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参議院決算委員会平成15年度決算審査措置要求決議
21 厚生労働省都道府県労働局における不正経理について

 決議内容 決議の背景 決議の位置付け 決議時点での当局の姿勢 決議の効果

 決議内容
 参議院決算委員会の平成15年度決算審査措置要求決議の第21項目「厚生労働省都道府県労働局における不正経理について」の内容は次のとおりであり、厚生労働省に対する措置要求である。
 厚生労働省広島労働局において、物品を購入したように書類を偽装するなどして庁費、委託費等から1億7,302万円を不正に支出し、これを別途に経理して目的外の用途に使用するなどの会計法令等に違背する事案があった。また、この不祥事案を受けて行われた厚生労働省における都道府県労働局への調査の中で、兵庫労働局においても同様の不正経理の実態が明らかとなった。これらの行為は長年にわたり組織的に行われ、いわゆる裏金として管理され、職員間の懇親やタクシー代等の費用に充てられていた。これらの不正経理に関係し、両労働局職員が逮捕・起訴されている。
 厚生労働省は平成16年8月に公表した内部調査結果において、兵庫労働局の不正経理の金額を約3,000万円としていたが、その後の警察における捜査によって、それを大きく上回る金額が不正に支出されていたことが判明し、当初の内部調査が不十分であったことが明らかとなった。これにより、この問題に関して再調査を行うこととなったが、いまだその全容解明には至っていない。
 広島労働局においては、このほかにも、職員が支出負担行為担当官及び支出官の補助者として予算執行事務に従事中、支出負担行為担当官等の決裁を受けることなく小切手等を作成し、自ら開設した他人名義の金融機関口座に国庫金を振り込ませるなどして、計2,359万円を領得した事案もあった。
 厚生労働省では、依然として厚生労働省に対する決算検査報告の指摘金額が最多となっている中、広島労働局の不正経理など厚生労働省での不祥事が頻発していること等を受け、現在、副大臣をトップとする信頼回復対策推進チームにおいて事実関係を徹底して調査しているところであるが、その調査の内容について、すべて公表するとともに、内部監査の充実等の措置を講じ、不祥事を二度と起こさない体制の確立に取り組み、この種事案の再発防止に万全を期すべきである。

 決議の背景
 広島労働局における不正経理については、会計検査院が15年度決算検査報告で指摘している。
 なお、この問題については、16年11月16日の参議院厚生労働委員会で岸宏一委員長と会計検査院増田第2局長との間で次のやり取りが行われている。
○委員長(岸宏一君) この際、委員長から申し上げます。
 去る四日の委員会における質疑の中で、辻泰弘君より、広島及び兵庫労働局の不正経理事件に関連し、会計検査院に対し、全国の労働局を対象とする会計検査の実施及びその結果の報告を求めるべきとの要望がありました。  本件に関しましては、理事会における協議を経たところでありますが、改めて委員長といたしまして、会計検査院に対し、全国の労働局を対象として、不正経理の有無を十分に念頭に置いた会計検査を実施し、その結果を本委員会に速やかに報告するよう要請いたします。  なお、しかるべき時期において、当該検査の実施状況について中間報告をするよう、併せて要請いたします。
 この際、会計検査院増田第二局長から発言を求められておりますので、これを許します。増田第二局長。
○説明員(増田峯明君) ただいまの御要請に対しましてお答えいたします。
 本院といたしましても、今回のような労働局における不正経理の事案については重大な関心を持っているところであります。したがいまして、今後の労働局に対する検査においては、そのような不正経理がないかどうか十分念頭に置いて検査することとしたいと考えております。  なお、平成十七年度末を目途に全労働局に対する検査を実施することとし、来年の通常国会中に検査の状況についての中間的な御説明をすることとしたいと考えております。
 そして、17年7月19日の同委員会で次のやり取りが行われている。
○委員長(岸宏一君) 次に、都道府県労働局に対する会計検査の状況につきまして、会計検査院から報告を聴取いたします。増田会計検査院事務総局第二局長。
○説明員(増田峯明君) それでは、昨年十一月の当委員会における委員長の私ども会計検査院に対する御発言を受けて、昨年十二月から実施してきております労働局における不正経理の有無を念頭に置いた検査のこれまでの実施状況について御説明いたします。
 配付させていただきました資料一ページの冒頭にありますように、本年六月末までに二十一の労働局について実地検査を行っております。これに要した検査人日数は、第二パラグラフにありますように四百十八人日となっておりまして、一労働局を三名から五名程度で検査しております。
 検査の対象としておりますのは、表にありますとおり、物品の購入などに充てられた庁費等、相談員など非常勤職員の人件費に当たる謝金や職員の旅費など、それから、これは昨年問題となった広島労働局の事例を念頭に置いているわけですが、各都道府県の雇用安定・創出対策協議会等に対する委託費であります。
 二ページをお願いいたします。
 これらの支出項目について検査をする際、どういった点に注意をしているかということでございます。物品の購入等につきましては、アにありますように、契約等の会計処理が法令等に基づいて適正に行われているか、架空や水増しの購入はないか。また、謝金、旅費等については、イにありますように、空雇用や空出張といったものがないか。そして、委託費につきましては、ウにありますように、事務費が委託事業の目的外に使われているものはないかといった点に注意をして検査を行っているところでございます。
 三ページをお願いいたします。
 今後の検査予定と検査結果の処理方針ですが、これまでに実地検査を実施いたしました労働局につきましては、その後も資料の追加収集をするなど、引き続き検査を実施しております。また、残りの労働局につきましては、昨年の委員長の御発言に対してお答えいたしましたように、来年三月末までにはすべての労働局について実地検査を終えたいと考えております。
 検査の結果、不適切な経理が判明した場合には、手法、組織的関与の有無、別途に経理された資金の有無、その資金の使途などの把握に努めることとしております。
 以上で御説明を終わります。

 決議の位置付け
 決算委員会が求めているのは政府の措置だけである。

 決議時点での当局の姿勢
 決議当日(17年6月7日)の参議院決算委員会では尾辻厚生労働大臣が「ただいまの都道府県労働局における不正経理について、……の審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたします……」と発言している。

 決議の効果
 18年1月25日の委員会議事録によると、全決議36項目のうち会計検査院のとった措置を除き内閣のとった35項目に係る措置について財務大臣が配布資料のとおりと報告しているが、サイトには載っていない。
 また、会計検査院は16年度決算検査報告において、「都道府県労働局の会計経理の状況について」として、その検査状況を報告するとともに、兵庫労働局のほか6労働局についても指摘を行っている。

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