお聞きしましたし、法務大臣、総務大臣、財務大臣にもお聞きしました。やっぱりこの分担管理の各省庁、内閣の合議機関、各省庁で基本的に責任取っていくんだということがずっと底流にあると。
 今回の問題なんか出てくると、これはもう省庁を超えた問題だと思いまして、内閣のリーダーシップで、中央省庁の再編のときに、中央省庁改革基本法で内閣のリーダーシップが明記されました。閣議できちっと大事なことについては総理大臣が発議して、そして指揮を執って解決していくという仕組みができておるわけでございます。
 その仕組みを今回、是非とも、前も官房長に申し上げたんですけれども、やらないと、これはもう処分しましたとか言っていますけれども、前も言ったと思いますけれども、中央省庁が一番軽い戒告、懲戒処分一人だけですからね。ゼロじゃなかったようです、一人だけです。全四十七労働局すべてにわたって処分は一杯していますよ。だけれども、内規の処分がほとんどであるわけでございまして、特に中央省庁はたった一人だけ。アリバイづくりのように、それも一番軽い。そんな問題かと、この問題はと。内閣の責任を痛烈に感ずるべきこれは問題だと。そうでないと憲法違反になるんじゃないかと。内閣は法律を誠実に執行しというて書いてありますけれども、これほど法律を破りまくった、組織を挙げて、こういうことが許されるような仕組みがあったということだと思うんです、長年にわたって堂々と行われておったわけですから。みんな国家公務員ですからね。国家公務員の宣誓をして、全体の奉仕者として公正な職務を執行するといって宣言して公務員になったはずなのに、もうその中にどっぷり浸かって、そうなってしまっている実情がある。
 これは、私は、こういうことがきちっと対応し切れない、厚労省だけで任せるということで終わらせてしまったら、これはもうほとぼり冷めたころにまた出てくると。今日、ずっと質問あったことも、根底はそこにあると私は思うわけです。
 懲戒処分の在り方、確認します。
 会計検査院が不当事項として指摘したことについて、各省に任せていいのかと。私は前から、これ平成十五年からもう言っておるんですけれども、これは会計検査院法を見直す必要があるのではないかと。三十一条が機能しないと。もう昭和二十七年以降、一回も発動されないと。各省任せでございます。
 組織ぐるみで長年行われて、ヒエラルヒーの中で行われてきたそういう不正行為について業者も巻き込んで、業者にも架空の領収書を出させているわけですからね。もう癒着していると思います。癒着しているということはいろいろ犯罪に掛かることあったかも分かりません。だけど、それをどこまで調べたかも全然分かりません、法務省に聞いてもそんな個別の問題言えませんということですから。これは、裁判所がそういう問題に対して、つまみ出して一人だけ起訴して判決下しても、それは起訴された方がかわいそうだと、このように裁判所が言っている話ですからね、これは。だから執行猶予を付けるべきだと、そんなふうにして裁判が行われている。
 懲戒処分、特に会計検査院が指摘した不正経理、違法経理、不正な経理、これについては、各省庁に任せるというやり方は見直して、そして検査院が三十一条を発動して、要求して、人事院と相談して、そして、もちろん任命権者が処分するんですけど、妥当性もチェックして、そのような仕組みを法改正でやる必要があるのではないかと。
 懲戒処分の在り方、これが歯止めになっている、先ほど段々おっしゃったように。これがぴしっとしなかったら少々悪いことをしても責任問われないわけだから。公務員の責任の在り方が今大きく問われていると。だから、特にこの会計検査院が指摘したことについてはそのようなことを考えるべきだと。国家公務員、また地方公務員も含めてだと思いますけど、懲戒処分が公正に行われるような仕組みがきちっと働いていないという指摘についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○内閣官房副長官(下村博文君) お答えいたします。
 予算が国民の税金により賄われていることを踏まえれば、その執行が会計法令に基づき適正に行われるべきことは山下先生御指摘のとおり当然のことであります。今回のような都道府県労働局における不正経理等は、決して発生してはならない誠に遺憾なことであると受け止めております。
 こうした不正経理等の未然防止策としては、発生した国損について全額弁償をさせること、また関係した職員に対し人事上の厳正なペナルティーを科すことが最も重要な点であり、これらは国家公務員法、民法、予算執行職員等の責任に関する法律といった法的枠組みにより担保されていると考えております。
 都道府県労働局の不正経理事案については、所管する厚生労働省において、こうした制度趣旨を十分に踏まえ、国に損害を与えたと判断される不正支出の額に延滞金を付し関係職員等から国庫に返還させるとともに、関係職員二千八百九十人の処分を既に実施したところでございます。
 いずれにしても、政府としては平成十八年十一月の閣僚懇の場におきまして安倍総理から改めて全閣僚に対し適正な会計処理の徹底等に率先して取り組むようにとの指示を行ったところでございまして、今後ともこうした不正経理が二度と生じることのないよう、まずは体制づくりに励んでまいりたいと考えているところでございます。
○山下栄一君 基本は財務大臣と同じ。体制づくりを私は本格的に、不正経理防止の仕組みを、機能し切れていないと。全くしていないとは言いませんけどね。それは懲戒処分がきちっとしにくい状況になっている。省庁任せだからです。組織ぐるみになったらどうしようもないと。自分に責任掛かってくる。
 そして、私は、もう一つは刑事罰やと思うんですね。これは官製談合防止法。これ公務員改革のある意味最高責任者の塩崎官房長官に直接お聞きしようと思ったんですけれども、今回の公務員法改革で事前規制から事後規制へと、再就職規制の話です、そういう法律の仕組みにされました。
 それで、あれは大事なことやと思いますけど、その事後規制の中に、再就職のためにOBが前の職場に働き掛けたり、また現職の方が仕事を働き掛けたりすると刑事罰、罰則がという案が今出ております。私は、そういう再就職の規制のために刑事罰を掛けるんだったら、こんな国民のお金を、公金を預かって、人のお金やと思うからもうでたらめなことをやると、そんなことは許さない。取られる方の身になってみろよと、納税者の側に立って。公金を扱う会計執行職員、そしてその関連、周辺の方々について、今回は執行職員でもない、自分から発注しているわけですから、ほかの職場の方が、会計手続経ないで。そういうことをやっても適当な懲戒処分、国損生じて、料亭で食事したら、それは返せばいいという、そんな責任の問われ方でどうして許されるんだと、不正経理行為そのものがもう刑事罰なんだと。OBが働き掛けたり再就職にかかわるものに刑罰掛けるんだったら、不正経理そのものをやったらもうそれは刑事罰だということをやらないと抑止力が働かないと。今の責任の問われ方では働かないような仕組みになっているからこんなことが堂々と組織的に長年にわたって行われてきているわけで、そういうことを考えたら、できぬことないような仕組みになっているということであります。だから、不正防止システムが機能し切れてないと。
 そういう意味で、この不正経理、公務員の不正防止のきちっと働くような仕組み、それは特に懲戒処分がきちっと機能すること、それと刑事罰を新しく設ける。刑事罰は基本的に設けない、最近例外として官製談合防止法とか行政機関の情報公開で若干出てきましたけれども、時代が変わってきたと、国民の目は厳しくなってきたしということで、そういうことを、この官の不正防止システム、構築する仕組みを内閣として、内閣府設置法に基づいて、内閣法に基づいて、国民の信頼を得るような仕事をするような仕組みを、省庁に任せるのではなくて、今回のことから大きくこのように学びましたということをきちっと御提言いただいて立法府に出していただきたい。いかがでしょうか。
○内閣官房副長官(下村博文君) 先生御指摘のように、法律や職務上の義務等に違反した職員については、その任命権者が事実関係を把握し、適正な懲戒処分を科するという厳正な対応を行うことにより、公務に対する国民の信頼が得られるものと考えます。既にルールは国家公務員法や人事院が示した懲戒処分の指針などで明らかにされており、あとは、いかに事実関係を的確に把握し、ルールに則して判断するかどうかであると考えます。
   〔委員長退席、理事中島眞人君着席〕
 事なかれ主義に陥り、本来下すべき厳正な処分をちゅうちょするようなことはあってはならないことでございます。任命権者たる閣僚一人一人が不祥事に対する国民の厳しい目があることを自覚し、責任を持って判断していくことが何よりも重要でございまして、委員が御指摘されました内容について、改めて心して各閣僚一致して、安倍内閣、対応するように精進してまいりたいと存じます。
○山下栄一君 現在の法体系では、法律に書いてあっても法律の誠実な執行が行われてないんですよ、それを私指摘しているわけで。だから、それは官が官をやるということについては、官が民を調査したり、先ほど銀行の調査というようなことを言いましたけれども、金融庁の、それは徹底的なんです。そんな妨害なんてしたら刑事罰です。しかし、官が官を調べることについては甘くなってしまう構造になっているわけですよ。それは反対でしょうと。民に優しく官には厳然とというふうにしないと、納税者はたまったもんじゃないと。
 国民を欺く今回の行為について、今のような対応では私は内閣の限界だろうと。だから、私先ほど申し上げましたけれども、内閣のリーダーシップ、省庁に任せておる仕組みになっているわけやから、今。それを乗り越えて、この問題からこういうことを学んで、ここからこのようにやはり制度、法律改正も含めて、少なくともチームをつくって、えぐり出すようなそういう対案を出さないと、私は税金、使途不明金ほったらかしておいて何で払わないかぬのですかと、この疑問は解決しないというふうに私は思います。
 この淵源は、私はやっぱり、ちょっと申し上げましたけれども、公務員の責任というふうなことをちょっとやっぱりきちっと再構築しなくちゃならないのではないかというふうに思います。憲法第十五条には公務員のあるべき姿書いてありますけれども、戦前の時代は官吏の服務紀律は勅令で法律ではなかったと。戦後、法律になっていったと。だから、余り慣れてないままにずっといって、全体の奉仕者いう言葉があるけれども、それは、だけど適正な執行、国民に疑惑を持たれてはならないと、公務員法にも全部書いてあるんですよ。疑惑を持たれてはならないって、そんな言葉、何でそんなこと通用するようなことですかと、今回の事態は。国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない、職員はと、これが全部もう空文化しているわけですやん。みんな書いてあるんですよ、国家公務員法にも公務員倫理法にも書いてあるんですよ。
 それは、やはり私は根本的に官と民の地位を逆転させないかぬと。民に厳しく官に甘いという考え方で貫かれているんですよ、これ、戦後、仕組み変わったはずやのに。反対にせないかぬと、それは。主権者は一体だれですかと。国民の信頼を欺くようなことを堂々としても、使途不明金がそのままですいうて憲法機関の検査院が言っているのに、行政府も立法府も何もようせぬのですかと。社会保険庁のあのいい加減な職務の話と同じやと思いますわ。根は全部一緒で、責任をとことん追及される仕組みになっていないと、国民に向かって。だから、こういうこと堂々と行われる。
 だから、官と民の地位を逆転すると。奉仕なんという気持ちあるんですかというふうに国民は言うと思います。あそこまで徹底的に保険料とか税金を取っておいて、こんな管理の仕方、こんな使われ方をして許されるんですかと。そんな仕組みだったら、それは変えなあかぬでしょうと。
 だから、そういう考え方を変えるような不正防止システム、不正経理防止システム、決して働いていないということを重く受け止めていただきたいと思います。
 時間がもう、最後、提案します。もうこれちょっと、私、これずっとやってきましたけれども、大体同じ答弁なんですわ。それは基本的に省庁任せで、綱紀粛正って、綱紀そのものがどんなして築かれているんですかということが問われている話やからね。
 委員長に提案させていただきます。
 これ、行政の取組の戦後レジームやなくて戦前レジームが基本的にずうっと続いているということから、国会の行政監視機能が問われていると。そういう意味で、まず提案ですけれども、ちょっとさっきも言いましたけれども、会計検査院がここまで、向こう任意調査ですからね、強制調査やなくて、ここまで一生懸命調べ上げて、だけれども責任の問われ方が余りにも甘過ぎると。だから、この三十一条がきちっと機能するように、三十三条の検察庁に通告するということも昭和二十七年以来一回も発動されていない。国家公務員法にも検察庁に通告、これ一度も発動されていません。人事院自ら調査する、一回も発動されていません。国家公務員法に書いてあります。
   〔理事中島眞人君退席、委員長着席〕
 これは、だから立法府の方で発動できるような法律改正を、これはもう立法府、決算委員会しか私できないのではないかと。これは党派を超えた取組としてやることについての御提案をまずしたいと思います。
○委員長(泉信也君) ただいまの件につきましては、理事会で協議いたします。
○山下栄一君 もう一点は、不正防止システムもそうなんですけれども、予算適正執行確保。補助金の適正確保の法律は罰則付きで昭和三十年にできているんですね。これは議員立法で刑罰を入れているんですよ。スタートは委員会決議です、予算委員会決議で。それにのっとって、この予算適正執行がきちっと働かない、構えはあっても何か省庁というようなことであいまいになってしまっている、この確保のための方策を決算委員会として考えるべきだと、不正経理防止システム、抑止力が働くように。抑止力が全く働かない証左が今回の恐ろしい事案だと思いますので、働くような仕組みをやっぱり構築する、法律改正も必要かも分かりません、そういうことをやはり決算委員会としてまとめたらどうかなと。
 それと、委員会の総意として、警告決議とか措置要求決議は、相手は内閣でございます。この問題はもう二回にわたって警告決議されている話。もちろん今回も警告決議入れるべき、これはもう内閣挙げて取り組むべきだというようなことは言う必要あると思いますけど、これは委員会の総意として立法府の取組を、行政監視機能をきちっと果たさないと、国民はもうだれに言っていったらいいんですかと、直接民主主義にしますかと。この代議制そのものが問われている。もう立法府が乗り出さないとこれは解決しにくいのではないか。それほど今回の四十七労働局すべてにわたって不適正経理が行われた問題というのは軽い問題ではないと思いまして、委員会の総意として立法府の取組の決議を私は行うべきではないかということを御提案したいと思います。
○委員長(泉信也君) ただいまの件につきましても、理事会で協議いたします。
○山下栄一君 どうもありがとうございました。
○紙智子君 日本共産党の紙智子でございます。
 最初に、ナキウサギの天然記念物の指定の問題でお聞きします。
 ナキウサギは、今から三万五千年から四万年前の氷河期にシベリアから北海道に渡ってきたと見られております。その後、北海道が海に囲まれていたため、涼しい山岳地帯などで生き残った氷河期の生き残りというふうに言われています。とても貴重な種であり、天然記念物の指定を望む声が高まっているわけですけれども、学術上貴重で、我が国の自然を記念するというこの天然記念物の基準を満たしているのか、まずこのことについてお答えをお願いします。
○政府参考人(高塩至君) お答えを申し上げます。
 今先生御指摘ございましたエゾナキウサギにつきましては、北海道の標高六百メートル以上の岩場に生息いたします体長十五センチから十八センチほどの哺乳類でございまして、お話ございましたように三、四万年前の氷河期の生き残りの動物と言われております。
 国の天然記念物の指定基準におきましては、指定に値します価値といたしまして、学術上貴重で、我が国の自然を記念するものという基準を定めておるわけでございますけれども、この基準に該当するか否かにつきましては、エゾナキウサギの生息地でございます北海道及び関係市町村におけます十分な調査検討を踏まえまして判断する必要があると考えております。
 文化庁といたしましては、北海道を始めといたします関係の地方公共団体におきます調査検討に対しまして必要な指導、助言を行いますとともに、その調査検討の結果や専門家の意見、また学術的研究の動向を総合的に勘案いたしながら基準の該当性について見極めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○紙智子君 満たしているというふうに今おっしゃいましたでしょうか。済みません。
○政府参考人(高塩至君) その基準につきまして満たしているかにつきまして、今後の調査検討を踏まえて見極めてまいりたいと、こういうふうに申し上げたところでございます。
○紙智子君 ナキウサギは大雪や沙流川原始林以外にも生息をしているということもありまして、種としての指定が必要だということでの声が上がっています。北海道が昨年十月から、空知・上川支庁の管内市町村にこのエゾナキウサギ保護に関する市町村の意向調査というのをやっています。
 そうしますと、生息していると答えた二十五市町村のうちの九市町村が天然記念物指定が必要だと答えております。まだ決めていない七市町村からも賛同の声が出されております。例えば上川町などは、種指定が望ましい、あるいは富良野市は、ナキウサギは他の天然記念物の動物と比べて何ら遜色ない、ただ、学術調査が不十分であるし、国や道が聴き取りやアンケートだけに頼らず主体的に取り組むべきだ、といった要望が出されているんです。
 それで、文部科学省として、今後現地調査を行うなど、こうした要望にもこたえて指定に向けた積極的な対応を取っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(高塩至君) お答え申し上げます。
 今先生から御指摘ございましたように、昨年の秋に北海道教育委員会におきまして、エゾナキウサギの保護に関する関係市町村の意向調査というものを実施いたしまして、本年の一月にその結果がまとめられまして、私ども文化庁にも報告が行われたところでございます。
 先生から御紹介ございましたように、その意向調査におきましては、エゾナキウサギの保護必要性を回答した市町村が複数あったというふうに私どもも承知しているものでございます。今お話ございましたように、大雪山山系それから沙流川流域地域におきましては、地域そのものがいわゆる天然記念物の指定になっておりますので、その保護地区におきましては特段種の指定をいたさなくてもいわゆる動物の捕獲というものが制限されるというふうになっているわけでございますけれども、それ以外の地域にもこのエゾナキウサギというものが生息しているということは先生御指摘のとおりでございます。
 このエゾナキウサギを天然記念物として指定するためには、文化審議会の文化財分科会に諮問を行う必要がございますけれども、その際には、エゾナキウサギの天然記念物としての保護の必要性、それから指定を行った場合の保護、管理の在り方、さらには、規制に伴う公益の調整などの点につきましての検討が必要でございまして、北海道教育委員会を中心といたしまして、自然保護部局を含めました地方公共団体が連携いたしまして総合的な検討を行う必要があるというふうに考えているところでございまして、文化庁といたしましては、この保護に向けまして必要な総合的な検討が道その他地方公共団体において実施されますよう、必要な指導、助言を行ってまいりたいというふうに考えている次第でございます。
紙智子君 この問題で長年にわたって活動しているナキウサギふぁんくらぶってあるんですけれども、四万三千の署名を集めて大臣に提出をされていると思うんです。
 指定されることになりますと、例えばその生息地である土地の改変なんかの際に、例えば大規模林道などを、そういうときに際して大臣の許可が必要になるということではナキウサギの保護が確実に進むことにもつながるということで、是非とも国として積極的に取り組んでいただきたいということをこれは要望をしておきたいと思います。
 次に、自衛隊のセクシュアルハラスメントの問題についてお聞きします。
 今月八日に、二十代の現職の女性自衛官が、職場でのセクシュアルハラスメントとその後の上司の対応を問題として国賠訴訟を提起しました。
 この女性隊員は、昨年の九月、階級が上の男性隊員に呼び出されて、夜勤中、泥酔していたこの男性から基地内で暴行やわいせつ行為を受けて、強姦未遂致傷罪に当たる重大なセクハラ行為を受けました。代理人から話を聞いたんですけれども、非常に深刻な問題だというふうに思っています。あってはならない許されない事件なわけです。
 それで、資料をお配りしていると思うんですけれども、一枚目を見てほしいんです。この資料は、防衛庁の九八年のセクシュアルハラスメント・アンケート調査なんですけれども、職場の人から、一番上のところですけれども、性的関係の強要を受けたことがあると答えた女性は一八・七%、それから一番下の方になりますけれども、強姦、暴行、未遂を含む、経験がある女性は七・四%ということになっています。数字だけだと何となくよく分かりにくいんですけれども、女性自衛官約一万人ということですから、それでもってこの率で見てみますと、性的関係強要というのは千八百人以上、強姦や暴行、未遂については七百四十人という数字になって、これは本当に重大だというふうに思うわけです。
 防衛省の調査はこの一回だけというふうに聞いております。人事院は、やっぱり一般職に対して同様の調査を九九年のセクハラ防止規則制定の前後に二回やっています。それで、実態把握ですとか制度の周知度、どれだけ徹底しているか、施行後の意識の変化などの分析も行っているわけです。防衛省は一回だけということなんですけど、施行後にもこの実態を把握して分析する必要性について感じなかったのかということについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(増田好平君) お答えをさせていただきます。
 私ども防衛省の調査でございますけれども、これは、平成九年に男女雇用機会均等法が改正されまして、平成十一年四月からセクハラの防止に関する事業主の配慮義務が規定されたことを受けまして、当時防衛庁として、防衛庁職員を対象としたセクハラ防止対策を検討するためにセクハラに対する意識等の調査を目的に平成十年にアンケートを一回実施したところでございます。
 今先生御指摘の、いわゆる一般職の方は施行前、施行後、二回やっているではないかと、なぜ防衛庁の方は一回しかやっていないのかという御下問かと存じますけれども、私どもとしては、今申し述べたようにセクハラ防止対策を検討するための意識調査ということで、当時一回行っているということでございます。
 なお、今後いろいろな形で、今般また男女雇用機会均等法も改正をされておりますので、そういったこの時期をとらえましてまた実態調査をするということも一つの選択肢かなというふうには思っているところでございます。
○紙智子君 やはり、こういう問題というのはきちっと検証しないと徹底されていかないということがあるんですね。
 それで、防衛省自体が、人事院と比べても非常にそういう意味では、一回意識調査やったのみということですから、そもそもやっぱり十分でないというふうに思うわけです。同じ国家公務員なわけですから、最低限同程度の対策は取るべきだというふうに思うんですね。まして重大な被害がたくさんあるわけですから、そういう職場でもあるわけですから、やらなきゃいけないだろうと思うわけです。今年の二月、陸士長が女性隊員への強制わいせつ罪で懲役一年六か月、執行猶予三年、懲戒免職になっているわけです。
 それで、大臣、この研修の効果も含めて、改めてこうした実態調査をすべきじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(久間章生君) 昔と違って最近は女性隊員も増えてきておるわけでありますから、一般公務員と同じとは言いませんけれども、我々としてもそういう意識を少し改めてやっぱり隊内におけるそういう問題については積極的に対応していかなきゃならない、そういうような認識を持っております。
 今、先ほどおっしゃいました事件は、まだ、こういうセクハラの問題以上のことかもしれませんので、これはこれから先の事件の推移を見守らないといけないと思いますけれども、いずれにしましても、アンケート調査も含めて、これから先どういう形でそういうようなことをなくしていくか、その辺、我々としても対応していきたいと思っております。
 この問題、非常に難しいのは、セクハラと一言に言いますけれども、片一方の方はそういうような意識がない、片一方の方はセクハラを受けたと言う、そういうようなケースも現実には非常に多いわけで、意識の面でまだ、これはセクハラになるんだぞという、そういう教育を先にやらなきゃならない、そういう面も多いんじゃないかなと、そう思う点もございまして、私たちも自分自身を自戒しながら、そういうような意識の改革を努めてやらないと、何げなく言った言葉が物すごく相手に対してショックを与えているというそういうケースも結構多いわけでございまして、そういう点では、具体的な今挙げられた事件になるようなやつはこれはもう事件として許せないわけでございますんで、それとはまた別の意味で、軽いと思いながらでもこれはセクハラが相手に対して心理的に物すごく圧力になっているという、そういう点についてこれから先十分に意識しながら、どういう方法が一番いいのか研究していこうと思っております。
○紙智子君 制度がこれ実際に始まってからもう大分たつわけですから、今の時点でちょっと今のような大臣の答弁ですと、やっぱりまだ甘いというふうに言わざるを得ないんですね。本当に深刻な問題としてとらえなきゃいけないというふうに思うわけです。
 それで、次に、もう一枚の資料を見ていただきたいんですけれども、これをよく見ていただくと、やはり幹部自衛官が起こす傾向が高いわけですよ。自衛隊のセクシュアルハラスメントということでいいますと、圧倒的に男性が多い、上からの命令には必ず従わなきゃいけないという、上命下服の厳格な縦社会なわけです。そういう下で上官が起こしているという特徴があるわけですね。
 こうした中で、防衛省の訓令あるいは運用通達、こういうものも出されていて、セクハラが起こってしまった場合の対応で迅速適切な対応ということで求めているわけです。実際、それが本当にきちっと対処されているのかということもまた見なければならないわけですけれども、今回の起こった訴状では、原告は昨年九月の事件の後、直ちにこれは上司に相談をしているわけです。今年の二月二十七日になってようやっと警務隊が動き出して、この原告の被害届が正式に受理されると。ですから、半年間、事実上これは放置されていたということになるわけですね。
 それからまた、今年の三月です。三等陸佐が停職八日間というふうになった事例でいいますと、これはセクハラがあったのは一昨年、二〇〇五年の七月ごろなんです。複数の女性隊員が身体を触られるなど被害を受けたわけですけれども、陸上自衛隊の警務隊がこの三佐を逮捕したのは今年の一月です。ですから、被害から一年半たってようやく逮捕と。
 これらを見ますと、迅速適切でないし、加害者に甘い対応というのがかなりあるんじゃないかと思うわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○政府参考人(増田好平君) 今先生御指摘のように、私どものセクシュアルハラスメントに関する訓令なりまたその運用通達の中で、迅速適切な対応を取らなければならないということを決めておりまして、基本的にはそういう方針で対応しているところでございます。
 ただ、先生から具体例を挙げて、時間がたち過ぎているのではないかという御指摘ございましたけれども、少なくとも先生が御指摘になりました北海道の事案については、今訴訟が始まっているという点、また刑事事件の捜査という観点でも捜査をしているところでございますので、一々の事実関係についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○紙智子君 その事態そのものということも含めて、もう一つの最近の例も言ったわけですから、やっぱりかなり甘い対応があるんじゃないかということについて、大臣、いかがですか。
○国務大臣(久間章生君) 先ほど冒頭にも言いましたように、私たち自身も含めて、こういうやつに対するもう少し神経過敏に対応すべき、そういう時代背景をよくわきまえておかなきゃいけないという、それをこれから先は自分も自戒しながらと同時に制度的にも、今おっしゃるように、対応が少し遅いんじゃないかという、そういう御指摘を賜ることのないようにしていきたいと、そう思っております。
○紙智子君 通達で、これは防衛庁の通達ですけれども、職員に対してどういうふうに言っているかというと、セクシュアルハラスメントの問題が起きたら行動をためらわないこと、トラブルメーカーというレッテルを張られたくない、恥ずかしいなどと考えがちだが、被害を深刻なものにしない、他に被害者をつくらない、さらにはセクシュアルハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく、良い勤務環境の形成に重要であるとの考えに立って、勇気を出して行動することが求められるというふうに行動を呼び掛けているわけです。
 ところが、現場でどうなっているかというと、今回訴訟を起こした事案についていいますと、相談した被害者に、その後、外出許可が下りなくなったりしているわけです。それから、退職強要を受けている。そして、被害者が厄介者扱いされる事態になっているわけです。こんな扱いされたら、だれもセクハラが起きたときに相談もできなくなってしまうんじゃないかと。
 これまでの処分事例で、本当に一つ一つ適切な対応がされているのか、被害を受けた人が異端者、厄介者扱いされた例がないのか、長期間対策を取らないで放置されたものがないのかなども、これは部内で精査をして公表すべきじゃないかと思いますけれども、いかがですか。
○政府参考人(増田好平君) いわゆるセクハラ、セクシュアルハラスメントに関する問題につきましては、部内におきましてセクハラの相談員というものを置いております。各部隊ごとにそれぞれ置いております。その種の事案があったら必ず相談できる体制をつくっておるところでございます。過去五年間の実績で申し上げれば、セクハラ相談員にセクハラの相談があったものは三百八十件程度ございました。そのうち、処分まで行っておるものは五十二件でございます。
 もちろん、何といいますか、適切に対応しなければいけないとは思っておりますけれども、私どもとしては、それぞれ一つ一つの事案について懲戒なり手続をきちっと行ってそういう処分に至っておるということを御理解願いたいと思います。
○紙智子君 相談員を置いていて、やっているというのが今のお答えなんですけれども、実際でも現実に起こっている問題は、相談しても、ちょっと自分に相談されても困るということを担当者が言っているという事例も出ているわけで、やっぱりそこはちゃんと一つ一つ、これでもう済んでいるということじゃなしに、もう一度やっぱりそこのところを点検するということが必要じゃないでしょうか。どうですか。
○政府参考人(増田好平君) 私ども、そういう体制をいろいろと取っておりますけれども、当然、一つ一つ事案の処理ごとに反省すべきところは反省し、また改善すべきところは改善するように努めているところでございます。
○紙智子君 セクハラの相談を受ける側の対応がひどい場合、二次被害、三次被害というふうになる場合もあるわけです。是非精査して、相談を受ける幹部の研修にも役立てるという観点で検討すべきだと思います。
 次に、防衛省の処分が適切かどうかということなんですけれども、この本、「軍事組織とジェンダー 自衛隊の女性たち」という本、出ているんですね。これは、防衛庁の協力も得て、女性自衛官のインタビューも行って書いている、佐藤文香さんという、現在一橋大学の准教授なんですけれども、この方が書いた本です。この中で、酒を飲んだ上官曹長にセクシュアルハラスメントを受け、精神的な苦痛により一か月の入院後に退職をした女性に対し、この曹長に停職一日の懲戒処分、上司は注意処分で済んでいるわけです。このほかにもいろいろ書いてあるんですけれども、この佐藤氏は、これらの処分の適切さには疑問も感じるって書いているんですね。
 こういう指摘に対して、大臣、どう受け止められますか。
○政府参考人(増田好平君) 私どもとしては、懲戒処分についてはそれぞれ懲戒手続を厳正に行って処分をしているというふうに考えているところでございます。
 今、先生から停職一日は軽いのではないかという御指摘がございましたけれども、私どもの懲戒処分の中で停職と申しますのは、一番下が戒告でございますけれども、戒告、減給、停職ということで、かなり重い処分でございます、一日といえども。そういった意味で、何といいますか、先生から見れば軽過ぎるのではないかという御指摘かもしれませんが、私どもとしては厳正な処分を行っていると理解しているところでございます。
○紙智子君 ちょっとその認識が本当に、基準が違うなというふうに思うわけですよね。
 それで、ほかの省の場合どうなのかということでいろいろ見たんですけれども、他省庁の類似の処分例でいいますと、例えば郵政公社は、女性職員にキスをした特定局長は停職一か月、抱き付いて同様の行為をした課長代理は停職二か月、飲酒酩酊の上同様の行為をした特定局長は停職六か月で辞職をしているわけです。
 それに対して自衛隊では、もう今言いましたように、被害者を退職にまで追い込みながらわずか停職一日と。甘いですよね、本当に。そして、自衛隊の停職はほとんどが数日間、最高でも三十日です。他省庁が最低でも一か月以上で十二か月まであるのとは全然違って、もう本当に違うわけですよね。国家公務員の中で明らかに自衛隊の処分というのは軽過ぎるというふうに思うわけです。
 防衛省は、セクシュアルハラスメントが重大な人権侵害なんだという認識がなさ過ぎると思うんですね。大臣、大臣はこのセクシュアルハラスメントが重大な人権侵害だというふうに思われませんか。
○国務大臣(久間章生君) セクシュアルハラスメントといってもいろんなやつがありますから、全部が全部本当に人権に対してという、私なんかも、時々久しぶりに会った人に、あなたは最近は随分太ったねと言うと、ほかの人からそういうことを言っちゃいけないんですよというふうに言われますから、とにかく言葉には注意せぬといかぬなと思う反面、そういうような軽いやつから、今お話しになったような例まで幾つもあるわけでございまして、そういうのを総じて見たときに、確かに男性社会であっただけに今までのその処分がほかの省庁と比べてそれでよかったのかどうか、これは私たちとしても大いにやっぱり検討してみる必要があろうかと思います。
 そういう意味では、これから先、今度の事案について若干ちょっとここで申し上げるわけにいきませんけれども、訴状どおりかどうかというのも含めまして、いろいろと事案が進んでおりますから、そういうのを見た結果、私たちはもう少しセクシュアルハラスメントが、少なくとも自衛隊内でそういうことの起きない環境づくりをそういう処分も含めて研究していこうと思っております。
 ただ、一言だけ言わせてもらいますと、一日の減給といいましても、ほかの世界と比べまして一回でも減給処分を受けたというのは、今みたいに特に平和な時代においては物すごくこれは影響するわけでありまして、いろんな昇進その他では、もうこれは受けていない人と受けている人では、たった一日の違いがもう数段の差になってくるという、そういう世界でもあるということをひとつ、またほかの世界とちょっと若干違う点もございますので、その辺については強調しておきます。
○紙智子君 ちょっと、やっぱり大臣の認識がそれだから駄目だと思うんですね。被害を受けた方の立場に立って、それをはっきりさせないといけないというふうに思いますし、是非、研究するということなんですけれども、この処分の在り方も見直しを是非やっていただきたいというふうに思います。
 それで、この提訴された事案についてなんですけれども、加害者の男性隊員はこれまで異動になることもなくその場所に、同じ基地にいて、被害者は一日に一度はこの加害者と顔を合わせなきゃいけない状態が続いているんです。それで非常に苦痛になっているわけです。防衛省のセクハラ防止の運用通達の中でも、このセクハラの内容がかなり深刻な場合で、被害者と加害者を同じ職場で勤務させることが適当でない場合は、当事者の人事異動等の措置をとることも必要というふうに書いているわけです。被害者は、事件後直ちに上司に加害者を退職させるか配転してほしいというふうに訴えたわけだけれども、何の措置もとられないで今まで来ているわけですね。
 ちょっと信じ難いと思うんですけれども、それがなぜなのかなと思うんですけれども。結局おかしいと思うんですね、強姦されそうになって、女性が毎日その人と顔を合わせなきゃいけないと。食堂が一階にあるものだから、御飯食べに行けないという状況になる、どこかで会うかもしれないわけですから。外出するときは一階を通らなきゃいけない、そうするとどこかで鉢合わせということになると、もう本当に嫌だということで行けないでいるという状態があるわけですよ。
 ですから、そういうことも是非想像していただいて、この今すぐにでも分けるというか、配転させると。配転させるのに手続掛かるというんであれば、とにかくまず一緒にいなくても済むように、それも、今は被害を受けた女性の方が離されているという状況なんですよ、逆転しているんですよ。加害者の方が言ってみれば普通どおりの生活を送っていて、被害を受けた方がもう何というんですか、一緒に食事できないとかというふうになっていますから、そこはそうならないように是非対処してほしいというふうに思います。
 これ、どうですか。
○国務大臣(久間章生君) これは例え話であれかもしれませんけれども、セクハラじゃございませんが、二人が上下の関係がありまして、ずっといろんな関係が続いていて、下の方がもう嫌で、それでとうとう最後は自殺にまで追いやられたわけですね。そして、その遺族の方から私に手紙が来まして、とにかくあれだけ別に異動させてほしいと言っておったのに異動できなかったんかといって、もちろん私の前のことの話ですけれども、そんな話がございました。いろいろ調べてみますと、まあ職種は対になって動かないと本当にできないような職種だったもんですから、そういう不幸なことになってしまって、私は本当にそれを聞いて残念でなりませんでしたが。
 いずれにしましても、今言われたようなことも含めて、今ちょっとこれは事件になっていますし、それでまた、先生の方に話が来ている内容と必ずしもまたちょっと、同じといいますかね、そのとおりでないのかもしれませんので、いろんな角度からこれについては前向きに、前向きにといいますか、実態を、それが本当に真実がどうなんだということも含めて、今一生懸命追求しているところでございますんで、推移を見守っていただきたいと思います。
○紙智子君 最後に、今回提訴した原告に対する不利益の取扱いについてなんですけれども、訴訟の翌日、原告に対して、物置として使われている部屋に移動を命じているんですね、その現場で。それとか、インターネットの2ちゃんねるに原告について、訴訟で訴えたものですから公になったということもあって、2ちゃんねるに物すごいひどい書き込みが一杯されているわけです。そういうものをあえて上司がみんなが見えるところに持ってきて置いておくと、そういうことなんかやって嫌がらせが続いているわけです。物すごいそういう雰囲気が蔓延しているということで、被害者の方は本来救われなきゃいけないはずなのに、そうではなくてどんどん追い詰められていって、不整脈が出たり、健康状況も悪化しているわけです。その隊においては、国を相手に裁判をしたと、とんでもないことをしてくれたと言わんばかりの、そういう対応に置かれているということでは、本当に許されない人権無視の状況に置かれていると思うんですね。
 直ちにこれをやめさせていただきたいということを大臣に最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(久間章生君) 少なくともそういう嫌がらせと思われるような、そういうようなことは断じてあってはならないと思いますから、それもどういうものなのか、もう少し、内容等についてあれですけれども、いろんな資料等があったとかいう話も仄聞するところ、皆無じゃないと思いますんで、それは先生のおっしゃる話が、物置云々というのはどうか分かりませんけれども、そういうような書き込みのあった書類が机の上へ置いてあったとか、そういうようなもの、もしあったとすれば明らかな嫌がらせでありますから、そういうことを踏まえながら、ひとつ裁判にもなっておりますので、そういう推移を見ながら対処していこうと思っております。
○紙智子君 いずれにしても、とにかくやっぱり対応が非常に遅れているということでもありますから、そこはしっかりと対応していただきたいことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、加藤修一君が委員を辞任され、その補欠として鰐淵洋子君が選任されました。
    ─────────────
○又市征治君 社民党の又市です。
 去る四月二十三日のこの決算委員会で、私は年金の二十二万件の給付漏れについて質問をいたしました。その後反響が大きくなりまして、政府は今日では五千九十五万件の持ち主不明の記録があるということを認められておるわけでありますけれども、こうした状況にもかかわらず、先週の二十五日、一体全体、この莫大な持ち主不明の、そのことによって自分たちが年金が大幅に削られるかもしれないという多くの国民が不安を持っているにもかかわらず、欠陥だらけの年金二法案が政府・与党によって衆議院厚生労働委員会で強行採決されたと。これは正に議会の自殺行為、そしてまた、国民を裏切るものであって断じて許されないということを申し上げなきゃなりません。
 そこで、この現下の国民の最大関心事でありますこの問題について何点か伺ってまいりますが、まず四月の私の質問に社会保険庁は、受給者の損失が記録漏れ一年分について夫婦の基礎年金で月額約六千円だと、こういうふうに確認をされました。そうすると、未突合のこの五千九十五万件も、各自の納付した年数あるいは月数のデータがあるわけでありますが、その平均年数なり分布状況というのは試算をされているのかどうか。これに給付月額六千円を掛けた額が納付者の損失のミニマム額になるということになるわけでありまして、この点、先ほど尾立委員からもありましたが、明確にお答えいただきたい。
○政府参考人(青柳親房君) 御指摘の五千九十五万件についてでございますが、これは基礎年金番号に統合されていない記録の件数でございます。これらの記録の中には、基礎年金番号に統合する必要のない、例えば既に死亡されている方の記録や、あるいは受給権を満たさない方の記録が含まれているということについては御認識を賜りたいと存じます。
 その上で、お尋ねの月数のサンプル調査についてでございますが、私ども、今お尋ねのあったような形で特段のサンプル調査はいたしておりません。これは私ども、年金記録に対します国民の信頼を回復するためには、まずは年金受給者の記録の突合調査など、できることはすべて実施するようにということで大臣からも指示をいただいておりますので、まずはこれらを優先させていただきたいと存じます。
○又市征治君 こんなもの、簡単なプログラムを組んで少数のサンプル調査をすれば推計できることですよ。やっぱり受給者の側の立場に立って取り組む、こういう姿勢があるのかどうかということですから、これはすぐにそういうふうに取り組んでいただくように注文しておきます。こんなの、答弁要りません、当たり前のことですから。よろしくやってください。
 そして、この国民年金につきましては、私、再三再四これ指摘をしてきたんですが、二〇〇二年度、地方分権に逆行して、きめ細かな市町村の協力体制でやっておったものを切り捨てて国に一元化をした、これが最大の誤りであった、納付率の低下をもたらし失敗だったと、当時の坂口厚生労働大臣も、これ全く坂口さんは関係なかったんだけれども、答弁をされているわけですね。振り返ってみるとそうだと、こうおっしゃっている。
 社会保険庁は、当時、国民年金のこの市町村の記録の廃棄を市町村に通知しているわけですね。いつ、どういう形でやられたのか、市町村の記録なぜなくしたのか、このことを明確にしてください。
○政府参考人(青柳親房君) ただいま地方分権一括法の前後におけるその取扱いについてのお尋ねがあったわけでございますが、地方分権一括法以前におきましては、市町村が国民年金の保険料を徴収したときには、国民年金の被保険者名簿にその保険料の検認記録を記載して、これを社会保険庁に検認報告を行うと、こういう仕組みになっておりました。また、社会保険庁は、市町村から検認報告をいただいたものを国民年金原簿であるところの社会保険オンラインシステム上の国民年金被保険者ファイルに収録をするという形で納付記録を一元管理していた、こういうことでございます。
 しかしながら、ただいま申し上げました市町村の国民年金被保険者名簿というものは、国民年金の被保険者台帳あるいは現在のオンラインシステム上の被保険者ファイルのような、言わば法律に基づく原簿ではございません。市町村が、あくまでも国民年金保険料の収納業務を遂行するに当たりまして、その納付状況を管理するための当座の控えと申しますか、帳簿といたしまして備え付けていたという性格のものでございます。
 したがいまして、当時、市町村がこの被保険者名簿を備え付けて国民年金の仕事をしていただいた時点におきましても、その被保険者の方が転出、就職、死亡などによりまして第一号被保険者の資格を喪失した、すなわち市町村がこれを管理する必要がなくなった時点、その時点から五年後には廃棄しても差し支えないというルールで元々運営されていたという事情がございます。
 また、国民年金保険料の収納業務、ただいま委員からお話もございましたが、十四年の四月以降、社会保険庁に移管されたわけでございますが、このことによりまして国民年金被保険者名簿の用途は廃止されました。したがいまして、このことから、市町村に国民年金の被保険者名簿の保管、管理の義務はなくなったというふうに私ども考えております。
 ただ、市町村が保管しております国民年金の被保険者名簿等の資料につきましては被保険者記録の調査を行うための参考資料の一つになるという性格は間違いございませんので、私ども、昨年の八月に、その時点で保管しております市町村にはこの名簿を引き続き保管していただくように改めてお願いをしたところでございます。
○又市征治君 何か訳分からぬじゃないですか。廃棄していいんだと言いながら、今あるのはまた残しておいてくださいと。こんな、おかしい。
 そこで、大臣、伺いますけれども、持ち主不明の年金記録が大量にあるというのは、もう十年前から分かっていたんですよね、これ。この廃棄が、今の市町村のものも廃棄がなければ国民年金について言えばかなりカバーできたし、市町村には、どこどこのだれだれさんの空白期間はいつからいつまで、これは厚生年金に加入中だとか、こういういろんなメモもあったはずなんですよ。だから、今あるように、それも参考に使えるはずだからこれは残してくださいと今になって言っている。このこと自体が、過去の問題ですけれども、重大な失敗だったんじゃないですか、これは。
 だから、今からでも分権型に直して、国民年金事務というのはむしろ納付率向上のためも含めて市町村に戻すべきだということを、改めてこれは申し上げておきたいと思う。
 そこで、伺いたいのは、五千万件の突合はいつまでに終わる予定なのか、大臣から明確にお聞きしたい。中川自民党政調会長は、この年金機構発足までの二年半ではとても無理ですというふうにテレビ番組で述べられているんですが、大臣もそういうお考えなのかどうなのか、またどのような体制と優先順位でこの突合などというのは行っていくおつもりなのか、お聞かせいただきたい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 五千万件が基礎年金番号のほかに未統合の状態にあるということは御指摘のとおりでございます。
 これの整理を我々、この前、先週末取りまとめたわけですけれども、まず、何といっても今の受給者が受給不足が起こっているということを絶対に第一に優先をして解決しなければならない。したがいまして、今の受給者の三千万の方々とこの五千万の同じ年齢層の人を突合すると、これをまずやらせていただきたい。
 そして、それで突合をして、これは本当に今支給不足が起こっている可能性があるという方々に対して、そのことをある種のお知らせをしながら、よく確認してください、あなた自身の今の支給の基礎になっている履歴はこうですと、しかし、どうも可能性としてもう何口座もあるかもしれないということでお知らせをしたいと、こういうふうに考えています。
 それから、そういう可能性のない人が三千万の中に残るわけでございますが、その方々に第二弾として、多分そういうダブルの口座を持っているということはないでしょうけれども、またもう一度一回、今の支給の基礎になる履歴をこうやってお示ししますからそれでチェックしてください、これを第二弾でやります。
 それから第三弾目は、まだ受給権者になっていない方々、いわゆる被保険者と言われる方々ですけれども、この人たちについては五十八歳になったとき六十歳に備えて履歴もお送りするわけですが、その人たちについてもこの五千万件のある一部が重複があるのかもしれない。
 そういうようなことで、随時、現に今受給をしている方を二区分に分けましてお知らせをする、そしてその次に五十八歳で次々とお知らせをしていく、こんなことを今考えているところでございます。
 前二者についてどのくらい掛かるかというのは、正直言ってなかなか、我々、まず突合をしなければなりませんので、そのことについて今検討をさせていただいているんですけれども、最初のことについては、私としては、まあ二年あればこれを突合させたいと、こういうふうに考えているわけでございますが、こういうように明確な年数を今この段階で、大体のめどというか、そういったことを委員にお答え申し上げたということで御理解を賜りたいと思います。
○又市征治君 自民党の政調会長が二年半では無理だとおっしゃって、当該の厚生労働大臣はまあまあまあ二年あればというお話でありますが、後でそれはお答えください。
 私が前回指摘をしましたように、これには二つの基本的な問題があると思っているんですね。第一は納付した人の立場に立つということでありまして、だれかが納めてあるのは事実なわけですから、自己申告を待つ姿勢ではなくて、当然の権利として周知をしてやっぱり積極的に説明責任を果たしていく、こういう姿勢で取り組んでいくべきだということは、これは同意いただけるでしょう。二つ目はこの人員の問題ですが、これを個人ごとに確定していくには相当の訓練を積んだ職員が電算化以前のデータにさかのぼって、電算化は十年ですよね、さかのぼって人海戦術でやらなきゃならぬということになるんだと思う。
 四月の私への答弁で村瀬長官は、年金記録相談をしっかりできる職員を確保した上で特別体制を組んでいる、親切丁寧に各個人ごとの記録をしっかり管理していくと、こう答えられているわけですが、そもそもこの五千万件もの未統合が出たというのが、一九九七年の突合をしていくそれまでの過程、この際に大量の不慣れなアルバイト、臨時雇いの人々を使ってこのコンピューター入力作業などというのはやられた、その中で作業ミスや不徹底が相次いだ結果、これも大きな一つの原因だと、こう言われているんじゃありませんか。
 そこで、大臣、今回の突合作業は、長官の答弁と同様、やっぱりきちっと慣れた職員をしっかり確保して責任ある作業を徹底をしていかないと、それこそ、はい、二年半後に全部何か年金機構へ行きますよと、こんな格好をやると、前からこんなことはあったのに、今現在も起こっているんだから、これまたそのまま引き継がれていく、こんな格好になって国民の不信もますます倍増することになるんじゃないかと思うんです。その点、是非しっかりどのようにお取り組みになるつもりか、お聞かせいただきたい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 本当に恐縮な言い方になって申し訳ありませんけれども、この五千万件の突合の問題と、今現にオンライン化されている一億人の、三千万と七千万で一億人あるわけですが、そのオンライン化された今の公式記録と原資料、この公式記録を作るに当たってそのプロセスであった原資料の突合の問題というのはちょっと違う問題だということを是非御理解をいただきたいわけでございます。
 そして、中川政調会長の言われた二年半では無理だというのは、その今のオンラインの正式記録とこれを作る原資料になったものとの突合の問題であって、これはもういわゆる手書きの紙でございますから、これはもう途方もない記録を、今の一億のあの紙と突合するわけですから、これはもう非常に手間の掛かる仕事だろうということなのでございます。
 そして、しかも、この記録と今の正式記録であるオンラインの記録を突合するというのはかなり練達で記録の作り方なんかについてもよく分かった、事情が分かった人でないと無理だということになっておりまして、私も答弁の中でOBの人たちにということをちょっと申し上げたんですが、そうすると、やっぱりまたそういう間違いをしたOBを使うのかというような話も実はあるわけでございまして、私もちょっとよどんでしまうわけなんですけれども、しかし、現実にはしっかり自覚を持った人たちと、その人たちに研修を受けて、事情がはっきり分かる人たちを使わないととてもこれはうまく進んでいかないという委員の御指摘はそのとおりでございます。
 五千万件の突合について、先ほど私、冒頭、委員の御質問に答えて御答弁させていただきましたけれども、これにつきましては現職の職員でもってやらせるという考え方でおるわけでございます。
○又市征治君 ところで、大臣、これは通告してございませんが、安倍総理が日曜日の日に突如として中川自民党幹事長に、これじゃ国民が大変犠牲が多い、救済法案を議員立法ででも出すようにしなさいという指示をされて、自民党の中川幹事長は出すように努力したいと、こうおっしゃっているという話だが、これ、話が逆さじゃないですか。
 二法案が出てきて、それとの絡みで大変に論議になっている。だとすれば、本来ならば、さっき一番私、冒頭申し上げたように、しっかりと衆議院段階でもその問題が問題になっているときに、一緒にしっかりとそのことを議論して掛かるべきだ、こういう意味を含めて申し上げたんですが、これ、何で政府二法案が出てきているのに、これ議員立法なんですか。厚生労働大臣自らが政府提案としてその救済法案を一緒に出して、この国会でしっかり議論すべきじゃないですか。そのことの点について大臣の決意のほどをお伺いしておきたい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 現在、私ども、この今の社会保険庁を改組、再編するという考え方の下で機構法とそれに伴う事務運営の改善の法案を出して御審議をお願いしているわけでございますけれども、この問題のいろんな御審議の中で記録の問題が取り上げられたということでございます。
 そして、安倍総理から中川幹事長に対して御指示があった課題の中心のものは、実はこの時効の問題であったわけでございます。今我々は、会計法の時効の規定で、とにかく消滅時効というものが五か年間で働くということでございまして、仮に記録の訂正があって、その時点で、じゃ支給額を改定しましょうといっても、さかのぼれる期間というのが五年間ということになっているというのが私どもが今その下にある法制度の骨格なのでございまして、どうしてもこの問題を、五年間じゃなくて訂正があって支給が増える全期間にわたってさかのぼらせるべきであるという立場に立ちますと、安定してその制度を運営するためには法律改正が必要であると。そうなりますと、政府部内でごちゃごちゃ調整をするよりも議員立法の形で迅速にこれを処理していただくということが近道ではないかということで、安倍総理から中川幹事長への御指示があったものと受け止めさせていただいております。
○又市征治君 いや、私聞いているのは、おかしいじゃないですか、それ、この問題を扱っている最高責任者、厚生労働大臣じゃないんですか、年金問題の。総理からあなたにあったんなら分かるけれども、何で中川自民党幹事長へ行って、それが議員立法になってくるんですかと言っているんですよ。国民の生活を守る責任者はあなたでしょう。厚生労働省としてその時効の問題を、あなたもこの間時効の発言なさった、問題になった。だから、そのことについて、今あなたは時効を撤廃せにゃいかぬと、こうおっしゃっている、だったら厚生労働省で出されたらどうですかと、こう私聞いているんですよ。その責任感はないんですかと、こう申し上げているんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) もとより、そういう考え方もあるということでございます。私どもも先般の週末に発表させていただきましたその消滅時効の問題については、政府、与党一体となって取り組むということを申し上げさせていただいたつもりでございます。
 しかし、今申したように、会計法という法律の下で非常にしっかりした消滅時効に係るということで堅固な法制ができ上がっておりますので、これを政府提案ということでやりますとその調整等に非常に手間が掛かるのではないかということを総理がおもんぱかられて、これは議員立法で迅速な処理をした方がよろしいだろうと、こういう御判断があったものと受け止めておりまして、もとより、私どももその責任を担っているわけでございますから、もし議員立法の動きということになった場合には、政府としても最大限もう御協力をしてその成案を得るように努めたいと、このように考えております。
又市征治君 その議員立法になった場合は、政府としての責任がないじゃないですか、そこで、もうこれ、本当にこの問題。
 総理はまた一方でこんなこと言っているんですね、歴代の社保庁の長官、全部その責任追及せにゃいかぬと言っている。昔からの厚生省の時代から含めて、こうした電算化をやる、あるいは中央一元化をやってくる、あるいは年金制度の改革はくるくる猫の目のように変わってくる、こういう過程でもこの問題は起きているんですよね。そこらの問題の責任なくて、全部それ社会保険庁の長官かだれかに責任おっかぶせる、次、今度は職員に責任おっかぶせる、大臣の責任どうなんですか、これ。本当の意味で、私、これ聞いておって責任あるとは思えない。残念だけれども、これ本当に大臣、不信任に値しますよ。そのことだけここは申し上げて、こんなことだけで随分時間取ってしまいましたから、次に移らしていただきます。
 渡辺行革大臣、一年半前の二〇〇五年十一月に、私は、国が補助金等で造成している公益法人等の資金、基金、一兆三千百二十六億円について会計検査院が単発の検査報告を出したんですね。これについて、私はこの決算委員会でその日に実は、十一月の十七日でしたが、質問をいたしました。つまり、放漫に使われたり、資金需要がないのに法人で抱え込み、利子を稼いで役員報酬などに使用されている、政府に引き揚げるべきだという内容でこれは申し上げました。
 それから一年後の昨年十二月二十四日に、内閣官房の行政改革本部がこれら基金の見直しを決定をされているわけです。ところがこの決定は、縮減手続は所管する府省が法人と協議した上で実施せよと。こんなこと、たらたらとまるで無駄遣いをしてきた同士で、それで協議してやんなさい、こんなことを当事者間で相対して縮減なんかできるわけないんですよ。
 結果を見ても、二十六法人三十三基金の国庫補助金相当額五千二十四億円のうち、国庫への返納を合意したものは一千七百四十三億円、三分の一にすぎませんでした。元々全額政府が税金などで補助金として造成したものであって、そこを会計検査院から強く是正を求められたんですね。担当行革大臣として、第三者としてもっと強い態度で対処すべきじゃないかと思いますが、どういう御決意ですか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のように、補助金等の交付により造成した基金で国庫に返納された額は約一千七百億円でございます。公益法人などでこうした造成された基金については、まず事業の終了する時期、それから使用見込みの低い基金などにつきまして基準を作りました。昨年の八月でございます。その後、この基準に、これを厳格に適用をする形で、昨年十二月、行革推進本部において見直しを精査し、決めたわけであります。その上で、千七百億円の国庫返納を決めました。実績の乏しい十六事業については廃止をいたしました。九つの債務保証事業について、現行一〇〇%の債務保証割合の引下げも併せて決めたわけであります。
 原則として、すべての基金に関して、平成二十一年度、再度見直しを実施いたします。これらを踏まえれば、厳正な見直しになっているものと考えます。
 また、今回の見直しに当たっては、見直しの透明性を確保するという観点から、まず見直しの基準について、パブリックコメントを実施した上で作成し、公表をいたします。
 次に、基準に沿って所管府省等が作成をしました見直し案について精査をいたします。全閣僚がメンバーとなっております行革推進本部において、その内容を決定をいたしました。そして、基金ごとに見直しの概要及び基金の基本的事項を公表することといたしました。
 こうした措置を通じまして、見直しの手続面でも適正性は確保されておると申し上げたいと思います。見直しの成果は出ているわけでございます。
○又市征治君 歯切れのいい大臣は、えらいこれだけは何か原稿お読みになっただけで余り歯切れ良くないんで、これはやっぱりきちっと、こんな省庁と法人で協議した上で実施せよでは駄目だと、こう私は申し上げている。行革大臣は、びしっとやっぱりここをメス入れる決意を表明してくださいと申し上げたんで、そんなペーパー読んでくれと言ったんじゃないんですよ。
 そこで、時間がだんだんなくなっていくので、もう一度厚生労働省関係、大臣にお聞きをしてまいりますが、厚生労働省の緊急雇用創出特別基金について、これも私は二〇〇五年十一月にここで質問いたしました。これも検査院の指摘を受けて、行革本部が縮減を決めたわけですね。当初あったのは、交付金事業、自治体を通じての直接雇用だったんです。当時、建設業、不動産業を始めとした失業が続出していた中で、私は、たまたま歌舞伎町雑居ビル火災というものを契機に防災点検などの強化を図って、こうした人たちの再雇用の呼び水にという提唱もいたしましたし、そのほか森林環境、学校などの分野でも一定の成果もあったと思うんです。
 ところが、後からできた基金事業の方は、丸投げ委託した先が高年齢者雇用開発協会というんですが、何か鉄鋼連盟だとか電気事業連合会とか自動車工業会、電機工業会、百貨店協会の各会長さん方がメンバーになって、こんな人たちがずらっと並んだ協会に丸投げということだったんですね。そこで、この基金事業七つのメニューのうち、一つは労働者への直接手当て、一つは自治体への委託なんですが、他の五事業は全部今申し上げたこの開発協会などが絡んで、五事業は雇用主に配った。その比率が、何と六〇%が雇用主に払う、こんな格好になってしまったということでありました。
 本当に雇用促進になったのかどうか。末端の労働者には渡らなかったんではないかと私は大変疑念を持っています。その証拠に、偽装倒産や不正受給があって、そのことも検査院の厳しい指摘を受けたわけですね。そして、二〇〇五年十一月、検査院が、この基金も事業実績から見て資金規模の検討が必要だと、つまり国庫に返せと、こう検査院から言われた。それで、行革本部もリストに載せて、間もなく事業は打ち切り、協会も解散すると、こういう運びですね。
 しかし、現在、雇用の頭数だけは上向いてきているけれども、非正規労働者への置き換えが著しいために、賃金は大幅に下がって、厚生年金加入などの社会保障も悪化をしていますね。五千九百六十一億円もの公共の資金を基金といいながら短期間で使い切ったのですから、良質なモデル的な雇用創出のでなければ意味がなかったはずなんです。
 そこで、大臣、私は、自治体をむしろ活用すべきだと。昔は、御存じのとおり、自治体で失対事業をやったわけですよ。今そうは言わない。だけれども、やっぱり失業なさっている人をみんなで救済する。失対事業だってやったんです。むしろ自治体を活用して公的な雇用創出というものを継続的に行うべきだ、こういうふうに私申し上げてまいりました。
 たとえ基金という形を廃止しても、今後、非正規雇用から正規への転換など雇用の質の改善をやはり公共の責任で進めていく、そういう必要があるんじゃないのか。この点について、他の法案でもこれは御議論なさっているところですから、大臣の決意をお伺いしておきたい。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 緊急雇用創出特別基金の使いぶりについて御指摘をいただきながら、委員からは、むしろ昔の失対事業を思い起こして公的な雇用の創出を考えたらどうかと、こういう御提案をいただいたわけですが、私どもその考え方とはやや見解が違うと言わざるを得ません。
 それはやはり、公的な雇用を増やすということで確かに確実性ということはありますけれども、そうしたことで大きな政府になっていくということは、これはもう私どもとても取り入れられないことでございまして、雇用はやっぱり民間の雇用をいかに促進していくかということでございまして、かつての失対事業のような、公共事業を失業者の対策として取るべしと、それで地方公共団体の雇用というものでしのぐべきだということは、やはり私ども取り得ないところでございます。
○又市征治君 時間が参りましたから。甘利大臣、済みませんでした、あなたのところまで行きませんで。
 私が申し上げたのは、失対事業をやりなさいとか、大きな政府にしろと言っているんじゃありません。地方自治体を使ってやっぱり雇用の拡大というものにきめ細かな対処をやれと、こう申し上げているんで、その点は是非しっかりやっていただきたい。以上申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(泉信也君) 他に御発言もないようですから、平成十七年度決算外二件の本日の質疑はこの程度といたします。
 予備費関係五件につきましては、質疑を終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(泉信也君) 御異議ないと認めます。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉田博美君、森元恒雄君、西銘順志郎君及び矢野哲朗君が委員を辞任され、その補欠として松村祥史君、神取忍君、岡田直樹君及び末松信介君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(泉信也君) これより予備費関係五件を一括して討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○紙智子君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇五年度予備費五件について討論を行います。
 まず第一に、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)について、承諾することに反対であります。
 その理由は、第一に、イラク特措法を根拠にした自衛隊派遣は、米軍を中心として進めているイラク戦争に加担する戦争行為にほかなりません。
 また、テロ特措法に基づく軍事支援の経費についても、アメリカ等の武力行使と一体となった兵たん支援活動にほかならず、集団的自衛権の行使となるものであり、認めることはできません。
 第二に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)について、承諾することに反対であります。
 その理由は、増額経費を計上している五特別会計の中で、都市再生プロジェクトにかかわる推進経費が大部分を占め、しかも、内閣直属による都市再生本部が決定する都市再生プロジェクトを推進するものとなっています。
 その中身は、道路整備、交通円滑化、都市再生事業、河川事業、砂防事業等となっていますが、それぞれの事業が大規模開発であり、大企業本位のための都市再生推進経費となっており、賛成することはできません。
 ほかの三件については、妥当な経費であり、承諾することに賛成であることを述べて、討論といたします。
○委員長(泉信也君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(泉信也君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その1)について採決を行います。
 本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(泉信也君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 次に、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その1)について採決を行います。
 本件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(泉信也君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 次に、平成十七年度一般会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書(その2)、平成十七年度特別会計予備費使用総調書及び各省各庁所管使用調書、平成十七年度特別会計予算総則第十三条に基づく経費増額総調書及び各省各庁所管経費増額調書(その2)、以上三件を一括して採決を行います。
 これら三件について承諾を与えるべきものと議決することに賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
○委員長(泉信也君) 多数と認めます。よって、これら三件は多数をもって承諾を与えるべきものと議決されました。
 なお、これらの案件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(泉信也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会