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参議院決算委員会平成15年度決算審査措置要求決議
12 ODAにおける不正事案について


 決議内容 決議の背景 決議の位置付け 決議時点での当局の姿勢 決議の効果

 決議内容
 参議院決算委員会の平成15年度決算審査措置要求決議の第12項目「ODAにおける不正事案について」の内容は次のとおりであり、外務省及びJICA並びに会計検査院に対する措置要求である。
 昨年9月、コスタリカへのODA事業「テンピスケ川中流域農業総合開発計画」で、同国政府機関「国土地理院」への再委託料として(株)パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)に支払われた約231,000ドル(約2,500万円)のうち、コスタリカ側に支払われた約59,000ドルを除いた約172,000ドル(約1,800万円)が政府機関の口座に入金されないまま使途不明になっていることが、独立行政法人国際協力機構(JICA)の調査で明らかになった。JICAは、「不正又は不誠実な行為」があったとして、同年12月、指名停止6か月の処分を行った。なお、PCIは、コスタリカ側に支払われた約59,000ドルを除いた約 172,000ドル(プラス利息分)を今年1月JICAに返還した。
 上記事案を受けてJICAは、PCIが過去5年間に受注した類似の案件について調査を実施し、本委員会においてその結果を聴取した。それによれば、調査の結果4か国4案件において実態と異なる再委託契約を行いJICAに対して不正な請求を行っていたことが新たに判明したことを踏まえて、JICAはPCIに対して新たに9か月の指名停止措置をとり、不正請求額合計1,527万円相当及び利息分の返還を請求した。
 ODAの実施に際して、再度開発コンサルタント会社の不祥事が起きることのないよう、外務省は、再発防止のためにより透明性の高い事業を遂行するように指導監督すべきであり、またJICAは、再委託契約手続の各段階を見直して、再委託先に関する情報のJICA在外事務所への報告の徹底、入札時の同事務所員による立会いの励行、再委託契約にかかわるすべての会計書類のJICAへの提出、JICA在外事務所が設置されていない地域への現地調査団派遣など監督体制強化の措置を講ずべきである。
 PCIを始めとするODAに関するコンサルタント会社への委託業務についての会計検査については、過去に不正事案がなかったかなどの実態を十分に調査した上、実施すべきである。
 決議の背景
 PCIについては2月22日4月25日6月7日の委員会で遠山清彦委員(公明)が取り上げている。


 決議の位置付け
 この項目は、内閣に対する警告決議12項目の第5項目として次のように盛り込まれた。
 政府開発援助において、コスタリカ援助事業に係る不正事案のように事業を実施するための再委託契約について適正を欠く事態が見られたことは、誠に遺憾である。
 政府は、不正事案に対しては厳格に臨むとともに、再委託契約手続の見直し、再委託先に関する情報の報告の徹底など監督体制の強化を図り、政府開発援助の適正な実施に努めるべきである。
 また、決算委員会が、会計検査院に対して行った「ODA事業の執行状況について」の検査要請には、この「PCIを始めとするODAに関するコンサルタント会社への委託業務」に関連する内容が次のように含まれている。この要請に対する報告は平成18年秋が目途とされている。
(1)検査の対象
   外務省、独立行政法人国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)
(2)検査の内容
   政府開発援助(ODA)についての次の各事項
  (1) 開発コンサルタント、NPO等への委託契約の状況について
    特に
    ・対コスタリカODAにおける株式会社パシフィックコンサルタンツインター
     ナショナル(PCI)に係る不祥事の概要、同種事案の有無
    ・外務省、JICA及びJBICのPCI等日本の開発コンサルタント会社に
      対する事務・業務の委託契約の状況
  (2) 草の根・人間の安全保障無償援助の実施状況について
  (3) スマトラ沖地震の緊急援助の実施状況について
 決議時点での当局の姿勢
 そして、決議当日(17年6月7日)の参議院決算委員会で町村外務大臣が「ただいまのODA事業等についての審査措置要求決議につきまして、適切に対処いたしますとともに、ODAにおける不正事案についての警告決議につきましては、御趣旨を踏まえ、再発防止のため、今後とも一層努力してまいる所存であります。」と発言している。森下会計検査院長は「会計検査院といたしましては、ただいまの……等の審査措置要求決議につきまして、御趣旨を踏まえ、適切に対処してまいる所存であります」と発言している。
 また、会計検査院のサイトによると、会計検査院は7日に要請を受け、「政府開発援助(ODA)に関する事項について」検査を実施してその検査の結果を報告する旨を8日に参議院へ通知している。


 決議の効果
 内閣に対する警告決議については、内閣が講じた措置18年1月25日の委員会で谷垣禎一財務大臣が次のように説明している。
 次に、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社に一部の職員が所要の承認を経ずに再就職した件につきましては、事実関係を調査した上で、本件にかかわった職員に対し厳正に処分を行ったところであります。
 国家公務員の退職後における再就職状況は、公務を離れた個人に関する情報であり、一般に政府が知り得る立場にないところではありますが、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社以外の随意契約を締結したシステム関連企業に協力を依頼し、調査を行ったところであります。
 その結果、総合的雇用情報システムの業務を受注している会社以外に国家公務員法第百三条の規定に反する再就職はなかったところであります。
 今後とも、営利企業への再就職規制につきまして、職員に対し、研修や担当者会議において制度の周知徹底、意識啓発に努めてまいる所存であります。
 会計検査院サイトによると、「13 草の根・人間の安全保障無償について」と「15 スマトラ沖地震に対する緊急援助の実施状況について」と併せ、会計検査の結果を「政府開発援助(ODA)に関する会計検査の結果について」(概要(PDF・約53KB)、全文(PDF・約824KB))として18年9月21日に国会へ報告している。

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