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参議院決算委員会平成15年度決算審査措置要求決議
30 中小企業高度化資金の運用状況について

 決議内容 決議の背景 決議の位置付け 決議時点での当局の姿勢 決議の効果

 決議内容
 参議院決算委員会の平成15年度決算審査措置要求決議の第30項目「中小企業高度化資金の運用状況について」の内容は次のとおりであり、政府と会計検査院に対する措置要求である。
 独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧中小企業総合事業団)の実施する高度化事業は、中小企業者が組合等を設立して行う中小企業構造の高度化に寄与する事業(集団化、施設集約化等)及び第三セクター等が地域の中小企業者を支援する事業(商店街整備等支援施設の設置・運営等)に対して融資を行うものであり、その主な原資は政府出資金及び債券発行により調達した資金である。
 同事業においては、(1)貸付資金残(手元資金)、(2)政府出資金を主な財源とすることによる順ざや収支差から積み上がった利益剰余金、(3)ほとんどが手元資金となっている出資事業資金が多額に上っていたため、総務省行政評価局の通知において、「資金需要の動向を踏まえつつ、余裕金の有効活用を図っていくこと」、「その際、追加出資の適切な抑制や必要に応じ更なる貸付金利の引下げ等の検討が必要」とされた。
 これを受け、旧中小企業総合事業団は平成11年度から、融資対象条件の緩和や貸付割合の引上げ、追加出資の抑制等を行ったが、事業実績は伸びず、平成 12年度の余裕金は4,199億円に達しており、総務省行政評価局は、平成14年7月の通知において、改めて余裕金の有効活用のための更なる対策を提起した。
 同事業の余裕金の発生に関しては、景気の影響による中小企業の投資意欲の減退等、事業自体のニーズの問題や、中小企業者にとっての使い勝手の悪さなどが指摘されている。また、中小企業者の設立する組合の一部には、組合員の倒産等により必ずしも十分に機能していない状況や、実質的には貸付金の焦げ付きとなっている貸付金返済の停滞等が全国的に見られ、これに対し、各都道府県の対応も適切さを欠いている状況にある。このままでは、近い将来、地方公共団体や納税者に大きな負担を強いることも懸念されており、政府及び会計検査院は、調査・検討及び会計検査を行う必要がある。

 決議の背景
 中小企業高度化資金については4月18日の委員会で加藤敏幸委員(民主)が14年7月の総務省行政評価局による特殊法人に関する調査結果を踏まえて次のような視点から取り上げている。
 平成十四年七月に総務省行政評価局が特殊法人に関する調査結果に基づく通知で、中小企業総合事業団の高度化融資・出資事業についてのフォローアップ結果を公表されました。これによりますと、この事業は多額の貸付資金残や利益剰余金などが累積していたため、総務省は貸付金利の引下げなどによる余裕金の有効活用を提起したんだと。これに対して、事業団は平成十一年度から融資対象条件の緩和や貸付割合の引上げなど、かなりの努力をされてきたわけでありますが、しかしながら、それでも事業実績は残念ながら伸びずに、総務省は改めて余裕金の有効活用のための更なる対策を提起したと、こういうふうな経過であると聞いております。
 私は、この高度化融資・出資事業は使い勝手の良し悪しの問題もあると思いますし、また全体的に景気の影響を受けて中小企業における投資意欲が減退しているという、そういうふうな状況の中で高度化ということのニーズもうまく出てきていないと、こういうようなこともあると思います。
 しかし、そういうふうな分析と同時に、別の観点からお話ししますと、ここからが、結局決算である知見を得て、それをフィードバックをしていくときに、私は、今までの中小企業政策において共同化とか集団化あるいは高度化といった非常によく使う政策としてのアイデア、理念、そういうふうなものを多く出されてきているんですけれども、逆に言うと、この前も申し上げました、画一的な対策じゃ駄目ですよと。それは逆に言うと、中小企業というものは、とにかく規模を大きくすればいいとか経営資源を集約化すればいいとか連携を強化すればいいという、そういうところが非常に発想が画一的になっているんじゃないかと。だから、予算のフィードバックを回すとともに、政策の中身そのものも私はしっかりやっていかにゃいかぬ。

 決議の位置付け
 「中小企業高度化資金の運用状況について」は会計検査院に対する検査要請にもなっている。参議院のサイトによると内容は次のとおりであり、平成18年秋を目途とされている。
(1)検査の対象
   独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧・中小企業総合事業団)
(2)検査の内容
   機構の実施する高度化事業についての次の各事項
  (1) 中小企業者に対する貸付金の返済状況
  (2) 余裕金の発生及び資金運用状況
  (3) 貸付条件の状況
  (4) 中小企業者による制度利用の状況

 決議時点での当局の姿勢
 そして、決議当日(17年6月7日)の参議院決算委員会で中川経済産業大臣が「ただいまの……中小企業高度化資金の運用状況について……の審査措置要求決議につきまして適切に対処いたします……」と発言している。森下会計検査院長は「会計検査院といたしましては、ただいまの……等の審査措置要求決議につきまして、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります」と発言している。
 また、会計検査院のサイトによると、会計検査院は7日に要請を受け、「独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧・中小企業総合事業団)の実施する事業に関する事項について」検査を実施してその検査の結果を報告する旨を8日に参議院へ通知している。


 決議の効果
 会計検査院は中小企業高度化資金について16年度決算検査報告の「特に掲記を要すると認めた事項」として、「中小企業高度化事業における不良債権が多額に上っていて、その解消を図るため、より一層の債権管理態勢を整備することが必要な事態について」を記載している。その所見として次の記載がある。
 中小企業高度化資金の貸付けは、制度発足以来、長年にわたり中小企業の経営基盤の強化等に寄与してきている。しかし、経済の長期低迷等により中小企業者を取り巻く経済環境は依然厳しい状態が続き、近年、高度化事業における延滞債権の残高が増加する傾向にあり、その管理は長期化している。また、後年、延滞債権となる可能性が高い条件変更債権も増加する傾向にあり、今後も同様に推移することが懸念される。これに伴い、機構では、前記のとおり、中期計画及び年度計画において債権管理業務の充実を図ることとしている。一方、高度化事業に係る債権管理については、中小企業者等に対する貸付金の管理・回収を直接行っている都道府県の裁量に委ねられている部分が多く、中期計画等をより実効が上がるものとするためには、機構自らの努力のほか都道府県の理解と協力が不可欠である。今後、債権管理の業務量も増加していくと予想されることから、都道府県との連携を強化し、個々の貸付先の実態把握と適切な対応を行うことができる態勢を整備するとともに、償却の要件緩和を契機として、都道府県が債権回収に努めてもなお回収が不可能と見込まれる債権については償却を適時に行うことが必要である。
 したがって、機構においては、次のような方策を講じるなどして、より一層債権管理態勢を整備するとともに、不良債権について適切な管理・回収を行い、その解消を図っていくことが必要である。
ア 16年7月の独立行政法人化に伴い地方にも支部を有することになったことから、各支部においても可能な範囲で、都道府県に対しよりきめ細かな支援や助言を行うことができるようにし、また、債権管理アドバイザー制度の趣旨の一層の周知を行うこと
イ 対応基準の内容やその運用についてより一層の周知徹底を図り、また、廃業している延滞先に対する都道府県の債権回収手段として、延滞先の状況に応じた連帯保証制度の運用について検討すること
ウ 債権管理に関する研究会等の機会を増やし、都道府県に対し業務の外部委託や債権の状況に応じた具体的な対応策を定めた債権管理マニュアルの作成方法等についての助言を行ったり、都道府県とともに貸付先や保証人等に関する調査方法や時効管理等についての事例研究を行ったりして、都道府県の管理態勢の充実のため一層の支援を行うこと
 また、都道府県においても、貸付先や保証人等に関する必要な情報を十分に把握したり、時効管理を適切に行ったり、対応基準に則った回収措置を講じたりするとともに、債権管理に関する研究会や債権管理アドバイザー制度の利用等を通じて機構の支援や助言を受けるなどして、業務体制や債権管理マニュアル等の整備に努め、適切な債権の管理・回収を行うことのできる態勢の充実を図ることが肝要である。
 18年1月25日の委員会議事録によると、全決議36項目のうち会計検査院のとった措置を除き内閣のとった35項目に係る措置について財務大臣が配布資料のとおりと報告し、また、会計検査院に関する8項目に係る措置について配布資料のとおりと会計検査院長職務代行が報告しているが、いずれもサイトには載っていない。
 会計検査院サイトによると、会計検査の結果を「独立行政法人中小企業基盤整備機構(旧・中小企業総合事業団)の実施する高度化事業に関する会計検査の結果について」(概要(PDF・約308KB)、全文(PDF・約826KB))として18年9月21日に国会へ報告している。

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