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参議院決算委員会平成15年度決算審査措置要求決議
22 「総合的雇用情報システム」における随意契約に関連した厚生労働省の天下りの実態について

 決議内容 決議の背景 決議の位置付け 決議時点での当局の姿勢 決議の効果

 決議内容
 参議院決算委員会の平成15年度決算審査措置要求決議の第22項目「「総合的雇用情報システム」における随意契約に関連した厚生労働省の天下りの実態について」の内容は次のとおりであり、厚生労働省に対する措置要求である。
 全国のハローワークで求人受付、職業紹介、雇用・職業関係情報を提供している「総合的雇用情報システム」に関して、保守・運用業務を発注している厚生労働省労働市場センター業務室の元室長らが、発注先企業である(株)シー・エス・エスの役員に相次いで天下りしている。
 厚生労働省の「総合的雇用情報システム」は、昭和63年に運用が開始され、事業開始以来、同一業者(富士通(株)、(株)NTT東日本、(株)NTT西日本、(株)NTTコミュニケーションズ、(株)シー・エス・エス)と随意契約が繰り返されている政府のレガシー・システムの一つである。なお、(株)シー・エス・エスは、昭和61年に設立され、資本金5,000万円、役員8名の企業である。
 「総合的雇用情報システム」の過去3年間の総契約額は、平成13年度128億円、平成14年度154億円、平成15年度165億円の合計447億円となっているが、このうち、(株)シー・エス・エスの受注額は、平成13年度115億円、平成14年度116億円、平成15年度114億円の合計345億円で、同システムにおける同社の受注比率は、それぞれ90%、75%、69%、合計では77%に上っており、同社の受注比率の高さが目立っている。
 同社には設立以来、取締役社長を始め延べ19人の厚生労働省出身者が役員として天下っており、そのうち18人が職業安定局出身者、さらに7人の職業安定局の最終官職が職業安定局労働市場センター業務室長となっている。現在も専務取締役と取締役の2人(ともに職業安定局の最終官職が職業安定局労働市場センター業務室長)が天下っている。これまで延べ29人の職業安定局出身者が役員以外の従業員として天下っている。さらに、一部の職員が所要の承認を経ず、天下った事実は誠に遺憾である。
 職業安定局労働市場センター業務室はシステムの発注窓口であり、このような発注者による受注企業への天下りは看過できず、本件問題については、その詳細を調査する必要がある。加えて厚生労働省は、本件と同様、随意契約によるシステム発注者の受注企業への天下り状況を省内すべてについて調査し、速やか、かつ、厳正に対処すべきである。

 決議の背景
 (株)シー・エス・エスへの天下りについては、17年6月7日の委員会で松井孝治委員(民主)が取り上げている。

 決議の位置付け
 この項目は、内閣に対する警告決議12項目の第6項目として次のように盛り込まれた。
 厚生労働省の「総合的雇用情報システム」については、随意契約により特定会社にIT業務の大半を発注し、発注元の厚生労働省元幹部等が当該会社に相次いで天下っている事実は、看過できない。さらに、一部の職員が所要の承認を経ず当該会社に天下った事実は、誠に遺憾である。  厚生労働省は、随意契約に係るシステム発注者の受注企業への天下り状況を省内すべてについて調査し、速やか、かつ、厳正に対処すべきである。
 なお、参議院のサイトによると、この項目に関連する内容が、平成18年秋が目途とされている会計検査院に対する「各府省等におけるコンピュータシステムについて」の検査要請に次のように含まれている。
(1)検査の対象
   内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、
   経済産業省、国土交通省、環境省、国会、裁判所、会計検査院
(2)検査の内容
   各府省等におけるコンピュータシステムについての次の各事項
  (1) 各府省の株式会社エヌ・ティ・ティ・データ等コンピュータシステム会社に対する
    事務・業務の委託契約の状況
  (2) 保守・運用契約の競争性、経済性の状況
  (3) 主なシステムの利用の状況
  (4) 情報セキュリティの管理体制の状況
  (5) 電子政府構築計画に基づく「業務・システム最適化計画」の作成を予定しているシステム
    (レガシーシステムを含む)の現状と最適化に向けた取組の状況
  (6) 右を踏まえた決算内容の検証

 決議時点での当局の姿勢
 そして、決議当日(17年6月7日)の参議院決算委員会では尾辻厚生労働大臣が「ただいまの……総合的雇用情報システムにおける随意契約に関連した厚生労働省の天下りの実態について、……の審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたしますとともに、総合的雇用情報システムにおける随意契約に関連した厚生労働省の天下りの実態、……についての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、今後とも一層努力してまいる所存であります。」と発言している。


 決議の効果
 内閣に対する警告決議については、内閣が講じた措置18年1月25日の委員会で谷垣禎一財務大臣が次のように説明している。
 次に、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社に一部の職員が所要の承認を経ずに再就職した件につきましては、事実関係を調査した上で、本件にかかわった職員に対し厳正に処分を行ったところであります。
 国家公務員の退職後における再就職状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が知り得る立場にないところではありますが、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社以外の随意契約を締結したシステム関連企業に協力を依頼し、調査を行ったところであります。
 その結果、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社以外に国家公務員法第百三条の規定に反する再就職はなかったところであります。
 今後とも、営利企業への再就職規制につきまして、職員に対し、研修や担当者会議において制度の周知徹底、意識啓発に努めてまいる所存であります。

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